異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
落ちてます落ちてます! 真っ逆さまに落ちてます!
「だからどうにかしろ! この中で飛べるのお前だけなんだぞ!」
わかってますよ! でも岩盤ごと落っこちてるんだから、下手に空中に止まったら瓦礫にぶつかってジ・エンドだと思うんですよ!
脳みそのギアを何とか冷静に持っていって、落ちてる面子が魔法のロープで繋がってるのを確認する。
「ミサイルラッシュ!」
「あいてっ!」
上空に向けてミサイルの乱射。
頭上のでかい岩が粉々に砕けたことを確認すると、ミストヴォルグのプロペラを発動させて落下を止める。
いくつか破片が当たった面子はいたが、重傷はいない。
「ふうっ」
安堵の溜息をつき、俺は地上へゆっくりと降りていった。
「ハヤト、アーベル、どうだ」
「あの岩棚の周辺、半径100mくらいが綺麗に剥がれ落ちてますね・・・」
「俺の目にもそう見えるな。こっち側のルートはもう使えねえか」
「ですねえ」
オブライアンさんが溜息をついてガイドブックをパラパラとめくる。
「東壁の・・・こっちのルートも100mくらい剥がれ落ちたとなると影響受けてそうですし、登る壁面は変えなきゃなりませんね。北壁とかよさそうですが」
師匠と念話の術で連絡取ってみたところ、外でも大騒ぎだそうだ。
冒険者ギルドの人の要請で、剥落したところをオブライアンさんが望遠で撮影したりしている。
「まあ取りあえずは明日だ。今日はもう飯食って寝ようぜ」
「そだね・・・」
ダンジョンの中はずっと昼だけど、外はもう暗いらしい。
俺達は言葉少なに飯を食い、そのまま寝た。
翌朝、朝食。
アーベルさんとオブライアンさんはガイドブックを見て、ああでもないこうでもないと上るルートを策定してる。
それを横目で見つつ、俺達は雑談で時間を潰していた。
「実際他の
「まあの。登山用具と比較的出回っている
ギルドにはそのためだけに登山用具の在庫や、登山技術の指南役がいる。
この道具だってギルドから手に入れたものじゃ」
なるほどー。
他に何か手段はないんですか?
「昨日言ったと思うが鳥や蝙蝠に変身できる獣術師を使って、一人だけ祭壇に到達させてメダルを獲得するというのがよく聞く話かの。
獣術師は転移されてしまうから次のエリアの帰還ポイントから入口に戻り、残った
事故起こりそうですねー。
「いっぺん獣術師が死んで攻略が詰んだこともあったらしいな。まあ空を飛べる小動物だから、大概は帰還ポイントまで何とかたどり着けるそうじゃが」
なるほど、他には?
「そうじゃな、飛行禁止エリアの範囲外で高く上昇してから何と言ったか、ニホンからもたらされた布と木で作った翼で空を飛んでサイコロの上に到達した例もあると聞く」
「ハンググライダーだ!」
「ああそうそう、そんな名前じゃったな」
うわー、知識無双やー。
「同じように気球をわざわざ持ち込んで挑んだ
「それはなぜ?」
「外のように見えても閉鎖空間じゃからな・・・気球が動くくらいの風が吹かなかったんじゃよ」
まさかの無風状態。
まあ確かにダンジョンの中だからな・・・。
「というか気球あるんですね。これまで見なかったけど」
「見せ物でやってるところはあるね」
「軍では警戒用に使ってるところもあるぜ」
「ただ、下手なところで使うと一発でモンスターに落とされるらしいんだよねー」
そりゃそうだ。
「やっぱハンググライダーかなあ。ハヤトくん、あの赤い翼って滑空は出来ないの?」
「一応空力は考慮してるらしいけど、あの大きさじゃ・・・」
しかし俺に電流走る――!
「って、それだー! 先にそれ言っておいて欲しかったな!」
「のわっ!?」
「大きい、声大きい!」
「で・・・何をやる」
「だからハンググライダーですよ。うまくいったら御喝采ってね」
サイコロ岩から百数十メートル。
俺は紅の翼を装着し、上空に飛び上がった。
「よし」
あっという間に高度千五百メートル。俺は紅の翼を消し、新たなロボを呼び出す。
その名は――
「陰謀の牙タクラム!」
背中に広がる翼。
ただし、今度のはいかにもロボットアニメの「翼っぽいもの」ではなく、リアルにありそうなハンググライダーそのものだ。
陰謀の牙タクラム。一言で言うとアフガニスタンかベトナムか朝鮮戦争みたいな状況でロボットで戦う話。
SFなのだが謎のガス星雲の影響で高度な電子機器が使えないため、使う兵器が割とローテク。
で、その中にあったのだ。「巨大ロボット用のハンググライダー」というとんでもないものが。
いやほんと、巨大ロボがハンググライダーで滑空して潜入するんだよ、敵基地に。
監督がミリオタなので、多分二次大戦の頃に使われていた軍用グライダーから発想したんだろう。もしくはアクションもの、特殊部隊ものの映画か何かか。
「よし、いけるぞ!」
俺は眼下のサイコロ岩に向かい、慎重に降下を始めた。
その様子は、当然下に残った面子からもはっきり見えている。
「おお、カモメみたいにすーっと飛んでやがる」
「ほんとだ、ハンググライダーそのものだよ!」
「赤い翼もそうじゃが、あんなもんどっから出したんじゃ?」
「まあハヤトの《加護》は色々便利だから・・・うーん、よく見えないな」
旋回しながら高度を下げていくハヤトのハンググライダー。
全員が空を見上げている。
だから、カオルの目が怪しく色を変えた事に気付くものは誰もいなかった。
ハヤトです。
ゆっくりと左旋回しながら高度を下げていってるんですが、何か周囲からすごい羽音が聞こえます。
ギャワー! ワイバーンの群れなんじゃよー!
「ハヤトくん!?」
「うわー、たかられてらぁ・・・」
「カオル! スレイザックさん! 何とかしてよ!」
「い、いやさすがに1000m上空だと・・・」
「伝説のトロールの弩弓でもないとちょっとなあ・・・」
「あ、落ちた」
上も下も前も右も後ろも左もみんなワイバーン。
錐もみ墜落しながら周囲に火器をこれでもかとばらまき、俺は何とか軟着陸した。死ぬかと思ったぞ!
しまった、二回続けて落下落ちだ!