異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

105 / 415
第三十四話 天使が通り過ぎた一瞬

「無理ですよ無理! こいつ化け物みたいに強いんですよ!? ましてや真なる竜を倒すくらいの本物の化け物を!」

 

 今回ばかりは情けないこと言ってるとは思わない。

 実際畜生マッチョどもですら茶々を入れては来ない。

 だってこのゴジラ並みの大怪獣生身で倒す人間だよ!?

 巨大ロボになったところで勝つ自信ないわ!

 そんなことを言うと、上空から苦笑の気配がした。

 

「確かにあの蠍男は『勇者』並に強かったが、それでもお前の思うほどではない。

 ――我が夫は病んでいたからな」

「・・・ドラゴンでも病気になるの?」

「お前達の言う病とは根本的に異なるものだが、身体の不調であるからそう言っても間違いではなかろう。

 そもそも私たち真なる竜はお前達と生命としてのあり方が違う。

 そうだな、精霊と通常の生命との中間にあるとでも言えばいいか、世界の一部としての生命体なのだ、私たちは」

 

 うーむ、よくわからん。ともかく旦那さんは病気で弱ってたってことね?

 

「そうだ。そして私も弱っている。これまでは夫の張った結界が私たちを守ってくれていたが、奴は魔法の護りを破る剣を持っている。今度来たなら恐らくは結界を破られ、私は死ぬだろう」

「結界?」

「夫が命と引き替えに張った結界だ。お前達が夫の遺骸を乗り越え、あるいは迂回しようとすると発動していただろう。夫の遺骸より先には絶対に進めない、そう言う結界だ」

 

 なるほどそれで・・・。

 

「そう言えばラドゥーナさんも病気なんだよね? そっちは大丈夫なの?」

「・・・」

 

 ん? どうしたんだろう。リタの質問に何か言いよどんでる感じがする。

 

「あの、言いにくいことでしたら・・・」

「いや・・・うん、大丈夫だ、問題ない。そのだな。その・・・ゴニョゴニョ」

 

 何だか恥ずかしがってる気がする。ちょっとかわいい・・・のはさておき。

 

「いえ、本当に言いづらいことなら」

「そんな事はない! 言うぞ! 言うからな!」

「は、はい」

 

 何か意地になってる気が・・・何も言わない方がよさそうだ。

 

「私は、私は・・・その、排便が今出来ないのだ・・・」

 

 後半消え入りそうな声。

 一方で俺は思わず叫んでいた。

 

「ドラゴンが便秘ー!?」

「『■■■■■■■■■(ぐおおおおおおおおお)!?』」

 

 首を左右に振り、悶絶するラドゥーナさん。

 

「おにいちゃん!」

 

 リタが俺の脇腹をポカポカ叩く。

 

「だめでしょ、そう言うこと言ったら! すごく恥ずかしい事なんだよ!?」

 

 えー、あのー・・・・はい、すいません。

 うん、今回は俺が悪いわ。

 あれだけ巨大でドラゴンでも女性は女性。やっぱり恥ずかしい事なんだろう。

 

「やはりハヤトは品性に欠けるのでチュ」

「リタのそばに置いておくわけにはいかないでチュ」

「歩く汚物でチュ」

 

 歩く肉達磨には言われたくねえよ!

 

 

 

「えーと、つまりもうすぐ卵をお産みになると」

「それで体内の精霊力のバランスが崩れてな・・・」

 

 恥ずかしげに顔を背けるラドゥーナさん。

 何かドラゴンなんだけど、妙に人妻の色気みたいなものがある。

 

「・・・おにいちゃん?」

「悪いが私は夫一筋でな」

「夫を亡くしたばかりの未亡人に言いよろうとは、人間のクズでチュ」

 

 違うわ! ラドゥーナさんまで言うこたぁないでしょうが!

 まあともかくそれでその、お通じが悪くなったんですね。

 

「うむ・・・この百年、一切のそれがないのだ」

 

 百年って・・・さすが超越種、桁が違うな。

 ドラゴンの人が何年生きるのかは知らないけど、想像を絶している。

 

「しかし、あのサソリキングを倒したいのは山々だけど、正直勝てるとは思えないんだよなあ。ラドゥーナさんと共闘してもどうかって感じだ」

「私はそうは思わない。ハヤトよ、お前の秘める力は蠍王セルケティス・・・お前の言うサソリキングのそれにも勝るとも劣らぬ。お前が私を助けてくれれば、勝てる見込みはかなり高い」

 

 おっとぉ、なんか主人公っぽい事言われたぞぉ。

 でも秘めた力って今は使えないから秘めた力なのであって、現在の戦闘力で言えば月とスッポンじゃないかと思います!

 

「あ・・・」

「何、リタ?」

「ラドゥーナさんは病気なんだよね」

「先ほども言った通り、お前達の言う病とは違うものではあるがな。

 それが?」

「チュー?」

「あ、その」

 

 ハムリス含めてその場の視線がリタに集中する。

 ちょっとあたふたするリタがかわいい。

 

「あのさ、病気ならお兄ちゃんの持ってる霊薬(エリクサー)で治せないかなって」

「あ」

「チュー!」

「・・・」

 

 沸く俺達だが、肝心のラドゥーナさんは無言。

 あれ。外れたかな。人間にとっては万能薬の霊薬(エリクサー)でも、ドラゴンには意味がないとか?

 

「いや、霊薬(エリクサー)はドラゴンにも効果がある。あれは薬に非ず、第五元素を抽出した万能の変換素材だからな。

 ただ竜と人間その他の生命体では効き方に差がある。

 私がそれを飲んでも症状に改善が見られるのは一週間ばかりかかるだろうな」

「不便な体だなあ。それじゃ・・・あ」

 

 今度は俺に視線が集中する。

 

「どうした・・・いいアイデアが思いついたようだな」

「おにいちゃん、良い考えが浮かんだんだね!」

「ハヤトのくせに生意気でチュー。でも良くやったでチュー」

「さっさと話すのでチュー」

 

 だーかーらー! なんでわかるんだよ! 特にできればやりたくないアイデアを思いついた時に!

 

「ハヤトの尊い犠牲は忘れないでチュ」

 

 死なねえよ! まあ多分俺なら!

 

「どういうことなの?」

「あー、つまりだな。飲んだだけで時間がかかるなら、中に入って患部に直接流し込めば?」

 

 一瞬沈黙が降りた。

 ちなみにフランスだとこう言う状況を「天使が通り過ぎる」というそうだ。どうでもいいが。

 

「・・・その発想はなかった。だがそれなら恐らくは」

「でも、それって・・・」

 

 うん。俺がラドゥーナさんに食われるって事なんだよ、リタ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。