異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第九話 奇妙な依頼人

「おはようございます。本日八階に挑戦されるとのことですので、ご説明に参りました。

 それと、その、特殊な依頼を・・・」

 

 式典が盛り上がった次の日。朝食直後にマナさんが野営地に現れた。

 ちらりと振り向いたその後ろには、俺から見てもわかる魔法の弓と短剣を持ち、革鎧に身を包んだ、やせた老人男性がいた。

 ピシッと伸びた背筋に鋭い眼光。年齢を微塵も感じさせないような、きびきびした動きでおじいさんが一礼する。

 

「第七階層を突破したばかりのあなたがたにお願いしたいことがある。

 わしを、第八階層の探索に連れていって頂きたい」

 

 どゆこと?

 

 

 

 食事を終えたばかりの食卓にお茶を用意して二人を招き入れる。

 

「まずは話を聞いてくれて礼を申し上げる。わしはスレイザック。元冒険者だ。

 同じく元冒険者の死んだ友人が『遺灰をダンジョンの中にまいてほしい』と遺言を残した。第八階層のエリアの一つにな」

 

 ああそういう。

 何か余程思い入れがあったりするので?

 

「・・・まあな。これでもリボン持ち(転移地点使用資格者)だ、さほど足手まといにはならないと思う。

 わしが死んだ場合はそのまま死体を打ち捨ててかまわん。灰だけを指定した地点で撒いて貰いたい。その場合わしの装備と所持品はその場で報酬として進呈する」

 

 真剣な老人の目に、しかしガイガーさんは首を振る。

 

「知っているだろうが我々は先を急ぐ理由がある。

 寄り道をしている余裕はない」

 

 ですよねー。

 が、オブライアンさんがそこで口を挟んだ。

 

「とも、言えないと思いますよ。このガイドブックの情報が正しいのなら」

 

 そうなの?と目を向けるとマナさんが頷く。

 

「第八階層は十六のエリアに分かれていまして、それぞれがランダムテレポートで繋がっています。

 そして第九階層に続く階段に行くには、十六のエリアを全て踏破してそれらのエリアに隠されたピースを集め、ジグゾーパズルのような金のメダルを完成させる必要があるんです。

 これが非常に面倒らしくて、他のリボン持ち(有資格者)のパーティはあらためて八階を探索するのをとても嫌がられるんですよ。

 メダルを完成させると七階に続く階段から直通で九階への下り階段に行ける様になるので尚更」

 

 あーなるほど。逆に俺達はこれから十六のエリアを全踏破しないといけないので、スレイザックさんを連れて行ってもさほどデメリットはない訳か。

 そう言うと少し困った様な笑顔でマナさんが頷いた。

 

「そう言う事ですのでお受け頂けるでしょうか。ギルドの認可を得た公式な依頼ですので、成功した場合はもちろん実績として記録させて頂きますし、お断りになってもペナルティやデメリットはございません」

 

 うーむ。聞いてる限りでは引き受けても損にはならなさそうだが。

 

「物語の種としては中々に面白い話でございますな。とは言え、冒険者ギルドが出すには奇妙な依頼ではありますぞ。何か裏があったりするんじゃないかですぞ?」

 

 ヒゲをしごきながらラファエルさん。目が少し笑っている。

 あはははは、とごまかし笑いを浮かべた後、マナさんは観念したようにがっくりうなだれた。

 

「そうなんですよねえ・・・本来ならちょっとお受けできないんですが、この方私の上司の上司と古い馴染みでして・・・こうして皆さんに無理なお願いをすることになったわけです」

 

 疲れた顔のマナさん。つれぇなあ。つれぇなあ。社畜はつれぇよなあ。

 

「他のリボン持ちパーティにも頼んでみたのだが軒並み断られてな。

 まあ気持ちはわかる。わしだって親友の遺言じゃなかったら死んでもごめんだ」

 

 そこまでめんどくさいんすか・・・

 

「行けばわかる。君たちも行けば絶対にわかる」

 

 スレイザックさんは溜息をついて首を振る。

 その様子が余りにも実感がこもっていて、アーベルさんですら茶茶を入れられない。

 

「報酬は、現金自体はさほど出せないが、成功時にはわしの装備品を進呈する。弓と短剣、革鎧一式、いくらかの魔法のアイテムだ。さっき言った通り途中でわしが死んだらその場で進呈する。ただ、その場合は必ず灰を撒いて貰いたい」

 

 そう言って弓や短剣、メダル、ロープなどを机の上に置く。師匠とオブライアンさんがそれを軽く調べて頷いていた。

 

「毒を無効化するメダルに、ひとりでに昇るロープ、逃げ足のブーツに暗視ゴーグルに魔法のバッグか。確かに結構なものじゃの」

「弓や短剣も軽く一財産だよ。僕達の部族なら家宝、いや部族の宝になってもおかしくない」

 

 おー。

 

「深層をうろついて揃えた装備だからな。第十階層でパーティが半壊しなかったら、ダンジョンを踏破していたかもしれない・・・それくらいの自負はあるよ」

「スレイザックさんのパーティ『雌鹿の目』(ドゥー・アイズ)は320年の歴史の中でも屈指のパーティでした。

 なにせ現在最深層である第十階層を初探索したのがこの方々ですから」

 

 おおおおお。すげえ。見る目が確実に変わったわ。

 

「というか疑問なんだけど・・・ダンジョンの奥で武器とか防具とか転がってるの?

 ダンジョンって神様の夢なんでしょ?」

 

 眉を寄せてカオルくん。

 そうか、ゲームじゃあるまいしそうなるよな。

 

「神の夢だからじゃよ。たとえば医神(クーグリ)のダンジョンなら稀少な薬草が突然生える事もあるし、食神(バーテラ)のダンジョンなら山海の様々な珍味が転がっておる。

 海神(イムダワ)のダンジョンなら海の幸や羅針盤、時には船そのもの。

 鍛冶神(ファラマー)ならそれこそ種類も豊富な様々な武具や道具が産出されるそうな。

 ダルクにあるという伝説の騎神(フリフット)のダンジョンでは、神馬と呼ばれる素晴らしい馬が勇者に与えられるというぞ」

 

 ほへー。

 ちなみにカオルくんが妙な言動してるので師匠に調べて貰ったが、今のところ危険はないだろうとのこと。

 なんか歯に物の挟まったような言い方だな・・・

 

「それで行くとここのダンジョンはどうなんでしょう?」

「黄金の女帝と契約した悪魔が作ったなんて与太話もありますけど、さすがにうさんくさいですね。基本的に魔法のアイテムしか出てこないので魔法神(アートシム)じゃないか、って言われたりもしますけど確証はないです」

「まあ余程特徴のある神でないと中々わからんからの。奴らとて元人間、趣味嗜好もさまざまじゃし、中には本来の研究範囲からかなり外れた権能の神として認識されておる例もある。

 金銭神(ネーザ)なんぞ元は単位・・・度量衡が専門じゃったに、何故か金儲けの神になっておるからな」

 

 それは一体どうして。

 

「だからわからんと言っておろう。まあ金勘定や取引で重要な神ではあるんじゃろうが」

 

 なるほどなー。閑話休題(それはさておき)

 

「どうするハヤト・・・俺としてはさほどメリットもデメリットもない、とは思うが」

 

 どうやら俺のための探索なので、俺に決めさせてくれるらしい。

 ちらりと見ると、他の人達も好きにしろという感じで頷いてくれる。

 

「わかりました。それじゃ受ける方向で。短い間ですけど、色々アドバイスも頂ければ」

「かたじけない。出来る限りの事はさせて貰う」

 

 やはりきびきびとした所作で、スレイザックさんが再び一礼した。




書いてて思ったけど食神(バーテラ)のダンジョンって、某トリコの世界に普通にありそうだな・・・(ぉ
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