異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十七話 混沌の渦

混沌の渦(メイルストローム)・・・ってなんです?」

「災厄をもたらすものと王家には伝わっていますが私も詳しい事は・・・ハルギア様?」

 

 視線を向けられたハルギアさんが頷く。

 

「そうね。まずあなたは魔法の原理について知っているかしら?」

「へ? ええと、意志の力で『魔法の素』に働きかけて世界を変える技術、だったでしょうか」

 

 ペトロワ師匠の説明の丸暗記である。

 まあだいたいそんなところね、とハルギアさんがもう一度頷いた。

 

「魔法というのは魔素(マナ)の力を借りて世界の法則を曲げる術。術式とか呪文はそのための補助ツールに過ぎない。

 そして神ならぬ人間がまがりなりにも世界の法則を曲げられるのは、『この世界の法則ではない法則』がこの世に存在するから。

 この世界と世界の法則というのは混沌の中から創造の八神が作ったもの。

 魔法というのは『何でもアリ』な混沌の法則をごく僅かに使ってこの世界を変化させるものなのよ」

 

 ・・・えーとつまり、この世界の外に混沌があって、その力を使うのが魔法?

 

「まあそう言う理解で構わないわ。ただ魔法はこの世界の中にあるごくごく薄い混沌――それが世界の不確定性を生み出す――を利用しているのだけど、混沌の渦(メイルストローム)は、この世界の外に存在する()の混沌そのものなのよ」

 

 ふむふむ、なるほど・・・え、それめっちゃやばない!?

 

「やばいわね」

「やばいですね」

 

 ですよね! 下手すると世界崩壊する奴だ! 蟻の一穴とか堤防(ダム)の穴とかそういうの!

 

「まあ心配しないでいいわよ。今すぐにどうこうというものではないから。

 ()の混沌とは言ってもこの世界に現出した時点で本当の混沌ではなくなっている。

 この世界の法則に従って形を得たものが混沌の渦(メイルストローム)であり、ある意味では安定しているの。

 ただ・・・安定した一方である種の知性を得ちゃったのよねえ、これが」

 

 すごいな、何を言ってるかわからないけどヤバい事だけはわかる。

 言葉の意味はよくわからんが、何やらすごい事態だぜよ!

 

「まあね。一言で言うと周囲も巻き込んで混沌の渦を巨大化しようとしたので、私が地下に墳墓を作ってふたになったわけ。生身の体を要石にして、意識はこうして霊体になってね」

 

 肩をすくめるハルギアさん。

 すごいな、自らいけにえというか人柱になりに行ったのか・・・尊敬しかない。

 しかし、それが何で悪魔と契約したとか王家に呪いをって話に?

 

「だから、その墳墓と封印巻き込んでダンジョンが出来てしまったからよ。

 せっかく人が封印作ったのに、どこの神だか知らないけれど一発ひっぱたいてやりたいわね」

 

 髪をかき上げながら物憂げに溜息をつく。

 う、カオルくんの顔と体なのにもの凄く大人ってかんじ。

 視線に気付いたのか、ハルギアさんがくすりと笑い、俺はちょっと赤面して視線を逸らす。

 

「そ、それで封印が緩んで、知性を持った混沌の渦が王家に呪いをかけたので、人心を乱さないように王家とハルギアさんでそうしたカバーストーリーを作ったと!」

「おー。やっぱりハヤトさん、見かけによらず頭は切れますね」

 

 感心してくれるのは嬉しいけど、見かけによらずは余計ですマナさん!

 

「あ、すいません」

 

 素直に頭を下げてくれるのがかわいい。純真な巨乳メガネッ子最高。

 というか日本のフィクションでは割と良くある話だからそうかなと思っただけです!

 

「謙遜しなくてもいいわよ。十分大した事だから。

 ともかく墳墓・・・本来の墳墓はこの地下十階層と九階層の宮殿なのだけど、それによる封印はまだ効力を保ってるわ。奴はこの下から動けない。

 ただ、無形の影響力というか暗示や呪いをかけることは出来たのよ」

 

 それが王家に対する呪い?

 

「ええ。実際王家のものは長生きできないようになりました。私たち女はまだしも、男はほとんどが三十までに死んでしまうんです」

「『これを解除したければダンジョンを攻略せよ』とかそう言うつもりだったんじゃないかしら。擬似的な知性を持っているとは言っても人間とはまるで違う存在だし、本当の事はわからないけど」

 

 コミュニケーション不能な相手って事ですか。

 そう言うとハルギアさんが溜息をついて頷いた。

 

「古の暗き大地の精霊みたいなものかしらね。何度か試してはみたけど、人間とは全く異なる思考パターンを持つ存在よ。

 ついでに付け加えるなら、そうした暗示が人々を引き寄せて、急速にダンジョンを攻略したのもあるわね。第八階層とか色々と細工したからかなり攻略速度は鈍ったし、本当に強い人じゃないと奥に進めないようにしたけど」

 

 あれはあんたのせいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 人がどれだけ苦労したと思ってんだぁぁぁ!

 今の俺ならそのままデモゴディにもなれるし大激弩も放てるぞ! 額の宝玉が赤く点滅するぞ!

 いきなりブチ切れた俺に二人が慌てた顔になる。

 

「ま、まあまあまあまあ! 落ち着いて下さいハヤトさん! 必要な事だったんです!」

「うんまあ怒るのはわかるわ! でも下手な人間が最下層に来てあいつと接触したりするのは完全にアウトだったのよ! 取りあえず怒りを抑えて話を聞いてちょうだい!」

 

 二人がかりでなだめられ、不承不承怒りを抑える。

 これは理性の結果なんだからね!

 決してマナさんに腕にすがりつかれたときのメガネおっぱいの感触とかそういうことではないんだからね!

 いやしかし大きかったし柔らかかったなあ・・・アルテのそれに勝るとも劣らぬ。

 

「あ、はい、ありがとうございます・・・」

 

 そんなことを考えていたらマナさんが赤面して俯いてしまった。

 ちょっと待って下さい、口に出してませんよね!?

 

「あなた考えが顔に出るっていつも言われてるでしょう? 口に出してるのと同じよ。

 歩くセクハラね」

 

 そりゃまあおっしゃるとおりですが、その、何と言うか手心を・・・

 

「何なら王家の者達に、彼女が王女様と知ってセクハラしたって言っちゃおうかしら」

「私が悪うございました!」

 

 ベッドの上で瞬時にジャパニーズ土下座を決める俺。

 この一年近く、異世界で鍛え上げた身体能力を見よ・・・!

 ひれ伏した俺を見てにやにや笑うハルギア様。

 

「この子は私の遠い孫でもあるんだからね? セクハラするなら私にしておきなさい。この体の持ち主はいつでもオッケーだから・・・あら、暴れてるわね。ふふ、照れちゃって」

「あの、ハルギア様。話を・・・」

 

 かぼそいマナさんの声。

 はいはい、と笑いつつハルギア様は表情をまじめなものに切り替えた。俺も顔を上げる。

 

「ともかく、あいつはよりによってダンジョン・コアと一体化しちゃったみたいなの。

 下手な人間が接触したら、あいつに取り込まれて実体を持つ端末になってしまう。

 そうしたら、奴が直接地上やこの封印に干渉できるようになるのよ」

 

 それは・・・洒落にならんすな。ダンジョンを攻略するにはダンジョンコアをどうにかしなければいけないらしいし。

 ・・・まさかとは思うけど、スレイザックさんのパーティが壊滅したのも・・・

 

「私がやったことではないわ。けど道のりを長くしたり、攻略を諦めないように帰還ポイントや『チカテツ』を配置したりはしたから、責任が全くないとは言えないわね」

「ハヤトさん、それはその・・・必要な事だったんです! ハルギア様は・・・」

「いいよ、わかるから」

 

 スレイザックさんたちだって、死の危険を覚悟してダンジョンに潜ってたんだ。それに「地下鉄」や帰還ポイントはむしろ冒険者の生存確率を上げるためのもの。

 それが冒険者を諦めさせず、攻略にのめり込ませたと言われても・・・そこはしょうがない。彼らの選択の結果だ。

 溜息をつく。二人は無言。

 

「それで? 俺やカオルくんに何をさせようってんです・・・って訊くまでもないか」

「ええ」

 

 頷くハルギアさん。

 

「あいつを・・・混沌の渦をダンジョン・コアから引きはがし、消滅させて欲しいの」

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