異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「ダンジョンを攻略しようじゃないか」
「おー」
その晩、今日の公演を終わらせた座長が開口一番言い放ったのがこのセリフだった。
「そうじゃないとハヤトの呪いが解けないのはわかるけど、公演は大丈夫なの?」
「だからさ」
アルテの疑問ににんまりと笑うシルヴィアさん。
「これを劇にすりゃいいじゃないか。呪われた女帝と恋に落ちた新米冒険者が、ダンジョンの最深部を目指す!
まさしくあたしらの求めていたネタじゃないかさあ!」
「おお! いいですな! 座長は天才ですかですぞ!?」
「はっはっは、おだてても何も出ないよぉ!」
「うーん、確かにこれはロマンですね。実は女帝も伝承通りの悪人ではなかったりして」
「ダンジョンかあ。こりゃ久々に腕が鳴るね」
何か俺以外のほうが盛上がってる気がする・・・まあ俺もちょっと盛上がってるけどさあ!
酒の肴にされてる気がして悔しい!
「そーよねー。ハヤトは女帝様に恋してるんだものねー」
「まんざらでもなかった感じだしねえ」
「おにいちゃんのうわきもの」
だから違うんです! ガイガーさんも剣の鍔鳴らさないで!
「しかしダンジョン攻略と言っても公演はどうするんです? そりゃ腕の立つ人が多いから人数揃えるのは問題ないでしょうけど、ダンジョン攻略と言ったら四人とか六人とかでパーティ組むんでしょう?」
師匠の方を見る。
「まあそうらしいの。詳しい事は余り知らんが」
「大体はそうですぞ。物語では一人や二人で挑むことも多いですが、実際には概ね前衛が二人か三人、後衛も同じ位というのがダンジョン攻略に良くある構成ですぞ。
無論ダンジョンの特性にも左右されますが」
「ですよね」
ゲーム知識だがその辺はどうやらこちらでも同じだったらしい。
どうすんです?と座長を見ると頭をボリボリと掻いた。
「まあそのへんはね。ダンジョンに潜るのはガイガーとカオル、アルテ、ハヤトアーベルにばあさんってとこだろ? この面子に午前中だけ攻略に出て貰って、午後からは公演に出て貰おうかと思ってるんだけど」
「それはやめとくんじゃな。さすがに片手間で攻略できるようなもんではない。後わしはダンジョンに潜れるほど体力はないわい」
「うーん、だめかあ」
溜息をついて蒸留酒をグビグビあおる座長。
町で噂の調査ならともかく、ダンジョン攻略と公演を両立させられるとは俺も思わんなあ。
「ダンジョン攻略を配信できればちょっとした見せ物になりそうだけどね」
「配信ってそんな、それこそゲーム攻略じゃないんだから」
「ですよねー」
カオルくんが苦笑し、俺も苦笑して肩をすくめた。
「なんだい、ハイシンって」
「ああ、日本の魔法で、例えばショウギを指したり、芸を演じてるところを遠くで見られるようにするんですよ。水晶玉の千里眼みたいな感じで。
お客さんが気に入ったら、やっぱり魔法で見物料を投げて貰えるんです」
「それ、例えばこの町で僕たちが芸をしたら、国中でそれを見られるって事ですか?」
目を丸くするオブライアンさんに笑って頷く。
どん、と音がした。シルヴィアさんが酒瓶を地面に叩き付けた音だ。
「それ! それだよ! ダンジョン攻略の様子を舞台に映して、お客に見せればいいじゃないか! ばあさん、どうだい?」
「それは・・・できなくはないのう」
我が意を得たりと、座長が勢いよく頷く。
「よっしゃ! ハヤトたちがダンジョンを攻略して女帝の呪いを解く!
そしてそれを劇にする! うまく行けば王家からの褒賞もがっぽがっぽだ!
この町の酒を買い占めることだってできるよぉ!」
買い占めるな。
もうちょっと有意義なお金の使い方、あるでしょう。
「ふーん、まあハヤトにとってはそうかもね。じゃあ町一番の娼館を貸し切って酒池肉林とか。興味あるだろ?」
「はっはっは、そりゃいいや。そん時は是非ご相伴に預かりたいもんだな!」
そこの
アルテとカオルが人を殺せそうな目でこちらを睨んでるから!
興味ないよ! ないからね!? でもちょっと・・・いえ何でもないです!
「おとうさん、しょうかんってなに?」
「いや、それは・・・」
ああ、リタ。君は汚れなき少女のままでいておくれ・・・
「汚れちまった悲しみに、今日も風さえ吹きすぎるのですぞ」
ラファエルさんもお願いだから黙ってて!
「あ、割とまともな防具なんだ。てっきりビキニアーマーとか着せられるかと思った。まあこの世界にはないか」
「あるよ?」
「「あるの!?」」
衣装箱から引っ張り出してきた本物のチェインメイルだのヘルメットだのを検分しながら、そんなやりとりをする俺達。ちなみに襲いかかって来た山賊を返り討ちにして剥ぎ取ったものらしい。細かいサイズ調整は師匠が魔法でやってくれる。うーん便利。
しかしビキニアーマーあるのか・・・日本人こっちの世界で好き放題し過ぎだろう。
「
「「うわぁ・・・」」
二人揃ってうめく俺とカオルくん。
「ちなみに男だよ」
「なので、こちらでは男女問わず着るものとされておるの」
「「きがくるっとる!」」
再度ハモってしまう俺達である。
「というか実用性あるんですか、あんな水着みたいな鎧?」
「ある訳ねえだろう。
こちらは革のベストにナイフをいくつも装備しながら、カラカラ笑うアーベルさん。
ほぼ普段の格好と変わらんな。
「お前達は・・・きちんと防具を着けた方がいい」
ガイガーさんも鉢金をつけた以外はほぼ普段通り。
よくよく聞いたら分厚い上着の中に、薄い金属の小板とか縫い込んであるのだそうだ。初めて知った。
「ボクとアルテ、ガイガーさんが前衛でハヤトくんが後衛でしょ。《加護》を使うと疲れるんだよね? 後衛だし軽装にしておいた方がいいんじゃない?」
「んー、これくらいなら何とかなるかな? むしろカオルくんは大丈夫?」
兜は工事現場のヘルメットみたいな形で重さはそこそこ程度、チェインメイルはジャラジャラしてるけど着てる分には意外と軽く感じるし、動きも不自由ない。
とは言え後衛で砲台やる俺と、前衛で動き回るカオルくんでは鎧の負担も全然違うはず。
「まあ大丈夫かな? やってみないとわからないけど」
同じように兜をかぶり、チェインメイルのベルトを締めて、剣を振るカオルくん。
あれだけ動けるなら大丈夫かな?
「出来ればビキニアーマーにしてほしいってのも偽らざるところだけどね。
やっぱ露出度が違うと客受けが違うよ」
「「絶対にノウ!」」
今度はアルテとカオルくんが声を揃える。
「とゆーか、私のことは心配してくれないの? 私だってか弱い女の子なんですけど!」
「ゆーてあなた《怪力の加護》ですやん。いくらでもガッチガチに固めたらよろし」
「まあゲームでいえば重量制限が一人だけ一桁高そうだよね、君」
「アルテは戦闘技術が雑だ・・・兜に盾、籠手とすね当てもつけて防御は固めた方がいい。お前なら恐らくフルプレートでも動きは変わらない・・・カオルとハヤトは鎧と兜だけでいいだろう・・・」
「はいはい、どーせ私は力だけで雑ですよ」
ちょっといじけるアルテであった。
え、慰めてやるの俺の役目?