異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十二話 ドラゴン

 暗い洞窟の中。

 魔道具の光に照らされて、ドラゴンはそびえ立っている。

 地面にうずくまっているだけにもかかわらず、「いる」じゃなくて「そびえ立つ」というレベルの巨体なのだ。

 端っこの方は見えないが、おそらく胴体だけであの白鯨と同レベル、長い首や尻尾を足せば100mは越えるのではなかろうか・・・?

 

 ラファエルさんから聞いた話によればこの世界の竜は、世界創造の時に活躍した黄金の虹竜の直系子孫である真なる竜と、それの劣った子孫である亜竜に分類されるのだそうだ。

 真なる竜は俺達がぱっとイメージする、いわゆるドラゴン。この世界では桁外れに強大な存在らしく、話聞いてるとゴジラくらいが普通らしい。

 

 一千年前、大陸二大国家の一つディテクで真なる竜が目覚めた時はマジで大陸の二割に達するこの国を焼き尽くし、降臨したオリジナル冒険者族と、「白のサムライ」「紅の影」と呼ばれるかつてのオリジナル冒険者族の子孫たちが手を携えてようやく再封印したとか。

 つまり伝説の勇者と伝説の勇者の子孫たちが手を取り合っても倒しきれず、ようやく封印できるレベルだ。なおオリジナル冒険者族のほうは王族の生き残りと結婚して、これが今のディテク王家の先祖なんだとか。

 

 一方で亜竜というのはワイバーンとかヒドラとか、ドラゴンっぽくてそれなりに強いけど真なる竜には遠く及ばない、「強めの怪物」程度にランキングされるモンスターたちだ。

 まあそれでも事実上最上級の黒等級冒険者が倒せるかどうかっていう地竜(リンドヴルム)毒竜(ヒドラ)から、一匹なら普通のベテラン等級である青等級冒険者でも倒せるワイバーンまで、まさしくピンキリではあるそうだが。

 閑話休題(それはさておき)

 

(・・・うん?)

 

 そこで俺はようやく違和感に気がついた。

 

「おにいちゃん、これ・・・」

「チュー・・・?」

 

 ほぼ同時にリタやハムリス共も気付いたらしい。

 

「こいつ、死んでる・・・」

 

 一見地面にとぐろを巻いてうずくまってる、寝ているような姿勢だが全く呼吸音がしない。ミストヴォルグの超センサーにも、体温や呼吸音、心拍音みたいなものがまるで引っかからない。ってことは・・・

 

「きれいな顔してるだろ。死んでるんだぜ。それで・・・」

「何言ってるのかわからないよ、おにいちゃん」

「お里が知れまチュね」

「オリジナル冒険者族は頭がおかしい。これは既に定説でチュ」

 

 うるせーよ。

 

「というか、リタやおまえ達から見てどうだ? やっぱり死んでるか?」

「私には・・・生きているようには思えない。アカフク達は?」

「多分死んでると思うでチュー」

「へっ、びびらせやがってでチュー」

 

 チンピラかおまえら。

 とはいえドラゴンって冬眠みたいに深い眠りにつくことがある、ってのは結構多くのファンタジー作品である設定だし、一応注意しておくに越したことはないか・・・

 

■■■■■■■■■■■■■■■(安心するがいい、小さき者ども) ■■■■■■■■■■■(我が夫の魂は既に)■■■■■■■■■■■■■■■(大いなる精霊の一部になった)

「!?」

 

 思わず上を見上げる俺達。

 そして硬直する。

 

 巨大な空間、そびえ立つ赤竜の屍より更に上、まさしく高層ビルくらいの高さから、二つの光る目が俺達を見下ろしていた。

 

 

 

「・・・」

 

 身体がすくむ。

 カチカチと歯が鳴る。

 闇を見通せないリタ達はいざ知らず、ミストヴォルグセンサーを発動させている俺には「それ」がなんなのかはっきり見える。見えてしまう。

 

 赤竜の屍の向こう、ただでさえビル群並みのそれより遥かに高く大きな何か。目の前の屍が立ち上がったらこのくらいか。

 大多数の人がイメージするドラゴンそのものの姿。色は屍と同じ燃えるような赤。

 高さ100メートル近いところに頭。黄金の角と爪。牙は鋼の色。

 瞳は何らかの光を反射するのではなく、自ら燃えている。

 

■■■■■■■■■(それで、貴様らは何者だ)

 

 再び発せられる声。リタがびくりと震える。

 ・・・あれ?

 

「リタ、肉達磨ども。今あいつ訳のわからん音を発してたよな? でも意味わかるよな?」

「え? あ、ホントだ! そう言えば!」

「チュー達にも確かにわかったでチュー!」

 

 ふしゅううううう、とコンプレッサーの排気音みたいな音が漏れる。

 

「あ、何か呆れてるみたい」

 

 溜息であったか。

 

「まあドラゴンの前で漫才してたらな・・・」

「チュー」

 

 そんなことを話していると、またコンプレッサーの排気音。 

 そしてぱっと周囲が明るくなった。ドラゴンの魔術らしい。

 

「今のは『真なる言葉(トゥルースピーク)』という。神々が世界を作りたもうた言葉だ。

 今の世界でこの言葉を使うのは我ら真なる竜くらいであろうがな」

 

 あ、今度はわかる。俺達に合わせて切り替えてくれたらしい。サンキューです。

 

「それで? 改めて聞くが我が住処に入り込むお前達は何者だ。先だっての侵入者とは違うようではあるが」

 

 あ、そりゃそうだな。ここがドラゴンさんの住処なら、俺達の方が不法侵入者だ。いきなりパクッといかれるわけではなさそうだし、まずは名乗るべきだろう。

 

「で、かくかくしかじかでリタのおかあさんを助けるために、黄金のリンゴが必要なんです」

「ふむ・・・」

 

 自己紹介を交わし、事情を説明する。

 ちなみにこのドラゴンはラドゥーナさんと言うらしい。本当は長く正式な名前があるが、人間には発音できないだろうからこう呼べと言われた。

 

「お前達が嘘をついていないのはわかる。リタの方もそうだが、ハヤトがそう言うのであれば間違いなかろう」

 

 ドラゴンにまで言われる俺のサトラレってなんなの。

 

「お願い、ラドゥーナさん! 黄金のリンゴが本当にあるなら分けて欲しいの!」

 

 リタの懇願にラドゥーナさんが大きく頷く。

 

「お前達の言う黄金のリンゴ・・・『生命の果実』は確かに存在する。そう言う理由であればおまえたちに分けてやってもよい」

「本当!?」

「やったな、リタ!」

「やったでチュー!」

「ただし!」

 

 喜びに沸く俺達を、ラドゥーナさんが一喝した。

 

「私の夫を殺した人間を倒す手伝いをしてくれれば、だ」

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 ぴたり、と俺達は凍りついた。

 

「あの、その、あなたの御夫君を殺した人間というのは・・・」

「こいつだ」

 

 俺達の目の前に浮かび上がったのは筋骨隆々とした肉体にサソリの仮面をかぶった男の幻影。

 

「やっぱりぃぃぃ!?」

 

 俺の絶叫が洞窟に響き渡った。




「こいつ・・・死んでる!」みたいなセリフはジョジョとかまどマギとか色々あるのですが、やっぱりタッチのあれが一番有名な気がしますw

ラドゥーナさんはストレートにラードーンから。ギリシャ神話のヘスペリデスのリンゴを守っていたドラゴンですな。
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