すべてが終わり、残るは二人。
鳳桜・カグヤ・クォーツ。仮面ライダーレジェンド。
海東大樹。仮面ライダーディエンド。
手を取り合うか、再び争うか。
すべては互いの胸の内次第であるが――そのいずれでもない。
謝罪も礼も、そして未練や恨み言もなく、海東は踵を返した。それぞれの道に、戻るために。
「――君も、思い違いをしているよ」
と、背を向けながら、
「『あいつ』はきっと、誰のものにもならない。輝く時も消える時も、自分の気分次第さ。未来も過去も関係なく、いつか君が本当に仮面ライダーってお宝になれたのなら、何気なくふてぶてしく、君の前を通り過ぎるさ」
それは願望だったのか、確信めいたものがあったのか。
「その時は、文句の一つでも言っておいてくれたまえ」
「カグヤ様も、あの男には言いたいことが数多くある。そのついでなら、言ってやらなくもない」
肩をすくめて顧みた海東の顔は、初めに会った時より、晴れがましい。イタズラっぽく指鉄砲をかざして、撃つ素振りを見せた。
「僕も、次は狙いを外さない。この世界の本当のお宝、貰い受けるとしよう」
「楽しみにしておこう……簡単に盗める安さではないがな」
そして仮面ライダーは去っていく。自らの旅路へ、その先へと向けて。
バイクにも乗らず、自分の両脚だけを頼りに。
「……よろしいのですか? カグヤ様」
微笑と共に黙って見送っていた主人に、障りとならないよう物陰に控えていたバトラーが懸念を示した。
「レジェンドカメンライザーは取り戻せたとして、他にも何か盗まれている恐れも……」
「構わない。遍く広がる世界は、全てカグヤ様の庭だ。どこの誰の手にあろうとも、それすなわちカグヤ様の手にあることと何ら変わりはしない」
気後れも余計な気負いもなくそう言い放ったカグヤの気宇の大きさ、視座の高さに、心腹したように頭を下げた。
「もし敵が懲りずにこいつを狙うとするなら、それも手か」
一計を思いつくと同時にカグヤは、レジェンドカメンライザーをバトラーに手渡した。
「しかし……誰のものにもならない、お宝か」
すでにディケイドのカードはその役目を失い、平常の形へと戻っている。それに少しばかり視線を送ってから、自身が嵌める指輪へ。
それは、かつて他の者に下賜したものだった。
そいつはあまりに未熟でゴージャスさに欠けた、自分とは真逆の気質の少年。
だが屈託なく笑ってあたかも自分を友や仲間と信じて疑わないその振る舞いに、太陽や虹のような眩さを見た。磨かれざるが故の美もまた存在するのかと、視野が開けた想いだった。
「カグヤ様?」
カグヤは、バトラーの言葉で一瞬の懐古から我に返った。
「なんでもない。それよりも、レジェンドカメンライザーのロールアップを急がせてくれ」
「承知いたしました」
――また、いずれ会うこともあるだろう。
たとえ今日この戦いが終わったとしても、世界を守るための過酷な日々と、それに彩られた、仮面ライダーレジェンドとしてのゴージャスな伝説は続くのだから。
〜〜〜
怪盗は、ただでは転ばない。
海東はちゃっかりと、この世界での成果を回収していた。
それは、一枚のカード。討ち果たす間際に、ダークディケイド自身の変身用のもの。
それをおもむろに太陽へとかざす。
かつて、彼の写真を皆で仰ぎ見た時と同じように。
誰かが覚えている限り、決して滅びることはない。
それこそが、ディケイドの、門矢士という存在の、仮面ライダーの摂理だ。
だから――また、いずれ会うこともあるだろう。
そのことを、証明するかのように。
陽光に透かされた、ダークディケイドの黒い闇が抜け落ちる。見慣れたマゼンタへと、置き換わる。
「……」
苦笑と共のそれをポケットへとしまい込み、軽い足取りで彼は再び歩み始める。
いつか、彼が自分の横を通り過ぎるその時を信じて。
自分自身の、仮面ライダーディエンドとしての、旅を続ける。
ということで、リクエストとして受け付けました、
・レジェンドのミッシングリンク的作品
・ハンドレッドとの戦い
・ラスボスをダークディケイドに
というご要望により書き上げた作品、無事(かどうかはともかく)脱稿いたしました。
……待て、ディエンドどっから出てきた?
まぁ折に触れては言ってきたのですが、私の中でレジェンドvsディエンドという構想がほんのりとありまして、それとミックスさせた形にはなりました。(それもそのうち公式でやりそうなネタではありますが)
それが成功だったかどうかはともかくとして、概ね予定通りに書き上げることが出来ました。
今回このような機会を与えてくださったユニガム様、そしてここまでお付き合いいただきました読者様、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
次回は引き続きリクエスト等を手掛けていきたいと思いますので、そちらも気が向いたらよろしくお願いいたします。
それでは、またどこかでお会いいたしましょう!