異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十一話 僕らの駄肉王

「世界を越えてニホンからやって来たオリジナル冒険者族、ホッチョ・ペッパーの大魔術! 神秘の国ニホンの古代魔術の粋をご覧あれですぞ!」

 

 バイオリンを鳴らしながらのラファエルさんの口上に、わーっ、と歓声が上がる。舞台に出て来た俺に更なる歓声。このへんはもう前の町で何度も繰り返したから慣れたものだ。

 今の俺の姿は"ヤマブキ"の姿に燕尾服とシルクハット。女装というか変身した俺のために、またアルテが調整してくれた。本当に彼女には頭が上がらない。

 仕立て直して貰っているときのことが頭に浮かぶ。

 

「でもずるいよねー、ハヤトは。お肌も白くてすべすべだしきめ細かいし、顔小さいしほっそりしてるし唇赤いし髪さらさらだし・・・」

 

 仕立て直しのために、上半身裸になった俺の体つきを指で計りながら愚痴るアルテ。

 

「いや、《加護》の力だし、胸ぺったんだし、そもそもしっかり男なんですけど」

 

 設定的に「女装」なので、性別自体は変化していない。女性みたいにほっそりして顔も声も女になるだけで、体自体は完全に男だ。

 

「そう言う問題じゃない! 男なら、何で腰がこんなに細いのよう!」

「くるしいくるしい」

 

 ウェストを測っていた指でがしっ!とおなかを掴まれる。

 ああ、そう言えばアルテって・・・と、しゃがみ込む彼女の体を見下ろす。

 身長は平均程度だがよく食べるせいか結構肉付きがよく、胸もお尻もたぷたぷしてる。腕もぷにぷにでいわゆる駄肉・・・

 

「ハヤト」

「はい」

「今何か言ったらご自慢のウェストが片手で一つかみにできるくらいに細くなるからね」

「はい」

 

 だから自慢してないんだけどなあ! 後おっぱいとお尻は大きいのが大好きです!

 言ったら握りつぶされる代わりにほっぺたをちぎられそうだから言わないけど!

 

 

 

「はい、真っ二つになったアルテ嬢が元通り!」

「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」

 

 幸いなことに、今回も俺の超奇術は大受けした。座長曰く、明日からは評判を呼んでもっとお客さんが来るだろうとのこと。

 

「はいお帰りはあちらー。お気をつけてお帰りくださいねー」

 

 座長やラファエルさんがお客さんを誘導する声を聞きながら、俺は舞台の袖裏でぼんやりしていた。いやー、ステージに立つって凄い疲れるわ。同じくらい舞台に出てたのに元気に動いてる座長たちすごい。

 

「・・・ん?」

 

 オブライアンさんは戦争中と言う事で表に出られず、興行の時はフードをかぶって黒子とか裏方をやっているのだが、それが幕の間から熱心に帰る観客の方を覗き込んでいる。

 俺が声をかけてもしばらく気付かなかったくらいだ。

 

「オブライアンさん・・・オブライアンさん?」

 

 オブライアンさんがビクッ!と身体を震わせた。何かこっちが悪いことしたような気分になるが、それでようやくこっちに気付いてくれたようだった。

 

「あ、ごめん。何? 片付ける物とかあったっけ?」

「いやそれはないんですけど・・・どうしたんです? お客さんの方熱心に見てましたけど」

「それは・・・」

 

 オブライアンさんはちょっとの間迷っていたが、口を開いてくれた。

 

「その、今日来ていた人の中に、『しるし』を付けた人がいたんだよ」

「『しるし』?」

魚人妖精(オアンネス)独特の魔術の一つで、オアンネス以外の人にはわからないようにいくつかのマークをつけられるんだ。水の香りがするから僕達はわかるけど、そうでなかったら腕利きの術師じゃないと感じ取れない。多くはメッセージを伝えるときに使うんだけど・・・」

 

 半魚人の顔でもわかるくらいこわばった表情。

 俺も思わずつられて表情を固くする。

 

「・・・それで、そのメッセージは?」

「・・・」

 

 沈黙。さっきより長い。

 

「『捕まった。助けて』だ」

「・・・!」

 

 脳裏にフラッシュバックするのはこの一ヶ月のこと。

 強制的に異世界に呼び出され、帰る当てもなく、役に立たないとわかったらそれだけで殺されかかった経験。

 ひとごとじゃない。そう思った瞬間、俺は思わずオブライアンさんの手を引いて飛び出していた。

 

「追いかけないといけないじゃないですか! 急がないと手遅れになるかも!」

「ちょ、ちょっと待ってハヤトくん! 取りあえず服! その服は着替えないと!」

 

 言われて気付く。まだステージ衣装のままだ!

 ええと、変身! 《加護》で服装ぱっと変えられるのは・・・ダメだ、戦闘モードに変身する奴はあっても、街中歩けるような服装じゃない!

 全身黄金の金属鎧とか、アンテナ付いたピチピチタイツとか、ファンタジーの街中を歩いていい恰好じゃねえ! いや現代日本ならいいかというとそれもどうかだけど。コミケ会場ならOKか?

 慌てる余り頭がまともに働いてないな俺。

 

「何をやっとるんじゃおまえら」

 

 そこにタイミング良く現れたのがペトロワ師匠。

 

「えと、その、あの。大変で! オブライアンさんが! 水のしるしが! オアンネスが!」

「仲間の救援のサインを見かけたんですよ。それで、ハヤトくんが助けてくれるって」

 

 なんという冷静で的確な説明力なんだ!

 パニクってる俺が恥ずかしくなって来るじゃないか!

 オブライアン・・・ラファエルさんとはまた違った魅力のある男・・・

 閑話休題(それはさておき)

 

「『魚人妖精(オアンネス)のしるし』か。それは確かに急がねば大ごとになりそうじゃの。わかった、シルヴィアにはわしから言っておく。それと」

 

 ともかくそれだけでペトロワ師匠は事情を察したようで、幕をめくってちらりと外を見た後、一言二言唱えて身振りを行う。

 この世界、大抵の術はそれなりに長い呪文と正確な身振りを必要とするが、術に熟練するに従ってそれらは不要になる。大魔術師(ウィザード)と呼ばれるような高位術者なら指を鳴らしたり、あるいは念じるだけで術をかけることも可能だそうだ。

 これだけで術を発動できる師匠はつまり結構高位の術者と言う事だろう。

 

「おっ!?」

 

 まず最初の術で俺とオブライアンさんの姿が変わった。

 服装も顔立ちも、そこら辺を歩いているような平凡な町の人だ。

 次の術で俺の視界が変わる。

 

「これ・・・なんだこれ?」

 

 周囲の世界が少し違って見える。

 俺とオブライアンさん、ペトロワさんにぼんやりと光が・・・

 そして最後の呪文で、俺の胸の辺りに小さな光る点が生まれた。

 

「一つ目は《幻影変装(ディスガイズ)》の呪文。二つめは《オーラ感知(センス・オーラ)》。魔法の霊気や存在のオーラが見える様になる。三つ目は《追跡(トレース)》。お主の場所をわしに知らせてくれる。

 オブライアンなら付き合いも長いし必要ないが、まあお前さんには念のためにの。

 さ、急げ」

「はい、師匠!」

「ありがとうございます、ペトロワさん!」

 

 俺達は礼を言って、『オアンネスのしるし』をつけられた人間の後を追い始めた。




駄肉王です。駄肉魔王ではありません(ぉ
元ネタは無論どこぞの勇者王。
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