仮面ライダーラプラス(リクエスト作品:ドライブ+リバイス オマージュライダー)   作:大島海峡

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エピローグ:正義と悪魔を結ぶ、交線

 若林総合病院。

 複数体の怪物の戦闘に巻き込まれた、というにも関わらず、被害は建物の一部のみで、死傷者は無かった。それが奇跡によるものか、それが意図してのものかはさておき。

 

 そのことに安堵しつつも、久墨達子(たつこ)は、娘の体調を気遣い、彼女のためにより時間を割くようになっていた。その心身の労苦負担は、如何ばかりか。それは本人しか理解できないものだった。

 

 やややつれた様子の彼女がその日課を果たさんと病室に向かった際、ドアが半開きになっていた。両親はすでに亡く、結婚後は海外で過ごしてきた彼女とその娘を見舞う客は、無いはずだった。

 いるとすれば、それは……

 

 恐る恐るその戸を引けば、娘のベッドの手前には、一人の大柄な異邦人が立っていた。

 

「あなた……」

 と、その男のことを、軽い驚きを込めて呼んだ。

 

「やぁ、久しぶり――というわけでもないか」

 と、彼は娘を注視したまま応じた。

「仕事と向こうの家の都合でね。しばらくこの国に滞在することになったんだ」

 と、かいつまんでその場に居ることを説明した。

 

「そうなの?」

 と、少し引いた様子で頷く達子に、男は苦笑した。

「つれないね。君の中では私はもう夫ではないかもしれないけど、まだこの娘の父親なんだぜ」

「……そうね」

「まぁ、無理のないことではあるか」

 物憂げな眼差しを、男は娘から窓へと移した。

 

「あの頃は、シヨンのことに実家に仕事に、色々と板挟みになって、その皺寄せを君たちに向けてしまった。お互いに距離を取ろうという君の提案は、間違いじゃなかったと思う」

「そのおかげかしら。顔色が良くなったように見えるわ」

「おかげさまでね」

 苦笑する達子へ澄んだ瞳を開き、シヨンの父親は言った。

 

「そう――満たされてこそ、人は人を思いやることが出来る。自分の人生を謳歌している今だからこそ、私は君たちへの愛を確かに感じられるんだ。傍から見れば薄情だと思われるかもしれないだろうが、家族にもそういう時間と距離感って大事なんじゃないかな」

 

 そう声を弾ませる彼は、まるで少年のようでもあり、かつて自分たちと共に暮らしていた頃とはまるで異なっている。その前とのギャップのせいだろうか、圧のようなものは感じさせるが、同時に安堵もした。

 今もってなお、捨てきれない情がある。もし目覚めているならば、自分たちの娘――久墨シヨンも、きっと。

 

「良い生き甲斐を見つけたみたいね――カタキトさん」

 彼……カタキト・ガラーシュは、我が妻へと微笑み返した。

 

「あぁ、心向くまま、充実した日々を送れているよ」

 そう言って、娘の前髪を指の背で撫でつけた。

 

「もちろん、彼女のことだって君だけに任せているわけじゃない。入院費のことはもちろん、実家で彼女を治療する手立てを当たってみる」

 そう言って手を掲げて見せて、カタキトは部屋を退出した。

 

 ――いつか、また家族がちゃんとした形に戻る時が来る。

 そう信じて、達子は頭を下げて、夫の背を見送ったのだった。

 

 

 

「あぁ、俺の趣味(たのしみ)の、片手間程度には探しておいてやるさ」

 

 ~~~

 

「まずは、例の仮面ライダーの消息を追跡することから始めようかな。話も通じるだろうし、私たちよりも情報を、そして対抗手段を持っていることは間違いないんだから」

 と、一路の承諾を得た順那は、さっそく彼を伴い、勇躍して廊下に躍り出た。

 そんな彼女の浮かれぶり、そして何よりその探されているライダーとやらの片割れであるがゆえに、一路はさっそくに自分の決断を後悔し始めていた。

 

「と言っても、ずっとライダーって呼ぶのも味気ない話だよね。なんか良い通称ないもんかね」

「未確認何号とかで良いだろうが」

「それだと過去の事案と被るから却下。この凶暴そうなドライブの紛い物は、果たして正当なドライブの後継者か。はたまた悪魔の手先か。デビルドライブ……ダークドライブ……はもう居たかな。ドライブ(Drive)悪魔(Devil)を繋ぐもの。ドライブの先を駆ける者……」

 

 そう思い悩む彼女が抱え込むノートパッドの片隅には、タッチペンで様々なアイデア、英和入り乱れて様々な文字が列挙されている。

 

「お前、プレゼンしてる合間にこんなアホなこと考えてたのか?」

「並列思考と言ってほしいね。それに、大事でしょ? 仕事と趣味の両立って」

「誰の受け売りか知らんが、公私混同もいいとこだな」

「君がそれを言う」

 

 呆れる一路の目が、ふとその殴り書きの片隅に吸い寄せられた。

 それは、二つの文字の走り書き。

 余りに簡素なそれらは、記号にも見える。

 

「なんだコレ? 『R』と『L』……いや『+』プラスか……?」

「あぁ、なんか画像を拡大で見た時、なんかそれっぽい文字がベルトに見えたらしいから、その時に書き留めたヤツかなぁ」

 

 すると、その時一路の端末が震える。ディスプレイを覗けば、話を盗み聴きしていたらしいクスミから、メッセージが届いていた。

 

 一路は反射的に、馬鹿正直に、それを読み上げてしまう。

 すると、順那が反応し、目と首を振り向けた。慌てて端末をしまう彼に、

「それ、いただき」

 と、指を鳴らす。

 

「いやいや、こうは読まねぇだろ……えぇ……」

 決まってしまったその名に、若干引き気味に一路は呟きを漏らしたのだった。

 

 伏せた画面に示されたその名こそ、これからの明智一路とクスミを繋ぐ記号。

 彼らが共有する言語(ことば)

 その名こそが――

 

 

 

 仮面ライダーR+(ラプラス)

 

 ひとまず、閉幕




というわけで、区切りの良いところでひとまず閉幕でございます。
ドライブとリバイス、人の悪意に翻弄された仮面ライダーという繋がりでの両者のオマージュ作品ということでしたが、私の拙い発想と構成力ではこれが精一杯でした(本音)

表題(ライダー名)については最初から決めてあって、いつ出そうかとタイミングを計っていたら最後の最後になってしまいました。
がために要らざる誤解を招いてしまった気がしますので、この場を借りてあらためてお詫びいたします。

全体的には無難に完結させられた気もしますが、没案も

・マッハ+エビライ+◯◯オマージュの二号ライダーラストに登場
・プテラ戦の合間にヴァニクvsシャルロック(別作のオリライダー)
・順那「私も……なりたいな、貴方たちのような仮面ライダーに」
 ◯兄さんというか竹内◯真氏「本当になりたいのなら……何の何になりたいとか軽々しく言うものじゃない(白目)」

等々あったのですが、いずれも大体察せられるところの理由で断念。
これ以上は言い訳繰り言世迷言にしかなりそうにないので、今回はこれにてお開きとさせていただきます。

このような機会を与えてくださった名もなきA・弐様、ならびに最後までお付き合いいただきました読者の皆々様、まことにありがとうございました。

目下の予定は現行している他のリクの解消ではありますが、本作の内外でご感想、ご要望等あればお気兼ねなくお申し付けくださいませ。
力に及ぶ限りではありますが、精進させていただきます。

それでは、またの機会にて!
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