異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十話 宝の地図の秘密?

 サソリの帆の船に向かうボートの上。

 サソリの仮面の男が後ろを振り向いた。

 

「・・・奴か? どうやって追いついて来た」

「セルケティス様? 何か?」

 

 声をかけた部下を、サソリキング・・・セルケティスが怒気を込めて睨む。

 

「無駄口を叩くな。貴様らはただ我が命に従っておればよい」

「はっ、ははっ!」

 

 部下が滝のように汗を流して頭を下げる。

 ここが狭いボートの上でなければ平伏していただろう。

 彼らの主――蠍王セルケティスの怒りに触れた者がどうなるか、知らない人間は長生きできない。

 それから船につくまで、オールの音だけが響いていた。

 

 

 

「カクカクシカジカで、宝の場所で待ってたけど誰も来なかったのと、サソリキングが船に帰って行ったのを見ました」

 

 ぐるりと迂回してやってきた「ケリュネイアの牝鹿」号と合流して船長室。窓の外からはにゃあにゃあとウミネコの鳴き声。

 俺達は再び作戦会議を開いていた。

 船長が腕を組んで、二の腕を指でとんとんと叩く。

 

「ふぅん・・・出港準備してなかったのは確かなんだね?」

「少なくとも甲板を誰かが走り回ったり、帆を上げたりとか、そう言う事はしてませんでした。後何と言うか古い感じです」

 

 初めてこの目で見て気がついたのだが、この世界の他の大型船が大航海時代かそのちょっと前くらいの奴と良く似ているのに対し、サソリキングの船はもっと古代の、ローマとかエジプトの船っぽい。

 うまく言えないんだがもっと平べったくて、オールが左右にずらっと並んでる。

 マストも船長の船はマストの横棒が二本あって「‡」みたいな感じだが、あっちはもっと単純に「†」みたいな感じで、横棒が一本しかない。

 その辺を説明すると船長と船員さんたちが揃って眉根を寄せた。

 

「そりゃまたずいぶんな骨董品だね。沿岸を行く船ならそう言うのもあるけどさ・・・まあそれはいいさ。問題は、少なくとも奴らはこの島から錨を上げる気はまだないって事。そしてお宝の地図がガセの可能性があるって事だ」

「えっと・・・金のリンゴはないって事なの?」

 

 リタが不安そうに言う。そこがわからないところなんだよな。

 

「ハヤトの言う通りだよ。宝の地図がガセで魔法の木が枯れちまってるなら、奴らとっととこの島を出て行くはず。金のリンゴをもう手に入れたんだとしても同じだ。でも奴らはまだこの島にいる」

 

 リタの顔が一転してパッと明るくなった。

 

「そうか、つまり金のリンゴ自体はあるってことなんだね!」

「多分ね」

「でもなんで宝の地図が間違ってたんでしょう? そもそも同じ地図なのに・・・」

 

 うーん、と考え込む俺達。蒸留酒の瓶をぐいっとあおり、船長が口元をぬぐった。

 

「そう言えば聞いたことがあるよ」

「知っているのか雷電!」

「らいでん?」

「ええと、雷のことだよね?」

 

 すいません、続けて下さい。

 

「? まあいいけど・・・ともかく宝の地図ってのは海賊や船乗りには馴染みのあるもんでね。本物を見た奴はもちろんほとんどいないけど、『それっぽいもの』なら結構な数の奴が見たことがあるもんだし、噂だったら山ほど聞いてる」

「それで?」

「せかすんじゃないよ。でだ、まあ噂だけどそう言う宝の地図の本物には色々と仕掛けがあるもんなのさ。例えば切り刻んで組み替えると本物の宝のありかがわかるとか、隅っこの方に宝の鍵が縫い込んであるとか、端っこの装飾やあぶり出しに隠れたメッセージがあるとかね」

「あ・・・」

 

 そうか、確かに定番だ! 今手元にあるのはあくまで俺の記憶を元に作った模写だからなあ・・・本物の地図にそうした仕掛けがあったならどうしようもない。

 

「そうなると・・・」

「まあそれしか手はないねえ」

「え? どういうこと?」

 

 俺と船長の顔をキョロキョロと見比べるリタ。

 その肩にアカフクがぽんと手を置く。

 

「つまり相手に探させてからそれを奪おうと言う事でチュー」

「犯罪者の思考なのでチュー」

 

 うるせえよ、だまれ。

 

「大体リタのおかあさんの命と引き替えでもそんなことが言えるのか、おまえら?」

「正義は我らにアリでチュー!」

「正しい目的のためなら手段は選ばなくてもいいのでチュー!」

「大体あいつら悪党なんだから何やっても正義でチュー!」

 

 こいつら・・・

 

「まあ、あれだ。せっかく海賊船に乗ってるんだし、『海賊らしく、頂いてゆくっ!』というやつだな!」

 

 まあこれは本来ヒロインをさらっていく時のセリフだが。

 この場合は・・・リタか? ガイガーさん相手にこのセリフ吐ける自信は微塵もないな、うん。

 あれ、船長が微妙な顔してる。

 

「・・・一応言っておくけど、アタシはカタギの船乗りだからね? 海賊じゃないからね?」

「「嘘ぉ!?」」

「嘘でチュー!?」

 

 一斉に驚く俺達を見て、ドリー船長は――海賊砦のラソーリさんそっくりの――渋い顔になった。

 なお後ろで大爆笑していた船員さんたちが、揃って頭をカチ割られてノックアウトされた事も追記しておく。

 閑話休題(それはさておき)

 

 取りあえず、俺が光学迷彩をかけて上空から奴らを監視すると言う事になった。

 リタや船長たちは全員船でお留守番。しかも沖合でいつでも逃げられるようにしてだ。

 俺の手元には携帯用の光の魔道具。ちょっと高価なランタンと言った感じで、発光信号に使う。タジルの王様から貰った魔道具の一つだ。

 あいつらの船やサソリキングたちが船に向かって動いたらこれで知らせる手はずだ。

 ・・・あいつら見張ってると何かちょくちょく寒気がするんだが、気のせいだよな?

 

 

 

「・・・まだいるか」

 

 翌朝。ボートの上でサソリキングことセルケティスが呟いた。

 その視線は宙をさまよい、何を言っているのか周囲の誰も理解出来ない。

 だが、それを王に問いただす者は誰もいなかった。

 

 

 

 またゾクッとした!

 確かに上空は寒いが、その寒気じゃないのは間違いない。

 まさかあのサソリ野郎、俺の事に気付いてるんじゃないだろうな・・・

 正直シャレにならんが、さすがに数キロも離れてたらあいつでも何もできんから安全だ。

 多分。

 

(多分と言っておけば嘘をつかないで済むそうだけど?)

 

 頼むから黙っていてくれ、脳内のカオルくん。

 

 

 

 ボートが何往復かして、三十人ほどを下ろす。

 旧式みたいだけど、サイズは俺達の船より大きいからその分人員も多いらしい。

 サソリキングがそれを率いて、島の奥に進み始めた。

 

 数時間後。サソリキングたちは島の奥に数キロほど入り込み、山の中腹にある洞窟に入っていった。

 弁当を食いながら俺はそれを見張る。

 

 かなり日も傾いてきてから連中は出てきた。

 そのまま船に帰っていくようだと見てとって、俺は船に戻った。

 洞窟を調べてもみたいがまずは報告だ。ホウレンソウ大事。

 俺は常に最適解を取れるアニメのヒーローじゃないからな。




>宝の地図の仕掛け
MBの鯖さん、正解w(第十二話 海賊砦感想)
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