「……」
「……」
「…………」
「…飛田さんもコーヒー、お好きなんですか?」
「…えっ。あ。いやっ!……仕事合間の眠気覚まし。或いは気付け
「そうなんですね。…じゃあわたし今さっき、半ば勢いでお茶誘っちゃいましたけど、もしかして物凄くご迷惑だったんじゃ…」
「…そ…」
「?」
「……そ、それだけは絶対の絶対!ぜええぇぇっっったいに違うって断言出来ます!信じてください!……さ、誘って頂けて寧ろ恐悦至極。一瞬我を忘れるぐらい嬉しかったのは最早疑いようのない事実なので!………………えぇっと、その、つまり…。……すみません…。自分こういう時一体何を、どんな風な言葉尻表現出来得たとしたら貴女の中の、不安不快なその気持ち取り除くこと叶うのか…。てんで良策検討つかずの所謂未熟者で…」
……ちょ、…一応念のため。念のため確認しておきたいんですけど天上神々お歴々…?司会進行役
不肖不出来堅物眼鏡河童単騎でのこの状況打破は、些かハードモード過ぎるのでは…?…どこぞ多人格のパツキン地黒コミュ力オバケと与える試練、食い違いになっちゃってません…?そこんとこちゃんと確認した?信じてだいじょうぶ?神々…。
◆◇◆◇◆◇
さぁそんなこんな吹き荒れていた、風見の心中冷や汗ブリザード。……それを此度見事沈静化してみせたのは一体どこの誰だったでしょーか!?
………正解はねぇ…。
「………はい。注文の浅煎り低脂肪乳カフェオレと…。……こっち、ウチのオリジナルブレンド。深煎りのブラックね。ごゆっくりどうぞ」
この店唯一の老年おじいちゃんバリスタ。鈴木さんでしたー。皆当たったかなー?当たった人は迅速速やか感想フォームにて挙手&進言!先着5名様には何かいいことあるかもー?笑
……と、まぁ…。野次馬根性おおっ広げに暴れ倒すのは、この辺までにしておくとして。あとは上述2人の動向、生温かく見守っていこうではあーりませんか!いっちょ気張ってけよぅ!
「……と、とにかく!…今日は、…その…。たまたま!本当の本当に朝目覚めた瞬間から、美味しいコーヒーが飲みたい。飲めたらなって気分だったんです!…………このコーヒーショップで貴女とまた、こうして出逢えたこと自体が何よりの証拠と言いますか…。…それだけはどうか清廉実直誠心誠意。心の底から信じて頂きたく…」
「…あ、頭あげてくださいっ…。…飛田さんの方からそんな風に謝ってもらわなきゃいけない必要性なんて、どこにも無い筈じゃないですか」
「……でも実際問題。自分は今こうして、貴女自身に不快な思いを…」
「快不快云々の話をしてるんじゃないんですっ…。………ほら!頭あげて!コーヒー飲みましょう?折角の淹れたてが冷めちゃいますよ」
「……」
「……」
「…………」
「……………」
「………では、お言葉に甘えて…。…ご馳走になります…」
「わたしが淹れた訳じゃないですけど、…………はい。どうぞ。いつぞや昼間の公園では貴重な経口補水液、譲ってくださってありがとうございました」
◆◇◆◇◆◇
「美味しいですね。コーヒー」
「………はい。とっっ…。…っっっっても」
「飛田さんはコーヒーお飲みになる時、いつもブラックなんですか?ミルクとかお砂糖は?」
「……混ぜ物をするのが苦手、…という訳では断じて無い筈なんですが、ブラックで飲むことの方が多い気はします」
「…あ、そっか。眠気覚ましに飲まれるですもんね。ふかぁーくてこぉーい方が理に叶ってそう」
「えっと、…その…。…ぶ、ブラックはお嫌いですか…?」
「嫌いではないですけど……。わたしはどちらかというと深煎りより、浅煎りを買うことの方が多いかなぁ。…あ。ブラックはブラックでも蜂蜜をちょーっとだけ垂らして飲むと、また違った味わい楽しめて美味しいですよ。
「……そ、それは初めて知りました!コーヒーに蜂蜜ですか?砂糖ではなく?」
「コスパ考えちゃうと砂糖とか、牛乳豆乳で十分だーってなっちゃうかもなんですけど。………ここだけの話。蜂蜜オーツミルクはわたしの中で鉄板です。あとアガベシロップナッツミルクとか」
「…お、オーツ…?ナッツ?……アガベ…?」
ちなみにこのコーヒー談義。2人それぞれが希望の焙煎豆を買い求め、じゃあねと現地解散するまでなんとか無事途切れること無かったらしいが……。非常に満足げなほくほく顔で
(…ああぁぁぁぁぁあ…!俺またあの
【1度目偶然2度奇跡。3度目必然4運命】とかなんとか___一部界隈声高らかに周知され___最早公然の秘密と化している訳だがしかし。……このへっぽこぽこぽこ眼鏡野郎に泣きの再々挑戦選択肢は用意されているのだろうか…。…果たして…。