異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十六話 放課後マグネットパワー倶楽部

「ぶはっ!?」

 

 ラドゥーナさんのお尻の・・・その、なんだ、排泄口から飛び出した俺はぶにょっとした物体にめり込んだ。

 ラドゥーナさんのお腹の中でエリクサーをばらまいていたらいきなり腸がぶるぶる震え始めて、一気に外まで排出されたのだ。

 頭を引き抜いて周りを見渡すとリタ、ハムリスども・・・ガイガーさん!?

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

 後ろの方から悲鳴が聞こえる。

 ぼた山(何の山なのかは考えたくない)の向こうを見ると、サソリキングの手下たちが悲鳴を上げて逃げていくのが見えた。たった今まで戦っていたとおぼしき船長と部下の人達は、左右に分かれて通してやっている。

 

 状況がよくわからないが、どうにか部下は撃退できたらしい。

 しかし問題なのは大将の方だ。

 あいつは、サソリキングは・・・?

 

「・・・」

 

 そう尋ねると、リタ達はなぜだか一様に沈痛な面持ちになった。

 船長に視線を向けると、俺の足元を指さす。

 

「え・・・ちょ、まさか」

「そのまさかさね」

 

 船長が厳粛な面持ちで死者を悼む霊魂の神(スィーリ)の聖印を切る。

 

「・・・成仏しろよー」

 

 今の一瞬だけ、俺は心からサソリキングの冥福を祈った。

 

 

 

 船長がクンクン鼻を鳴らしてから顔をしかめた。

 

「・・・まだ匂うねえ」

「匂うでチュ」

「歩く汚物がついにただの汚物になったでチュ」

 

 やかましい! てめーらもラドゥーナさんのウ・・・排泄物の中に叩き込むぞ!

 俺はウォータービートの力で再び水を出しながら畜生どもを睨みつける。

 

「お兄ちゃん大丈夫・・・?」

「ああ、それは大丈夫だよ。ラドゥーナさんのかけてくれた呪文もあったしな」

 

 心ない数々の扱いに比べ、リタの心遣いがとても嬉しい。お兄ちゃん泣いちゃいそう。

 

「・・・」

 

 ガイガーさんもとい仮面の剣士は何も言わないが、無言で頷いてくれた。

 この人に認められたような気がしてとても嬉しい。

 

「いやその・・・すまなかった」

「いいですよ。終わりよければ全てよしです」

 

 ラドゥーナさんは恥じらいつつもお礼を言ってくれた。

 プライドなんて安いもんだ、特に俺のはな・・・

 

「まあ所詮はハヤトでチュ」

「ラドゥーナさんのお腹の中でくたばってくれてれば面倒がなかったでチュ」

 

 黙れ畜生ども。安いと言ってもお前らのプライドよりは高いわ!

 

 

 

 洞窟を進むと、やがて奥の方がぼんやりと輝いているのが見え始めた。

 

「あれは・・・」

「そうだ。だが私が説明するよりはその目で見た方がよかろう」

 

 それから十分ほど進むと、ついに俺達は「それ」の前に出た。

 

「おお・・・」

「わあ・・・」

「・・・」

 

 一同言葉もない。

 大きく枝を広げた『生命の樹』。

 幹や枝、葉、それらの全てが黄金に輝いている。

 

「・・・ん?」

 

 近づくにつれ、黄金の木の根元に二人の戦士が立っているのがわかった。

 片方は赤、もう片方は青の、なんというかいわゆるビキニアーマー・・・それもかなりきわどい奴を装備している。

 そしてその顔は・・・!?

 

「止まれ! 我らは生命の樹を守る番人!」

「何人たりとも近づくことまかりならぬ!」

 

 アルテとカオルくんだーっ!?

 アルテは赤い兜にビキニアーマー、両手斧。カオルくんは同様の青い兜にビキニアーマー、剣と盾を持っている。

 

「この世の悪を吸い寄せる! 正義の磁力で吸い寄せる!」

「・・・おにいちゃん、なにそれ?」

 

 いえ何でもありません忘れて下さい。

 むしろ格好的に吸い寄せるのは男の視線のような気がするが!

 閑話休題(それはさておき)

 ラドゥーナさんが首を伸ばして二人を正面から見た。

 

「ラハト、ヘルヴィ。二人とも、警戒は不要だ。この者たちは良きものであると私が認めた。

 この者たちの目的は悪しきものではなく、ただ母を助けんがためのもの。

 生命の実を一つ、この幼子に与えるがよい」

「はい!」

「わかりました」

 

 ラドゥーナさんの言葉に従い、二人は武器を収めると黄金の実を一つもぎ、こちらに持ってきた。

 リタの顔がぱあっと明るくなる。

 

「ありがとう、お姉ちゃんたち!」

「よかったね」

「おかあさんが早く良くなるといいね」

 

 黄金のリンゴを手に取り、うれしさでぴょんぴょん跳ね回るリタの頭をアルテとカオルくん・・・ラハトとヘルヴィが笑顔で撫でている。

 しかし二人ともビキニアーマーなのは眼福なんだが、アルテの方は余計な肉がアーマーやブーツからはみ出たり、ベルトが肉に食い込んでたり、逆にカオルくんの方はアーマーと胸の間に隙間が出来てたり。

 うーん、デザインした奴はちゃんとサイズを測れというべきか、それとも逆にわかっているというべきか・・・ん? 何かお二人が俺を睨んでるような? 何で他の人達は俺に呆れたような視線を向けてるの?

 

「「・・・殺ス」」

 

 アイエエエエ!? ナンデ、殺意ナンデ!?

 

 

 

 ハヤトがバーサークした二人にボコられている頃、ラドゥーナの排泄物がもぞもぞと動いた。

 茶褐色のねばねばしたそれから手が一本、にょっきりと突き出す。

 それは何かを求めるように空を掻き、そして力尽きたのか動かなくなった。

 

『おのれ』

 

 洞窟に声ならざる声が響く。

 

『おのれ』

 

 再び声が響く。天井のコウモリ達が怯えたように一斉に飛び立った。

 

『 お の れ 』

 

 それは無念の声。死者の叫び。余りに強い精神力と怨念ゆえにこの世に留まった魂の咆哮。

 魔力視覚を備えたものがその場にいれば、三度目のそれと同時にドラゴンの排泄物から魔力の輝きが急速に薄れていったことに気付いただろう。

 ドラゴンの排泄物は、それ自体様々な薬効を持つ稀少な生物素材であり、また大量の魔力を含んでいる。

 そもそもドラゴンそのものが巨大な精霊力=魔力の塊だからだ。

 ましてや百年も溜め込んだ余剰の魔力と体内の毒素を煮詰めた、言わば蠱毒の精髄。

 真なる竜であるラドゥーナ自身を害するほどの毒素と魔力の塊だ。

 その毒と魔力が質量以上にセルケティスの体を蝕み、死に追いやった。

 しかし今、セルケティスの怨念はそれらを吸収し、暗褐色の霊気を放つ霊体となる。

 

『 終 わ ら ぬ   こ の ま ま で は 』

 

 闇を凝らせたような黒い塊が宙に浮かぶと共に、排泄物から一切の魔力が吸い尽くされる。

 次の瞬間、黒い霊体は薄れて消えた。




ラハト(アルテ)はラハト・ケレブ、回転する炎の剣から。
ヘルヴィ(カオルくん)はヘルヴィム=ケルビムから。
いずれも旧約聖書で生命の木を守るために神がおいた番人ですね。

赤と青の元ネタは放課後電磁波倶楽部。知りたい人は自己責任でググって下さいw

大便は体の中の毒素を排出する役目もあるため、普通に毒です。
定期的に排出されないと、逆に大便の毒が体に逆流する現象が起こり、便秘で体調を崩すのはこのせいです。
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