異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第六話 金と命の両天秤

「~~~~!」

 

 オブライアンさんの詠唱が響いた。

 その直後、俺達の前に水の壁が生まれるのと、虎くらいあるぶくぶく太ったトカゲが一斉に火を吹くのが同時。

 

「うおっ!?」

「ぬ」

 

 ガイガーさんやアーベルさん含めて、驚く俺達の目の前で炎が水の壁で止められ、激しい蒸気を上げる。

 

「今のうちです! 火蜥蜴竜(サラマンダー)は一度火を吹くとしばらく吹けませんので!」

 

 え、あれサラマンダーなの!? 牛くらいある丸っこいPケモンと言うか黒くなったNオーみたいなのが!?

 

「後ろに何匹か火を吐いていない奴がいる! ハヤトは俺とそいつらを! アーベルとアルテ達は前を叩け!」

「は、はいっ!」

 

 ガイガーさんが即座に指示を出す。俺も慌てて頷いた。

 

「ウィングカッター!」

 

 他の武器は直線的にしか飛ばないので、誘導できる刃付きロケットパンチを放つ。

 前衛の火蜥蜴竜の間を一瞬ですり抜けたガイガーさんが、後衛の一匹の首を鮮やかに切り落とした。

 

 

 

 十分ほどして戦闘は終了した。

 薄れて消えていく火蜥蜴竜――2mくらいの愛嬌すら感じさせるまるっこいオオトカゲ――の屍を見て溜息をつく。

 

「こんなのがサラマンダーなのかあ。イメージ壊れるなあ。まるでサンショウウオじゃんか」

「ハヤトくん、『サラマンダー』って元々サンショウウオのことだよ」

「マジ!?」

 

 カオルくんの話を聞くと、サンショウウオを火に放り込んでもしばらくは死なないので、ヨーロッパでは火の力を持つ生き物だと思われていたらしい。

 それがいつの間にか火の精霊になったりと盛られていったのがゲームとかで俺の知るサラマンダーなのだそうだ。

 

「ニホンではそうなんだね。こちらの火蜥蜴竜(サラマンダー)はワイバーンや毒蜥蜴竜(コモドドラゴン)と同じ亜竜の一種なんだ。ガイガーさんやカオルくんたちだからあっさり倒せるけど、本来肉体的にもかなり強靱な怪物だよ」

「へー」

 

 撮影を続けながらオブライアンさん。

 さすがに学者と言うべきか、彼はダンジョンやモンスターについてもかなり造詣が深く、実力は折紙付きだけどモンスターとの交戦経験はあまりないらしいガイガーさんやアーベルさんに代わってパーティの知恵袋ポジに収まってる。

 さっきみたいに、支援の術を使うタイミングも結構手慣れてるし意外だ。

 

「ひょっとしてダンジョン攻略とか経験あります?」

「あはは、実はね。陸に上がってきてしばらくは冒険者のパーティに混ぜて貰って生計を立ててたんだ」

「はー」

 

 人に歴史ありやなあ。

 

 

 

 このダンジョンは今のところ十階層まで探索されているそうだ。今いるのは第五階層。ゴブリンと会ったのが第一階層、オーガーが第二階層、トロールが第四階層だ。

 これも慣例的な物だが、ダンジョンは基本的に一階、二階みたいな物理的な境目ではなく、安全地域を境目にして階層と数える。

 何故かというとこのダンジョンみたいに明確に階段と階層で区分けされるところばかりではなく、洞窟みたいに明確な階層の区別がないところや、ひたすら広くて奥に行くほど敵が強くなっていくみたいなところもあるからだそうな。

 

 ついでに言うとダンジョンによって、奥に行くごとに敵が強くなったりならなかったりもするし、ところによっては入ってすぐに巨人とか強めの亜竜が出てくる初心者お断りなところもあるらしい。

 こことか千年ダンジョンは序盤はすごく弱く、奥の方はすごく強いという、俺達はゲームで慣れてるがこっちの世界ではあまりないタイプで、それが長続きしている理由にもなっているのだそうだ。

 浅い層でも滅茶苦茶強いところだったりすると、モンスターがあふれ出したときに大災害になったりして、さっさとダンジョン攻略→消滅くらったりするからね。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 その日、六つめの安全地帯にたどり着いたのはもう日も沈んでかなり経ってからだった。

 ガイガーさん以外はみんなクタクタで、アーベルさんですら僅かに疲れが見える。

 

「今日はちょっと強行軍でしたね・・・すいません、第五層で止めようと進言すべきでした」

 

 マッパーも兼ねてるオブライアンさんの謝罪にガイガーさんが首を振る。

 

「いや・・・俺の判断だ」

「三日で六層攻略は大したもんだが、明日からは一層ずつにした方がいいな」

 

 アーベルさんの言葉にみんなが頷く。

 俺も小さいのをいくつかだけど魔力結晶も使って援護したし、オブライアンさんも負傷治療にいくつか小さめの魔力結晶を消費している。

 アーベルさんも移動中は先頭に立ち、罠を警戒しながら進むようになっている。

 途中で落とし穴を回避したり、飛び出す刃を解除したりと活躍してくれていた。

 

「目的はあくまで呪いを解くことだ・・・極論魔力結晶は全て使い切って構わん」

「配信が大受けしてるみたいですしね」

 

 大都市と言う事もあり、客入りは上々なんてものじゃないくらいの大賑わいだそうだ。

 三日で六層突破は新記録ものらしく、冒険者ギルドやダンジョン関連の役所からも視察の人が来てたとか。

 俺も魔力結晶はできれば持って帰りたいが、俺のために危ない橋を渡ってくれてるみんなの事を考えると、やっぱり惜しんじゃいけないかなとは思う。

 

「ちなみにさっきの火蜥蜴竜(サラマンダー)から落ちた魔力結晶な」

「はい」

「一個で数万ダコック・・・金貨数百枚くらいにはなるらしいぜ」

「ファッ?!」

 

 ニヤニヤ笑うアーベルさんに吹き出す俺。

 つまりこれ一個でえーと・・・数百万円!? 車が買える!

 さっきの火蜥蜴竜(サラマンダー)が十匹いたから数千万円!? これだけで高級車が買える! むしろ家が買える!

 

「や、やっぱり惜しまない・・・惜しめない・・・」

 

 ぶるぶる震えながら手の中の魔力結晶を見つめる俺。

 

「アーベル! ハヤトをからかわない!」

 

 アルテの怒声とアーベルさんの邪悪な高笑いが安全地帯に響き渡った。

 

 

 

 翌日。七階層。

 ここまで来ると他の冒険者にもほとんど会わない。

 オブライアンさんの話によると、ここまで入ってこれるのは一万人の冒険者がいるこの都市をして僅か十数パーティだそうだ。

 そうした実力者たちも普通は毎日攻略なんてことはまずしないから、中でかち合うことはあまりないらしい。

 

「・・・」

 

 おしゃべりなオブライアンさんやいつも飄々としたアーベルさんも今はマジ顔。

 そう言う階層だってのを、昨日までにみんな痛いほど理解している。

 

 そしてこの階層が重要なこととして、転移ポイントが設置されてることがある。

 つまり使用資格を持つ人間が起動させると、一階から七階まで一瞬で転移できるのだ。

 それこそエレベーターとか直通階段とかそう言うたぐいだな。

 

 ゲームで良くある奴と違うのは、資格があくまで個人個人に付与されること。

 パーティの中に有資格者が一人いれば転移できること。

 この階層にいるボス敵を倒せばそのパーティの全員に付与され、いったん付与されればずっと有効なこと。

 何十年かダンジョンに潜ってなかった人が資格取り消されてたみたいな話もあるらしいが、普通に攻略するなら問題ないだろう。

 

「まずはこの階で転移ポイントの使用資格を得ることを最優先にする・・・いいな」

 

 全員が無言で頷いた。

 

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