異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十三話 サイコロ山

 草原を十分ほど歩くとサイコロのふもとについた。

 おおすげえ・・・上から滝が落ちてきてる。

 高度差1000m、本物を上回るエンジェルフォールだ。

 あるいは飛竜直下三千尺、マジで三千尺の滝か。

 滝ツボの中にドラゴンみたいな鎧ありそう。

 ・・・あれ? サイコロまで2,3キロあったと思うけどちょっと早くない? それとも目の錯覚かしらん。

 

「いや・・・ボク達の身体能力が上がってるんだと思う。

 何だかんだでボク達結構戦ってるし」

「それにここ一月、ダンジョンでガンガン戦ってるからな。既に大量に摂取してる俺達より、若いお前らの方が目に見える成長は大きいだろう」

 

 え? まさかモンスター倒すと経験点入るの?

 

「ケイケンチだね。冒険者族の言葉では、モンスターや生物を倒した時に浴びる微量の魔力・生命力を指すんだ。これが少しずつ生物の体を強化するんだよ」

 

 マジか。ホントRPGの経験値だな。

 

「まあ無駄話はさておき・・・こりゃ確かに難物だな」

 

 アーベルさんに続いて俺達も上を見上げる。

 視界を覆う巨大な灰色の壁。首が痛くなるくらい見上げてようやくそのてっぺんが見える。

 

「『サイコロ』の周辺100mくらいで既に飛行の魔力が働かなくなる。

 上空から近づこうとしても、100mくらいに接近するとそこで魔力が働かなくなって上昇も水平移動も出来なくなるそうだ。ただ自前の翼で飛ぶものは問題ない。鳥に変身した獣術師がそこをクリアした例もあるでな」

 

 スレイザックさんの解説。

 ん? ということは飛べなくてもホバリングは出来る?

 

「うむ。軟着陸(フェザーフォール)の呪文も有効だ。そこで『これ』が有効になるわけだな」

 

 そう言うとスレイザックさんは背中の大荷物を降ろす。

 かなり大型の箱で、小さめの冷蔵庫くらいある代物だが、かなりのお年にもかかわらずこれを軽々と担いでずっとついてきてたのだ。

 

「ようやく使うことになったなあ」

「八階に挑戦する時に用意して・・・丁度一月くらいかあ」

 

 この人の依頼を受けた時に一緒に相談して用意して、ようやく日の目を見たわけだ。

 箱の蓋を開けて出てきたのは頑丈なロープ、頭に輪のついた鉄の細杭、それを岩壁に打ち込むためのハンマー、ロープを繋ぐ金具つきのベルト・・・つまりロッククライミングの道具である。

 

「これ全部こっちで作ったものなんですねー・・・」

「『自由なる風』というオリジナル冒険者族のニンジャがいてのう。そいつが伝えた技術や道具が山岳民族や軍の特殊部隊、あるいは趣味人に継承されておるんじゃよ。

 わしらもここを昇るときはこれと、この魔法のロープを使ったんじゃ」

 

 なるほど。それでアーベルさんと俺が指名されたんですね。

 

「俺もそれなりには自信があるが、お前は壁に貼り付けるし、空も飛べるからな・・・よっ、と」

「!?」

 

 言うなり走り出したアーベルさんが、10mくらいジャンプして岩壁に張り付いた。

 

「おおおおお」

 

 そのままスルスルと5mくらい垂直の壁を這い上がると、アーベルさんは無造作に飛び降りてきた。

 すげえな、魔法にしか見えない。

 

「俺もちょっとは心得があってな。天然物である限り、ツルツルの壁に見えて、でっぱりや細い割れ目なんかは必ずあるもんさ。そうしたところを指で挟み込んだり、指を差し込んだりして体をホールドするんだ。少し教われば、お前にもどこを昇ればいいかわかるようになるだろうさ」

「はー」

「ではレクチャーを始めようか。まずお前さん達二人がメインで上り、ロープを張る。

 それを伝って残りのものが昇ってくる、そう言う流れじゃな」

 

 それから三十分くらい、俺達は基本的な道具の使い方やロッククライミングの技法を教わった。

 

「・・・そう言えば登ってるときにモンスターとか襲ってきます?」

「稀にな。そう言う時は弓と術が使える面子が何とかしておったわい」

 

 やっぱりかー。まあ俺とカオルくんがいりゃ何とかなるだろう。

 ちなみに当然ながらみんな鎧を外して登ることになるのだが・・・

 アルテのおっぱいとかお腹とかに、革のベルトがめっちゃ食い込んでる。

 うーん、駄肉。だがそれがいい!

 

 ・・・そう心の中で思っただけなのに、グーパンチで殴られた。

 ひどない?

 

「ひどくない」

「だから君顔に出るんだって・・・」

 

 日本にいたときも確かに顔に出るとは言われたけど、ここまでサトラレった覚えはないんだけどなあ・・・

 

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 

 するするする、と魔法のロープが伸びて、アーベルさんを地上100m地点まで運ぶ。

 昔話の空に向かって伸びるロープの手品師みたいだな。

 

 アーベルさんが穴付き杭(ペグ)を岩壁に打ち込み、ロープを通して自分の体の固定を確認すると手を大きく回す。

 すると魔法のロープが下りてきて、今度は俺の番だ。

 

「ロープよ、岩と二人を繋げ」

 

 そうして七人全員が岩壁に体を固定すると、今度はアーベルさんの命令に従ってロープがペグとアーベルさん、俺を結ぶ。

 体を保持するロープとは別に、落ちそうになったらこれが体を支えてくれるらしい。

 

「よし、じゃあ行け」

「うっす」

 

 頷いて俺は登攀を始めた。

 もちろんアーベルさんみたいな華麗な登攀技術はないが、それでもミストヴォルグのニンジャ能力で壁に貼り付ける俺には何ら障害はない。

 先ほど学んだばかりの登攀技術でも、指で突起をつまんだり、割れ目に手の平を差し込んだり、そう言う事をするだけでも魔力消費量がぐっと減ってる。

 このままなら頂上まで休息無しで登り切れるかもしれない。

 

「そう思っていた時期が俺にもありました」

「ギャワー! 私まだ死にたくないんじゃよー!」

「我々の命もどうなるか! 地表がますます近づいてまいりました、いよいよ最期です! さようなら皆さん、さようなら!」

「何落ち着いてるんだ! 《加護》! 《加護》発動しろよ!?」

 

 キャラ崩壊して泣きわめいているのがアルテ。

 一周回って怪獣王に踏みつぶされそうなアナウンサーなみに冷静に配信続けているオブライアンさん。

 珍しくアーベルさんも血相を変えている。

 まあそれもそうだ。

 現在俺達は地上500mから巨大な岩盤と共に落下中なのだから。

 

 500mまでは良かったのだ。

 魔力結晶を使いまくり、三時間という驚異的なペースでそこまで登った。

 俺達二人が数十メートル登っては体を固定して魔法のロープでみんなを一人ずつ引き上げ、それを繰り返してあっという間にサイコロの半分まで到達した。

 

「おお、本当にあった」

「そりゃありますよ、ガイドブックにも書いてあるんですから」

 

 実際の登山と同じようにこのサイコロ山登りにも定番のルートがいくつかあって、その一つがここ。その理由が数人が休めるくらいの出っ張った岩棚だった。

 で、そこで一休みして晩ご飯にしようとしたわけですよ。後半分登るためのエネルギー補給を。

 そしたらね、岩棚が。というか周囲の岩盤が、前置き無しに丸ごと剥がれて崩れ落ちたわけですよ。

 とっさの、余りのことに呆然として《加護》を発動する事もできなくてね。

 こうして大量の瓦礫と共に自由落下しておるわけですわ。

 やっぱあれかね、アルテさんが重かったのかね。

 

「ブッ殺すわよあんたー!?」

 

 妙に冷静なことを考えつつ、俺達は落ちていった。

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