異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「本当に良いのか?」
「今更でしょう。こんな事しないでも生命の果実を分けてくれるならやめますけど」
「そうだな、すまん」
苦笑してラドゥーナさんは大きく口を開ける。
ちなみにこの結界、ある意味当然だがラドゥーナさんだけは自由に出入り出来るようになっている。ので、結界から頭だけ出して、地面につけて「あーん」してくれているのだ。
「・・・あれ? でもラドゥーナさんの胴体があっちにあったら、喉の途中で結界につっかえない?」
「それは心配いらない。生命というのはそれ自体が一つの
なるほど。
ラドゥーナさんの体の中にいる間にサソリキング・・・セルケティスだっけ?が攻めてきたら、ラドゥーナさんが結界のこっちにいるのはまずい。
まあもうすぐ破られるようなことを言ってたから、余り変わらないだろうが。
「あ、俺が体の中に入った後で、リタ達も口の中に入れて結界のそっち側に運んで貰えます?」
「そうだな。了承した」
「お願いします」
最後にリタ達の方に振り向いてサムズアップ。
ドラゴンの口の前でやってるから結構様になる、と思いたい。
「おにいちゃん気を付けてね・・・!」
「勝ってくるぞと誓ったからには~♪」
「手柄を立てずに生きて帰ってくるなでチュ~♪」
お前ら何昔の軍歌っぽいもの歌ってるんだよ! 後歌詞がちょっと違うだろそれ!
そんなことを考えつつ、俺はラトゥーナさんの口の中に飛び込んだ。
「チェインジ・ジェッターIII(スリー)! スイッチ・オンッ! ・・・って、うわあああ!?」
俺の周囲に現れる、下半身がキャタピラのロボっぽい何かの幻像。水中用ジェッターロボに「変形」して、喉の奥に踏み込む。って、
「のわ~~~~~っ!?」
それとほぼ同時にラドゥーナさんが立ち上がったのか、いきなり食道が垂直になり、俺は胃まで一直線に転がり落ちた。
こう言う事するなら先に言っておいて欲しかったかな!
(すまん、本能的なものでな。ついついやってしまった)
あー、飲み込むときに胃に食べ物を送り込むためか。首長いもんな。
って、遠話の術も使えるのか。さすがだ真なるドラゴン。
そんなことを考えつつ、俺は胃の噴門を素通りして胃酸の海で水しぶきを上げた。
「ぶはっ!」
水面に出て息をつく。まあ水中用ロボだから今は呼吸の必要も無いんだけどな。
水中でも自由に行動できるし、視界も利く。胃酸についてはラドゥーナさんが装備含めて防護呪文をかけてくれてるので問題ない。
それはそれとして「らどぅーなさん」と打つと「ラドゥーナ酸」になるのはどうにかならないか・・・うん、俺何を言ってるんだろう。
益体もない思考を振り払うと、俺は胃酸の海に潜り、胃の出口、幽門を目指した。
幸い胃袋が4つに分かれていると言う事もなく、俺は胃の出口をこじ開けて、腸に侵入する。
さて、ここからが長いんだよな・・・まあしゃーなし! 俺はドロドロに溶けた何かをかき分け、キャタピラを全開に回転させて小腸の中を走り出した。
「ラドゥーナさん、おにいちゃんは今どのへんにいるの?」
「そうだな、だいたいこの辺か。まだかなり先は長い」
リタ達をそっと口に含んで結界のこちら側に運ぶと、ラドゥーナはうずくまって動きを止めた。
尻尾の先を動かして胴体の半分位のところをちょんちょん、とつついてみせる。
「もう半分来てるんじゃないのでチュー?」
「お前達人間・・・人間?もそうだが、体の中はこうなっていてな。胃・・・この袋までは一直線だが、その先の腸はくねくねと曲がりくねって長く続いているのだ」
ドラゴンが出した幻影の人体図を見て、リタ達が目を丸くする。
「ほええ・・・まるで迷路みたい」
「まあそう言う認識で構わん。一直線だから迷いはすまいがな。! リタ、私の影に隠れろ。声を出すな」
「!」
いきなりラドゥーナの声が厳しくなる。
リタ達はものも言わず、その指示に従った。
数分後。
リタ達の耳にも足音が聞こえて来た。
影に隠れてわからないが少なくとも数十人。
それもかなり重く、革や金属が打ち合わされる音が一緒だ。
(・・・あいつだ!)
歪妖精の宝物庫での事を思いだし、身を固くする。
「奴らはおらぬか。生命の実を与えたか? それともどこかに隠れているのか」
『
遥か上空から降ってくるラドゥーナの
「ハッ。さもあろうな」
剣を構える気配。無論リタにそのようなものがわかるはずもないが、空気が一気に張り詰めたのはわかった。
「ふん、そこか。待っていろ、すぐに・・・!?」
金属音がした。
「なっ!? 貴様どこから・・・いや、海に叩き込んでやったはず! どうやって・・・!」
「!」
リタが思わずラドゥーナの影から飛び出す。
理由はないが確信があった。
「お父さん!」
結界の向こう、サソリの仮面の男と向き合う黒い剣士。
顔は見えなかったが、それが何者か、リタが見間違うはずはない。
「泳いできた」
黒い仮面の剣士が短く言って剣を構えた。
剣戟の音が洞窟に響く。
後ろからは多くの人間が争う音。
「お前ら、ここが命の張りどころだよぉ!」
「おおうっ!」
戦いの音の中でも響く海賊歌姫の美声。
手下を連れての殴り込み。
「ちっ!」
舌打ち。
セルケティスは仮面の剣士の隙をついて魔封じの剣で結界を斬りつけようとするが、元より互角の相手。簡単にはさせない。
しかし。
「ククク・・・疲労と負傷は、隠せんな!」
「・・・」
それでも僅かずつ、押し込まれていく仮面の剣士。
いかに超人とは言え、海原を身一つで渡ってきた疲労は歴然。
今は半手ほど遅れているだけだが、それが一手以上遅れれば、待っているのは致命の一撃。
『
ついに仮面の剣士が結界に追い詰められた。
それと同時に赤い巨竜が身をよじって悶え苦しみ始める。
「ラドゥーナさん!」
「はははは! どうした、後がないぞ! 俺の剣が結界を切り裂けばどのみち俺の勝ちだ!」
「・・・」
『
悲鳴や怒号が交錯する。
蠍王の、大上段からの渾身の斬り下ろし。
仮面の剣士はそれを防ぎはしたが体勢を崩し膝をつく。
魔剣の切っ先が結界を切り裂き、見えないひび割れが入る。
次の瞬間、結界が崩壊するのと赤い巨竜が身を翻すのが同時。
「!」
「!?」
体勢が崩れて仰向けになっていた仮面の剣士と、下を向いていた蠍王。
ほんの一瞬だけ、仮面の剣士の知覚が先んじる。
「何!?」
仮面の剣士が洞窟の奥に飛ぶ。
それを追おうとして踏みとどまったセルケティスが見上げるのは巨大な赤い尻尾と後足。
そして尻尾の付け根の・・・
『
上から降ってくる膨大な質量の塊。
蠍王セルケティス、即ち圧制者クヌムイヌを倒した伝説の勇者にして魔王、数千年を経て甦ったこの無敵の剣士は、百年分のドラゴンの排泄物、数百トンのそれに埋もれて姿を消した。
なんだよこの小説! くそだよ! うんこだよ!
ちなみにタイトルは劇場版グレンダイザー・グレートマジンガ-・ゲッターG決戦!大海獣から。
作中でボスボロットがドラゴノザウルスに飲み込まれて排泄されるシーンあるんだw