異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十二話 ボルフォッグがショタコンなのはデッカードの超AIを流用したから説

 『しるし』を付けられた人間を追いかけて、テントの裏手から出た俺達は家路を辿るお客さんたちの流れに紛れ込む。

 さすがペトロワさんの呪文は強力で、俺も『しるし』の魔力を見つけることができた。

 オブライアンさんは「水の匂い」と言っていたが、確かにそんな感じだ。

 目で見てるんじゃなくて、五感のどれとも違う・・・しいて言えば確かに嗅覚に近い感覚で『しるし』の魔力を辿ることができる。

 

 ともかくそうして『しるし』の匂いを辿って歩いていくと、人混みがバラけ始める。

 三々五々散っていく人々の中、『しるし』をつけられた人間を追っていくと、やがて周囲の建物が立派になり始めた。

 

「何かやな予感がするね」

「まさかとは思うけど貴族かな・・・」

 

 この頃になるとしるしをつけられた人間が直接見えていたが、そこそこ整ってはいても、貴族とか大金持ちの商人とかではない恰好の壮年の男だ。

 

「供回りもいないし、家の主人やその家族ということもないだろう。ただ、そうした家に仕えている人間だとしたらそれはそれで厄介だね」

「なるほど・・・」

 

 えらいさんが町外れみたいな治安の悪いところに出歩くなら、お忍びでもボディガードの一人くらいはつけるだろうと言う事だ。

 そうこうしているうちに男は大きな屋敷に入っていった。

 門番が門の外に立ってるが、何となくガラが悪い気がする。

 取りあえず誰の屋敷か通行人に聞いてみると、ローリンズという結構大きな商会の主のものらしい。牧畜や家畜の売買などで財をなした人とのこと。

 

「どうする? 取りあえず周辺で評判を聞いてみようか」

「・・・」

「ハヤトくん?」

「いや、考えてた。いいこと思いついたから俺は屋敷の中に潜入してみる。その間にオブライアンさんは酒場とかで聞き込みをしてほしい。日が暮れたらみんなの所に戻ろう」

「わかりました・・・何かする気なんだね?」

 

 あ、オブライアンさんがワクワクしてるのがわかる。

 やっぱりこの人好奇心旺盛だなあ。

 

「ここじゃ何だから、適当なところで」

「はい!」

 

 凄く嬉しそうなオブライアンさんを連れて俺は適当な路地を探す。 

 いいけど、この人そもそもの目的忘れてないだろうな?

 

 

 

 お屋敷とお屋敷の間の路地に入り、誰も見ていないのを確認すると俺は両手で適当な印を組んだ。フィクションの忍者が時々やるあれだ。

 《加護》によるものだから別に必要は無いのだが、そこはそれ気分である。魔法の身振りも本来は必要なくて、成功率を上げるための物だってペトロワ師匠言ってたしな! これも成功率を上げるための工夫!

 

「ホログラフィックミラージュ」

 

 そしてそう唱えると、俺の姿は周囲の風景に紛れ込むように消える。

 ホログラフィックミラージュ。「勇者獅子王ラオライガー」に登場する忍者ロボ、ミストヴォルグの技(装備?)の一つである。

 簡単に言えば周囲の風景に合わせて映像を体表面に投影し、自分の姿を隠す透明化機能だ。

 できればオブライアンさんも連れて行きたいのだが、原作では自分一人にしか効果が無い。

 応用して複数人に効果を及ぼすこともできそうではあるのだが、俺自身そうしたイメージができないのでは多分無理だ。もっともそんなことには関係なく、オブライアンさんは大はしゃぎだったが。

 

「うわあ! 凄い! ニンジャだ! ニンジャだよね、これ!」

 

 ちょっと待って、今聞き捨てならないことが(これまで何度言ったかは忘れた)。

 

「・・・この世界忍者いるの?」

「いるとも! 千三百年前"白のサムライ"と共にディテクに降り立った"紅の影"なんて有名だよ! "白のサムライ"の従者にして相棒として、英雄譚にも必ず歌われている人だよ!」

「そ、そうなんだ」

 

 考えてみると江戸時代から召喚され続けているのだ。

 本物の侍や忍者がいてもおかしくないか。

 

「ともかく俺は中に忍び込んでみる。オブライアンさんのほうもよろしく」

「うん、わかった」

 

 まじめな表情に戻ってオブライアンさんが頷く。

 (見えないけど)俺も頷いて、俺達はそれぞれその場を後にした。

 

 

 

 ローリンズの屋敷に戻り、塀の手前でジャンプ。

 驚いた事に俺の体はふわりと宙に浮き、3m近くある塀を軽々と飛び越えた。

 当然《加護》の力だ。今俺は人の姿をしたミストヴォルグ。

 人間サイズとは言え、忍者ロボであるミストヴォルグならば、この程度の運動能力はむしろ当然。忍び足・聞き耳と言った諜報向けの能力も相応のレベルに達しているのがわかる。

 

(その代わり、魔力もガリガリ削られてるけどなあ!)

 

 ここしばらくの、修道院とペトロワ師匠につけて貰った修行で体内の魔力量はおぼろげに感じ取れる。その魔力が、数分とは言わずとも一時間は保たないだろうという勢いでどんどん減少していっていた。

 

(日暮れまでって言ったけど、もっと急がないとまずいな)

 

 焦りを感じつつ、俺は中に人がいないのを確認して通用口から屋敷に入った。

 

 

 

 俺は全く気づかれずに屋敷の中を歩き回った。

 歩き回ったというのは語弊があるかも知れない。

 何せ俺は天井に張り付いたまま移動していたからだ。

 

 流石忍者と言うべきか、ミストヴォルグはそういう事ができる。壁に張り付くのも天井を歩くのも思いのままだ。

 その分魔力は消費してるみたいなんだが、屋敷の人間に全く気付かれることがないというメリットはそれを補って余りある。見えないとわかってても、すれ違うのは精神的にプレッシャーなんだよ! 俺が!

 

 というか天井をカサカサ走り回ってると、何と言うか忍者と言うよりGのつく害虫か、蜘蛛っぽいアメコミヒーローみたいだなあ。蜘蛛ヒーローみたいに不幸の連続になるのだけは勘弁願いたいから、この話はこれまでにしておこう、うんそれがいい。

 

(・・・お?)

 

 蜘蛛イダーセンス・・・もとい忍者ロボの聴力で話し声をキャッチした俺は、そちらの方にカサカサと天井を這い進んだ。

 

「・・・! ・・・!」

「・・・・・・・!」

 

 話し声と言うより怒鳴り声だ。口論をしている。

 強化聴覚がなくても聞こえるくらいだ。

 俺は熱探知装置(どこにあるのかは知らない)を起動させて、部屋の中の様子を探る。

 暖炉に火、その近くに男が二人。

 体温やや高めなので興奮してるらしい。

 

『とうさん! 僕はオードリーを愛しているんだ!』

『馬鹿を言え! お前をあんな女にくれてやれるか! やり捨ての愛人ならともかく!』

『オードリーはそんなんじゃない! 彼女は・・・!』

 

(うえー)

 

 聞くからにパターン入った三文芝居の親子ゲンカだ。

 この後駆け落ちとか名家のお嬢様との婚約とかそう言う話が入るんだろう。

 どうしてこう言うのはどこの世界でも同じなのかなあ・・・。

 

 なおそこからしばらく、何か役に立ちそうな話が聞けるかと思って耳をそばだてていたが、本当に婚約とか駆け落ちとかそう言う話になったのでうんざりして俺はそこを離れた。

 ええい、時間制限があるのに無駄に魔力使わせやがって・・・!

 

 とはいえその直後、幸運にも『しるし』をつけた男に出会えた。

 お盆に食事を載せて、屋敷の奥の方へと歩いていく。

 後をつけると男は地下へ降り、武装した男二人(私兵というらしい)が警備している扉の前で立ち止まった。

 

「おい」

 

 偉そうに顎をしゃくると、私兵が頷いて分厚い鉄の扉の鍵を開ける。

 慌てて『しるし』の男に付いてこっそり一緒に中に入る俺。

 

「お嬢さん、夕食だぜ」

「・・・」

 

 中は意外なほどに豪華な部屋だった。様々な装飾を施された高そうな家具、豪奢な絨毯に色とりどりの壁掛け。隅の方にある金色のバスタブ。

 だが俺の目を奪ったのはそれらではなく、薄物を羽織ってソファで俯いていた女性――青い肌に手足のヒレ、首元のエラ、魚のような大きな目――オブライアンさんの同胞である、魚人妖精(オアンネス)の女性だった。

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