異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 ドラゴンスレイヤー

 繭に包まれた巨大な竜のシルエット。

 それが一瞬目を動かしてこちらを見たような気がした。

 

「っ」

 

 ハルギアが短く声を上げると映像が終了し、宝珠は元の琥珀色を取り戻す。

 それと同時にざわめき。

 

「何だったんです今の?」

「本物のドラゴン・・・よね。おばあちゃん?」

「うむ、わしにもそう見えた。小僧、お前も魚のほら話(ビッグ・フィッシュ)の中で真なる龍を見たはずじゃな?」

「赤い竜でしたけど、あれに比べると体がドラゴンというよりティラノサウルス・・・ええと、二足歩行に近いような」

「それは感じたな。ありゃ後足で立って歩くたぐいだぜ」

「昔読んだ本に載ってた竜人(ドラゴニュート)と言う奴かも知れませんね」

 

 侃々諤々。

 

「そう言えばハルギアさん、あれのサイズはわかります?」

「比較になるものが無いから何とも・・・少なくともあれが混沌の渦か、それに近しいものなのは確かだけど」

 

 混沌の渦を映そうとしたんだよな?

 

「ええ。途中で気付かれて遮断されたから、間違いないとは思うんだけどね」

「前はこのような姿ではなかったのじゃな?」

「はい。混沌の渦(メイルストローム)の名の通り、混沌の力を持つ生ける渦でした。もっとも最後に見たのは十年ほど前ですが・・・」

 

 頷くハルギア。この人師匠にだけはへりくだるよな。

 それだけ師匠がとんでもない魔法使いって事なんだろうが。

 しかし三千年生きてる大魔術師に敬意を抱かれる師匠って一体何者・・・?

 そんなことを考えてると、アーベルさんにポンポンと腰の辺りを叩かれた。

 

「そう言う事は迂闊に探るもんじゃないぜ。特に相手が女の場合はな」

 

 うむうむ、と重々しく頷くガイガーさん。あんたも昔なんかあったのか。

 

「でも流石にこれは気に・・・」

 

 鈍い音。

 俺達が振り向くと、また何か馬鹿な事を言ったのか、オブライアンさんが師匠の杖で沈められていた。

 くっくと笑いながらそれを親指で指すアーベルさん。

 

「・・・ま、ああなりたいなら止めないけどな?」

 

 疑問の答えなんかわからなくても生きていけますよ! そうでしょう、アーベルさん!

 

 

 

「話を戻すぞ。仮説じゃが、わしらの行動で今まで保たれていたバランスが崩れたのかもしれんの。ダンジョンコアと同一化しているなら、神の夢と一体化していてもおかしくはない。

 それを妨げていたのが封印でもある青玉の鎧のパーツ・・・ということは十分考えられる」

 

 鎧が抑えていた変化を、俺達が促進しちゃったって事ですか・・・。

 

「それは考えてもしょうがないわ。これ(青玉の鎧)がなければそもそも近づけないもの。

 逆に龍の姿をとっていれば周囲への混沌の影響は少なくなるかもしれないし」

「ありうるの」

 

 師匠が頷く。

 

「しかし、薄々思ってはいたんだけど下層のモンスターの亜竜の多さ、コアと融合した混沌の渦の変化・・・これは」

「このダンジョンを産んだのは竜神(ウパラヴァ)で間違いなかろうな」

 

 竜神(ウパラヴァ)かあ・・・やっぱり巨大なドラゴンなの?

 

竜神(ウパラヴァ)は『祭壇』様の弟子で《百神》の一人である真なる魔術師(トゥルー・ウィザード)。当然元は人間、青い瞳の乙女じゃった。あれは龍を愛し、友としたがゆえにそう呼ばれたが、本来は生命と生殖に関して研究していた術師じゃよ」

「じゃあドラゴンを作った神様なんですか?」

「そう言う伝承もあるが、他のあらゆる生物と同じく、龍をお作りになったのは『創造の八神』の『足跡』さまじゃ。かの神は命を生み出す神格ゆえにの」

 

 へー。さすが師匠古いこともよく知ってる。

 つまりそれは混沌の渦が龍属性になったってことか。

 今から竜殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)とか調達できませんかね?

 そう言うとハルギアが呆れた顔で肩をすくめた。

 

「できたら苦労はしないわよ・・・え、何この空気?」

 

 と言うわけで視線がカオルくんに集中する。

 いるんだなあ、出来る人が。

 バルムンクさん、グラムさん、竜殺しの力お借りします!

 うーん、と考え込むカオルくん。

 

「えーと・・・確か『美徳の剣』というのが龍退治の逸話があったかな?」

「『美徳の剣』は剣といわれておるがありゃ槍じゃぞ」

「そうなんですか!?」

「ドラゴン相手に剣と槍、どっちが使いやすいか考えてみろ」

 

 なるほどそりゃそうだ。古い映画でも確かドラゴン倒すのに剣じゃなくて槍を鍛えてた。

 まあクソの役にも立たなくて、結局魔法使いの爺さんが特攻自爆して倒すんだが!

 

「じゃあ先生、ドラゴン退治に有効な剣ってないんですか?」

「物語では結構あるが、大体嘘八百じゃからのぉ・・・」

 

 なんで作家や吟遊詩人は剣が好きなんでしょうね。

 

「そりゃ見栄えが良いからに決まっておろう」

「斧やメイスなど所詮は脇役の武器ですぞ、なんてラファエルが言ってたな」

 

 ぐうの音も出ない完璧なお答えありがとうございます。

 後ラファエルさんその発言は危険! ドワーフがするには特に!

 

「亜竜を倒した剣ならあるが、恐らくは真なる龍に匹敵するあやつに効くかとなると・・・弓か槍なら心当たりがあるんじゃが。確か1300年前のディテクの真龍も大弓と槍で撃退したはずじゃ」

 

 だめかあ。

 

「カオルくん、今から《槍の加護》に変更できない?」

「それが出来たら苦労はしなかったんじゃないかな、ハヤトくんも」

 

 苦笑するカオルくん。

 おっとこいつぁうっかりだ。

 まあ切り替えられたところであのクソ王の思惑通りに踊る羽目になってたから是非も無し。

 

 その後もしばらく議論が続いたが結論は出ない。

 情報が少ないから無理もないが。

 

「ここで・・・考えていても何も解決せん。地下へ行こう」

 

 ガイガーさんの言葉にみんなが頷いた。

 

 

 

「~~~~」

 

 宝珠の安置されていた祭壇にハルギアさんが呪文を唱えると、祭壇と周囲の床が横にずれる。

 途端、四つの目と六本の腕を持ち、手にそれぞれ違う武器を構えた牛頭の魔神と、迅雷の鬼神、暴風の鬼神が現れて襲いかかって来た!

 

「マシンフォース・大回転ロケットパンチ!」

「破魔雷光・最大出力っ!」

飛ぶ魔剣(フライング・マジックソード)!」

「「「ギャーッ?!」」」

 

 風神雷神の胸板を俺の光り輝く鉄拳がブチ抜く。

 牛頭の魔神をカオルくんの雷光が灼き、師匠の剣形魔力弾がハリネズミにする。

 

「・・・」

「ぶごっ・・・」

 

 最後に魔力強化のかかった剣でガイガーさんが一閃し、俺達を阻止しようとした混沌の渦の手下どもは消滅した。

 

「馬鹿ねえ、待ち伏せしてたらばれるわよ。こっちだって偵察くらいするんだから」

 

 肩をすくめるハルギア。

 まあ森羅万象を見通す宝珠なんてデタラメなものがあればそりゃね。

 ・・・というか、ひょっとして待ち伏せを察知されてると考える知性がない?

 

「やっぱり意外に鋭いわねあなた。はっきりとはしないけど多分そうだと思うわ。

 思考形態が人間とは違うというか」

「異質な存在であるのもあるが、力が強いものが必ずしも賢いとは限らんからの。

 それこそ小僧が良い例じゃわい。まあたまには鋭いことも言うが」

「普段は鈍いのよねー」

「何でこれでアルテ達にもててるのかさっぱりわかんねえよな」

 

 お前らなあ!

 泣くぞ? 本気で泣くぞ?!

 

「ま、まあ基本的にはハヤトくんは頭がいい方だと思うから・・・

 そこまで言わなくてもいいんじゃないかな」

 

 ああ、やっぱり俺の味方はカオルくんだけじゃー!

 

「わ、ちょっと!?」

「こらっ!」

 

 感動の余りカオルくんに抱きついた俺を、アルテが片手で引きはがして投げ捨てた。

 ひどい。

 




>美徳の剣
聖ジョージ(FGOではゲオルギウス)が持ってるアスカロンが元ネタ。

>古いディズニーの映画
まんまなタイトルの「ドラゴンスレイヤー(1980)」です。
主人公は大魔法使いの弟子なのですが、師匠は初っぱなでいきなり死ぬわ、主人公はろくに魔法を使えないわ、王様はクソ野郎だわ、ヒロインかと思ったお姫様は食われるわ、せっかく鍛えた「ドラゴンスレイヤー」は何の役にも立たないわと、中々ひどい映画でした。
最後もドラゴン倒した功績は王様と教会が持って行っちゃうしw
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