異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
青く清冽な光を放つ、全身サファイアで出来た古代の魔法甲冑。
各所に宝珠のはめ込まれた青玉の全身鎧と盾、右手には金の象眼が施された黒き魔剣サンダースウォード。
身につけているのが凛々しくスマートなカオルくんだけあって、立ち姿だけで溜息を漏らすような美しさと荘厳さがあった。
全員が――ハルギアも含めて――その姿に見入っている。
「あ、あの、そろそろ先に進まない・・・?」
やがて視線に耐えきれなくなったのか、カオルくんが顔を赤くして提案する。
くすくす笑いながら俺達はそれを了承し、カオルくんは更に顔を赤くしていた。
一階層から一つずつ鎧のパーツを集めて、最後の一つを手に入れたのが七階。
そこから悪夢の八階を抜けて九階に降り、直通「チカテツ」で宮殿の中央に移動して十階層に降りる。
「おー、これが第十階層の起点かあ」
「そっか、ハヤトたちは直接転移したから知らないのね」
「気を失って、目が覚めたときはあの寝室だったし」
「ボクもその時は意識がなくてハルギア様が身体を動かしてる状態だったからね・・・はっ?」
殺気! これ俺でもわかる奴!
「そーかー、そーよねー。心配したのにハヤトたちはお楽しみだったんだものねー・・・」
落ち着いて! もう既にやったネタだからそれ!
そっちから話振っておいて怒りスイッチ入るとか理不尽すぎる!
「怒る!」のは金属ダー変身の時だけにして頂きたい!
そう言えば親父がおふくろについて同じ事言って愚痴ってたな!
「・・・わかってるわよ。私だってこの非常時にむし返したりはしないわ」
ほっ。
俺の隣ではカオルくんも同様に胸をなで下ろしている。
「非常時が過ぎたらしっかり話を聞かせて貰うけど」
ひえっ。
・・・さて、色々あったが第十階層は螺旋状の構成をしている。
北西に九階からの階段があって、ぐるっと回って中央に「ボス」であるハルギアの居室(寝室の奥にハルギアの体が安置された墓所があるそうだ)。
そしてその螺旋の隙間を縫うようにもう一つの螺旋状のダンジョンがある。
表――――──――――――┐
┏━━━━━━━━━━━┓│
┃┌─────────┐┃|
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┃|┃┌―───―○┃│┃|
┃|┃|●━━━━━┛│┃|
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┃└───―───―───┘
┗━━━━━━━━━━━━裏
イメージ的にこんな感じ。例によってずれてたら済まぬ。
「表」が起点で九階からの階段があるところ。
そこからダンジョンをぐるっと攻略して「○」がハルギアの居室。
甲冑があれば墓所の奥の扉を抜けて、転移で南東隅の「裏」の地点まで移動。
そこから裏十階のダンジョンを更にぐるっと攻略して「●」が裏の墓所。
ハルギアの魔除けがあればそこから地下十一階に赴ける。
そして地下十一階で真実のジャンビーヤを手に入れて混沌の渦ということだ。
「なんですけど、表に比べて裏の人強すぎません!?
ちゃんと怪物抑圧してんのかクソ女王!」
「クソ女王とは何よ!」
「クソじゃない」
「クソじゃろ」
「クソ呼ばわりされてもしかたないところだねえ。面白かったけど」
「同意だね。楽しかったけど」
「撮れ高は足りましたが、他人の体でハヤトくんに迫るのはさすがにちょっと」
「・・・」
全員からの怒濤の反撃。
ガイガーさんも無言だが剣呑な目。
後駄目な大人三人は後でちょっと校舎裏な?
「破魔の雷光で消滅させたいな、とはちょっと思うかな」
最後にカオルくんに割とガチトーンで睨まれて、さすがのクソ女王も黙った。
「・・・まあそれは脇に置いておきましょう!」
この野郎・・・。
「ともかく、これでもちゃんと抑圧はかけてるから!
九階と十階は元から私の領域だけど、それでも裏は混沌の渦とダンジョンコアに近づいてるから私の制御を離れてるのと、同じモンスターでも強くなってるのよ! 私悪くないわ!」
「と、訳のわからない供述をしており・・・」
「私わかりやすく説明したわよね!? ねえ!」
うるせえ、これくらいいじったところでいいだろうが。
とは言えマジで敵が強い。
カオルくんの雷光や俺のミサイルラッシュで一掃できるはずのワイバーンの群れが、俺達二人と師匠の
魔力結晶ガンガン使ってる師匠はさすがの歩く魔力砲台なのだが、それとガイガーさんがいて何とか切り抜けてる感じ。
めんどくさいなあ、穴掘ってショートカットできんものか。
「それはやめた方が良かろうな。この螺旋の配置はアグナムで言うところの陰陽を意味し、ある種の秩序の力を発揮する。
恐らくは混沌の渦を封じる術式の一部じゃ」
「そう言う訳なのでやらないでくれると助かるわね」
ちっ。でもマジ大変なんですけど!
巨大化した
だれかー! ヴォーパルソード持ってきてー! ドラゴンスレイヤーでもいいぞ!
力が欲しいか? マジで欲しいよ!
「これが三つめ・・・タリエシンの宝珠よ」
裏十階最後の玄室。
特にボスが待ち構えていると言う事もなく、それどころかモンスターとの戦闘も無しに俺達は宝珠を手に入れた。
10m四方ほどの部屋の中央に祭壇があり、その上に琥珀色に輝く珠が安置されている。
「拍子抜けだなあ。いや、宝珠の化け物と戦いたかったわけじゃないけど」
武具との七連戦、特にひたすらでかい金属の塊をブッ叩いていた最後のそれを思い出してしみじみ呟く俺。アルテも遠い目でうんうんと頷いている。
「説明したとおりこの宝珠は混沌の渦からの影響を抑える力があるわ。モンスターが出ないのもそのせいでしょうね」
と、ハルギア。なるほどなー。永続の聖水かトヘ□スみたいなもんか。
昔親父がエンカウント率高すぎてトヘ□ス相当の魔法がないとまともに遊べないゲームがあったと愚痴ってた気がする。うっ、戦闘中強制悪魔合体の悪夢が・・・! 工ストマ! 工ストマ!
「そう言えばこれ森羅万象を見通す、っていうくらいだし、地下の混沌の渦を調べたり出来ない?」
「もちろん出来るし、言われずともそのつもりよ。カオル、宝珠の前に立って貰えるかしら」
「わかりました」
この期に及んでハルギアに丁寧語のカオルくん。もっとぞんざいでもいいのよ?
クソ女王は丁寧に扱いすぎるとよどみ腐る・・・もっと粗末に扱うべきなのだ・・・!
「むかつくけど後回しにして上げるわ。今はあなたに構っていられる状況じゃないし」
おおっと、女王陛下が何故かおこですな。ぼく何も言ってないもーん。
「・・・」
そうこう言ってる間にカオルくんは祭壇の前に立ち、胸の魔除けと祭壇の宝珠がほぼ同じ高さに並ぶ。
「
「ほう」
おおっ?
師匠がちょっと感心してるところを見ると本物なんだろう。
この女王様、性格はともかく実力は確かに大したものらしい。性格はともかく。
「・・・!(怒)」
「これ、集中を邪魔するでない」
「はーい」
師匠にたしなめられたので思考をカット。というか口には出してないんだけどねー(棒)。
お、宝珠の中に何やら映像らしきものが・・・
「え?」
「これは・・・なんじゃ?」
余り聞かないペトロワ師匠の戸惑ったような声。
残りの俺達は言葉もない。
宝珠の中、果てしなく広がる映像には繭に包まれて脈動する巨大な竜のようなシルエットが映っていた。
>「怒る!」
メタルヒーローシリーズのメタルダーから。
色々シリアスで重い作品です。まあ中盤で二代目引田天功とか出て来たけどw