異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「それで、甲冑に短剣に宝珠に魔除けか。それらは全部揃っておるのか?」
「
と、ホログラムの足元を指すハルギア(もう意地でもさんづけはしてやらん)。
机の上には細長い六角形のペンダントがあり、はまった赤い宝石から映像が投影されている。
「ところで師匠、アミュレットとタリスマンって何か違うんですか?」
「ほぼないの。ただ、アミュレットは人が身につけるものだが、タリスマンは建物に設置するものもそういうことがある」
「日本で言うと狛犬や鬼瓦、道祖神あたりもタリスマンに含まれるって事かな?」
と、着替えたカオルくん。なるほどなー。
なお平静を装ってはいるがこっちを見てはくれない。悲しい。
「・・・」
痛い! お願いだからアイアンクローは勘弁して下さいアルテさん! 頭蓋骨がぐしゃっと潰れちゃうの!
「ええい、うろたえるな小僧どもー! 魔除けは、と言うことは他のものはないのか?」
「本来はこの墳墓と一階層下に封印の一部として配置していたのですが、ダンジョンが生成されたときにダンジョン中に散らばってしまったんですよねえ・・・ダンジョンの影響もあって、それぞれに守護者が発生してるようで」
うわあ、めんどくせえ。ゲームじゃないんだぞ!
そう言うとマナさんが困った様に注釈を入れてくれた。
「ダンジョンってそう言うものらしいんですよ。強力な魔力を秘めたものがあれば、その周囲に自然とダンジョンの魔力が集まって、外殻を形成するんです。
ダンジョンですから、大抵の場合『外殻』はモンスターの姿をとるんですね。これを俗に『守護者』と言うんです」
モンスター倒して宝物が落ちるのってそう言う理屈だったのか・・・!
「すると探さねばならんのは三つか」
「いえ、九つです。鎧が部位ごとに分かれてるので・・・兜、胴鎧、右腕、左腕、右足、左足、盾です」
め、めんどくせえ・・・!
「正直これでもまだマシでしょ。
やるしかないのか・・・全員が一斉に深い溜息をついた。
まず取りかかったのは
宝珠はこの地下十階層に、真実の短剣は十一階層にあるのだが、第十階層の「裏」のような場所からしか行けないらしく、その裏に行くために甲冑が必要なのだそうだ。
「めんどくさいことになってるなあ・・・」
「本来は混沌の渦が活性化して封印を破った時の備えだったんだけどね。甲冑を装備して地脈の力を蓄える装置から短剣を取り出し、直接奴に叩き込むはずだったのよ」
ほんとひどいことになってるなダンジョンのせいで。
まあ愚痴っててもしゃーない。行きますか。
地上に戻るマナさんと別れ、俺達はダンジョンの上層に向かった。
地下第一階層。あっという間に駆け抜けてほとんど覚えてもいないそこに俺達は戻ってきた。
ちなみに配信は再開した。オブライアンさんの熱き主張が通った・・・わけではない。
万が一の場合に備えて記録を残しておくべきだとマナさんが主張したのだ。
本来ならギルド内でも紛糾しそうだが、マナさんは王族なので横紙破りが出来る。最悪でも頭下げてテヘペロ!すれば何とかなるらしい(本人談)。
今頃は野営地でギルドの記録員が俺達の行動を細大漏らさず記録しているはずだ。
もっとも職員含めて詳しい事情はみんな知らされていない。「裏ダンジョン発見だ!」くらいの感じでラファエルさんが適当に誤魔化してるはずである。
何の変哲もない、ガイドブックの地図では行き止まりになっているところに来ると、カオルくんが下げてるハルギアの魔除けから光が伸びた。
行き止まりの岩が左右に開いて通路が現れる。
「おおおおお」
「早く入りなさい。魔力の無駄だから」
俺達が入ると、岩の扉は再び閉じて継ぎ目もわからなくなった。
「うおおおおおお!?」
マップに載ってない、岩壁の中の通路をあっちに行ったりこっちに行ったりして進む。
ようやく行き当たった最後の大きな空間。
そこに入った途端襲いかかって来たのが巨大な右腕だった。
空飛ぶ鉄腕グンマー?! それともイワテか!?
「散開しろ!」
空を突進してくる10mくらいの巨大な右拳。
ガイガーさんの号令に従ってばらける俺達だが・・・あかん、カオルくん狙ってる!
「カオル!」
「この! ロケット・・・」
だめだ、一瞬遅い! このままじゃ・・・!?
「ふっ!」
カオルくんの短い気合。
サンダースウォードが巨腕の軌道を逸らした!
うっそぉ!?
10mの腕の突進を、等身大の人間が、剣だけで逸らしたぞ!?
「ヒュウ!」
口笛を吹くアーベルさん、ガイガーさんすら目を見張っている。
だが、一瞬でも隙ができたなら!
「ええい、ロケットパンチならこっちが本家本元よぉ!」
両腕を大回転させて両拳を放つ!
「大回転ロケットパンチ!」
放たれた両拳は巨腕に激突し、粉々に打ち砕いた。
「・・・粉々に砕いちゃって大丈夫だったの?
中に鎧の一部が入ってるんでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・ああっ!?
「心配しなくていいわ。粉々に砕いたところで再構成されるわ。そういうものよ」
よ、よかった・・・・。
ご都合主義バンザイ!
「そうなの?」
「じゃないかな」
聞かなかった振りをして俺は次へ行こうとみんなを促した。
そこからの戦闘もやはり熾烈を極めた。
爆炎を放つ左腕は、師匠とオブライアンさんの咄嗟の水術で相殺した。
魔力を絞り出したオブライアンさんがしおしおのぷーになっていたが、やむを得ぬ犠牲であろう。
決して見て欲しくない場面を配信されたから私情が交じっているなどと言う事はない。
空中から真空飛び膝蹴りをかましてきた右足は、アルテの巨大
地面に叩き落とされた右足は、鉱夫めいたアルテの暴力により粉砕!爆砕!大喝采!
・・・いつもはあれで手加減しててくれたんだなあ。
一直線に、槍のように突っ込んで来た左足を、正面からガイガーさんが切り下げる。
10mの柱みたいなブツを半分以上ただの剣で切り裂いたんだぜ。人間かよ。剣聖だけど。
さすがに剣がもたずに折れてしまったが、師匠が一分で直してくれました。
盾が一番驚いた。何せ体当たりしてくるのかと思ったら、盾の表面から無数の
ええい、盾に射撃武器搭載するとか、ハルギアてめえZオン軍だな!
「なにそれ? あと様をつけなさい」
「そっちこそ様をつけろよデコスケがぁ!」
「サンダースウォード!」
俺達が漫才をやってる間にも全力で破魔の雷光を放つカオルくん。
魔力によって作った炎や氷をぶつけてくる他の呪文と違い、これは純粋な魔力と術式なので解呪の魔力で相殺できるってことらしい。
だがそんなことを考えている場合じゃあない!
「ジゴ・ドリル・ブレイカーッ!」
固いものをブチ砕くにはやっぱりドリルだよな!
体よりでかいドリルを盾にしてそのまま突貫、俺の体内魔力の大半と引き替えに巨大な盾は砕け散った。
「寒いぃぃぃ?! 師匠、もっとストーブの温度上げて!」
やばかったのが兜。全体から冷気を噴射して、部屋自体を一瞬にしてマイナス数十度だか何百度だかに冷却しやがった!
マジで寒いと体が一瞬に動かなくなるのね! 師匠の術なかったら即死してたよ!
だからもっと温度のつまみ回して!
「人の防御呪文をストーブ呼ばわりするな! 炎の術ならむしろお前の得手じゃろうが!」
そういやそうでした! 寒いと頭も働かなくなるね!
「ブレストヴォルケイノ!」
魔力結晶を惜しみなくつぎ込んだ、最大火力の熱光線が兜を打ち砕いた。
鎧? 鎧は語る事は何もない。何せひたすら殴ってただけだからな!
動きは全く見せないし攻撃もしてこないんだが、とにかくひたすら固い! 頑丈! 魔法も弾く!
何せサンダースウォードや師匠の魔術すら歯が立たないと来ては、ダメージ与えられるのがアルテと俺だけ。最後の方はみんな焚き火でお茶しながら俺達の奮戦を見物してた。ちくしょう! いや師匠は肉体強化とか疲労回復の呪文で補助してくれてたけどね!?
と言うかこれもう戦闘じゃなくて採掘だよ!
半日くらいひたすら殴って、ようやく最後のパーツが揃った。
ぜーはー息をつく俺達をみんながねぎらってくれる。
「さて、他のパーツを出して」
「ほいほい」
アーベルさんが魔法のバッグから、これまで集めたサファイアの甲冑の各部を取り出す。
兜、右腕、左腕、右足、左足、盾・・・
「~~~」
「お?」
ハルギアの呪文に応じて、胴鎧含めた全てのパーツが宙に浮かぶ。
そのままパーツはカオルくんを目指して飛び、
「うお!?」
「まぶしい!」
青い清冽な光。
それが収まった後には、右手にサンダースウォード、左手にサファイアの盾。透き通るような青い全身甲冑を身に纏った騎士の姿があった。
「勇者よ、青き宝玉の鎧を預けます。どうぞ世界を危うくする混沌の渦を破壊せん事を」
この時だけは古の偉大な女王らしく、ハルギアが恭しい礼をした。
>空飛ぶ鉄腕グンマー?! それともイワテか!?
元ネタはマジンガーZの「空飛ぶ鉄腕ダイアン」。ジャイアントロボ(実写)の「巨腕ガンガー」、ライディーンの「怪力ガンマー」「ガンテ」です。ガンマー以外は全部名前通りの空飛ぶ手。
群馬と岩手はまあ、ガンマーとガンテで語感がよかったもので・・・w