異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第一章「狂女王の試練場」
第二話 冒険の始まり


「営業時間AM9:00-PM5:00」

 

     ――ワードナの部屋の扉――

 

 

 

「あーはいはい、大丈夫ですぞ。何もありませんでしたですぞ!」

「強いて言うなら浮気現場を押さえられた尻軽男が天罰を受けたってとこかねえ?」

 

 アーベルさん、ちょっと後でお話いいかな?

 などというのはさておき、俺の悲鳴は隣近所の一座の皆さんにも聞こえたらしい。

 わらわらと物見高くやってきた彼らを、ラファエルさんとアーベルさんの口先コンビでお帰り願う。

 

「ほどほどにしとけよ兄ちゃん!」

「若いっていいわねー」

「そっちのお嬢さんに手を出すなら、せめて7、8年は待てよ!」

 

 なおそんな感じでニヤニヤしながら帰って行く人多数。周囲にアルテ達がいるので無駄に説得力が出てしまっている。

 どうしてくれるんですかこれ!

 

「なぁに、満更間違ってもいねぇだろ?」

「インガオホーなのですぞ」

 

 あんたらはぁぁぁぁ!

 

 

 

「で、実際のところ何があったんだい?」

 

 声だけはまじめくさって俺に尋ねる座長。

 満面の笑みでニヤニヤしながらだから、こっちとしてはむかつくだけだが!

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 むしろ座長の横でこっちを睨んでる三対六個の視線が怖い。

 言わずと知れたアルテ、カオルくん、リタである。

 後、サメみたいな無感情な目でこっち見てるガイガーさんも怖いです! 許容もなく慈悲もないって感じで!

 

「えーと、何があったと言われても・・・」

 

 実際俺も良く事情がわかってない。

 テントの中で一人、使えそうなダンジョン系の冒険小説を思い出してネタを書きとめていたのだが、誰かに呼ばれた気がして外に出た。

 するといきなり半透明の美女が現れて、「女王の命である。私のもとに来よ」みたいな事を言って俺の唇を奪ったのだ。

 俺が悲鳴を上げるともう一度口づけして、俺の口を塞いだ。

 半透明の幽霊みたいなあれのはずなのに、ちゃんと唇の感触があった。その直後、悲鳴を聞いて現れたみんなに見せつけるように笑みを浮かべ、消えてしまったのだ。

 

「美人さんの幽霊の唇は暖かかったんだろうねえ・・・?」

 

 目が全く笑ってない笑顔で、桜花の王様みたいなことを言うカオルくん。

 顔と言葉だけでも怖いけど、剣を手に持って言うのやめて! シャレにならないから!

 

「まー、ハヤトって割と八方美人だよね。誰に対してもいい顔してるというか」

「で、お兄ちゃん。あの綺麗な人は誰なの?」

 

 人を尻軽みたいに言わないで頂きたい!

 本当に心当たりないんですってば!

 

「まあ男の責任については別途話しあって貰うとして」

 

 師匠まで!

 

「話は最後まで聞け。お主、何者かと縁ができておるな。

 その幽霊の言う通り呼ばれておるのじゃろう。

 それでラファエル。ちらりとしか見なんだが、金の冠に金の鎖、白い肌に黒目黒髪の女と聞いて何か思いつくことはないかの?」

「・・・まさか『黄金の女帝』ですかですぞ?」

 

 何それ?

 

「女帝ハルギア。このダンジョンの主と語り継がれる女じゃ。オリジナル冒険者族とも言われておる。

 三千年ほど前この周辺を治める女帝にして大魔術師であったが、悪魔と契約して大地の奥深く、黄金の鎖によって封じられた。

 その後三百年ほど前にこの地にダンジョンが生まれたのじゃが、その時当時の王家の前に現れて呪いをかけたんじゃ。

 以来王家の血筋は体が弱くなり、特に男は長生きできぬようになった。

 呪いを解くために王家は懸賞金をかけてダンジョンの攻略を奨励したが、町の繁栄には繋がったものの、三百年経っても未だに呪いは解けぬままじゃ」

 

 まさか俺、その女帝様に呪われた?

 

「あるいはな。まあ今日はもう遅い。明日ダンジョンの方に出かけて確かめてみるとしよう・・・そういうわけじゃから、お主らももう勘弁してやれ」

 

 苦笑しながらの最後の言葉は、俺を睨みつけていたアルテ達三人娘に対してのものだ。

 

「・・・」

 

 複雑な顔をしながらも渋々といった感じで矛を収める三人。

 それ以上は特に話すことも無く、その場はそのまま解散になる。

 あー、助かった。

 

「あ、ハヤトとカオルとラファエルは早いとこ劇の脚本頼むよ。押してるからね」

 

 鬼か!

 

 

 

 翌朝。

 朝食をとって慌ただしく今日の公演の準備をする中、俺と師匠、そしてカオルくんはダンジョンの入り口に来ていた。

 俺達がテントを張っている演芸地区からは都市をはさんで正反対、イレマーレの西側に1kmほど行ったところにあるそれは、山肌にぽっかりと開いた洞窟だった。

 周囲は頑丈な柵で囲われており、出入りは厳しくチェックされている。周囲には数十人の武装した兵士達。

 あれらは変な人間がダンジョンに入らないようにと言う意味もあるが、ダンジョンからモンスターが出てきた時に対応できるように、ということでもあるのだそうだ。

 時々板金鎧の戦士や革鎧の人、聖印を下げた鎖かたびらの人、登山家みたいな格好の人とかが一塊になって入っていく。

 

「戦士に盗賊、僧侶ってところか。最後のは荷物持ちでしょうか?」

「ありゃ術師じゃな」

「え、ローブとか杖とか持ってないのに?!」

「まあそう言う格好はわかりやすくはあるが、杖はともかくローブは実用的ではないからの。

 依頼人に会うときや街中での依頼ではともかく、ことダンジョンや野外活動ではあんなのが主流じゃよ。

 まあそう言う格好を好き好んでするカブキモノと呼ばれる連中もいないことはないがの」

 

 うーん夢の崩れる事実。

 閑話休題(それはさておき)

 

「俺とあの幽霊との縁はどうです? わかりそうですか?」

 

 何やら呪文を唱えていたペトロワ師匠に聞いてみると、師匠は溜息をついて頷いた。

 

「まあほぼ確定じゃな。あれが『黄金の女帝』本人ではないにしても、お前がダンジョンの奥底に誘われているのは確かじゃ」

 

 マジかー・・・え、それってひょっとしてダンジョン攻略しなきゃならないって事?

 やばい、ちょっとワクワクする。命がけなのはわかってるけどそれでもだ!

 まあこの辺は俺が男の子だからであって、同じ日本人でもカオルくんには関係ない・・・

 

「カオルくん?」

「え? あ、ごめん、何?」

 

 心あらずとダンジョンの方を見つめていたカオルくんが、我に返ってこちらを見る。

 珍しいな、彼女がぼうっとするなんて。

 

「大丈夫?」

「いや別に、何でもないよ。ゲームの中のダンジョンなんて言うのが実際にあるのが不思議な感じだったから、ついつい見てただけ」

「ならいいけど」

 

 でもちょっと気になるな・・・。

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