仮面ライダーラプラス(リクエスト作品:ドライブ+リバイス オマージュライダー) 作:大島海峡
空より、突如として現れた新たなる怪人。一路には、現世ならざる魔境にて見覚えがあった。
「こいつ……っ、あのハート野郎と一緒にいた……!」
「貴様、いったいどこのアルタールだ? 誰の差金だ?」
取っ組み合い、装備をぶつけ合い、絡ませながら、互いの素性を探る戦いが始まった。
もっとも、一路の方は敵の正体に見当をつけている。
クスミよりの情報、そしてパンデモニウムでのやりとりを合わせて鑑みるならば、ガラーシュ一家の次子、ジィダ。
だがこちらがそれを掴んでいることを知られてはならない。告発ないし逮捕するには、確証も力も足りなさ過ぎる。
そもそも、すべてにおいて優先すべき対象が、それ以外にいる。
「プテラ、貴様は離脱しろ」
「Mr.バット、奴の処分は最後まで私めが……ッ」
「これ以上、手間をかけさせるな」
だが、その対象たるプテラアルタールに、乱入してきた第二の怪物は命じた。
それに不承不承、という体でその命令に従い、身を翻す。
向かった先は、一路の取りこぼした彼の携帯。
そして来た時と同様、画面の手前の空間に奔った亀裂に我が身を押し込むようにして、消えていった。
「逃がすかッ」
「貴様の相手は、僕だ」
立ち塞がったバットを退かせるべく、突き出した車輪のガジェットをバットは己が爪でいなし、さらにその持ち手を上から抑えつける。
そして捻り上げると一気に体重をかける。かけた力の分だけ、一路の身体が浮き上がり、その上下が逆転する。
強制的に宙返りさせられたその身に二度、掌底が叩き込まれる。
翼ともマントともつかない、腕の皮膜を翻すと、そこから湧いて出た黒く平べったいものが、吹き飛び、空いた両者の間の空間を、埋め尽くす。
それは、見たことのない言語が濃緑で刻まれた、名刺ないしショップカードのような蝙蝠型の切り紙。
暗黙の号令一下、主人の五指で操作され、一斉に一路のボディにまとわりつきそして鬼火と化して爆ぜた。
地に転がりその残火を消した一路は、歯噛みする。勝てないことは問題ない。元より、アルタールとしての経験値は相手が上だ。それでも、ここは是が非でも、道理を引っ込ませてでも推し通らなければならない。
この二年間欺かれ、それに甘んじて目を逸らし続けて来た、己の責任として。
『旦那、ヤツはパンデモニウムに逃げる。ここで見失えば、また姿を見せるかどうか分からない』
「分かってる! くそっ!」
クスミに毒づくも、有効な手立ては見出せずにいる。今は手裏剣に変形させた武器を手の内で回転させて、それで迫り来る紙片を退けるので精一杯だ。
せめて一手、天地をひっくり返すような奇手さえあれば。
『……その方法、あんたは知ってるはずだ』
一路の心理を読み抜いたかのようにクスミは声をひそめて告げる。
違いない。なにしろ、つい先ごろまで身をもって体験していたのだから。
「……もう一度、あの世界に行けってか」
『あぁ、今度は正当な手順を踏んで、オレ様と入れ替えることで再びあんたをここへ送り込む。それが唯一の方法だ』
即答出来かねる提案だった。
それすなわち、自身の
敵の猛攻を凌ぎつつ、無言で逡巡する一路。そのベルトから、クスミの張り詰めた息遣いを感じる。
『…………
そのクスミが、鋭く音声を発した。
『自分の人生を取り戻すことッ! 家族に向き合うこと! でもそれはこんな
「……お前」
『……以上が、今言えるだけのオレの本音であり、最大限の歩み寄りだ……どうする?』
そのクスミを受け入れるか、否か。
ふん、と一路は鼻で笑う。
元より、意味のない葛藤だった。
元より、惜しむべき身命などない。
ならば、と。
手の内に転送されてきたオクトパスホイールのチケットを、握りしめる。
前へと進み出る。
「――だったらこの場は信じてやるよ。画面越しの相棒を、1%の
そう嘯くや、彼はベルトのカバーを、左右反転させる。
開けたソケットに、そのチケットを装填した。
「何をブツブツ言っている……これで終わりだ!」
その瞬間、蝙蝠たちの勢いが増した。
一路へ群れて寄せて、覆い尽くし、埋め尽くし、そして焼き尽くす。
だが、断末魔の一切は聴こえない。
代わり、
〈承認! シフトコウカン!〉
――という、溌剌とした声が斜陽と妖炎の狭間で響く。
〈ナビゲーション・フロントドア! オクトパスホイール!〉
と、焔の渦の内側より、膨れ上がった風が、蝙蝠たちを消し飛ばす。
「なにっ!?」
怪人の貌から表情の変化は認められないが、声はあからさまに動揺を示す。
だが、無理もないことではあった。
炎と蝙蝠の包囲を破り現れたのは、彼の対峙していた仮面ライダーではなかった。
基本的な構造は同じだが、身の丈は華奢で細身。司る姿は重装の恐竜ではなく、技巧とトリッキーさを感じさせる蛸の装いだった。
「姿が、変わった……!?」
「違う」
ジィダの言葉に、そのライダーは甲高い声音で即座に否定を入れた。
「場所と
と。