異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四章「災禍の逆襲」
第二十三話 こんとら でくすとら あべにゅー


「なんということだ! またもや悪夢と苦痛がやってくる! この次、この次こそこの終わりなき責め苦から抜け出してみせよう!」

 

     ――ワードナの逆襲――

 

 

 

 階段を下りると、そこは雪国だった。

 いや雪国じゃないんだけど、四方真っ白で・・・なんだろう、これ?

 

 

 

 宝珠を安置していた祭壇のずれた穴。

 そこの螺旋階段を下りていくと、見渡す限り真っ白の空間だった。

 いや、真っ白ともちょっと違うな。単に色が無いというか・・・なんだろう?

 床はあるし、天井も壁もあるみたいなんだがどれもこれも色が無くて境目がぱっと見でわからない。

 いやほんとこれ何?

 

「ふむ・・・秩序の法陣か」

「ご慧眼恐れ入ります」

 

 そこの魔術師二人、納得してないで説明して下さい。

 

「まず私が封印しようとしたのは混沌の渦よ。これはわかるわね?」

 

 そりゃもちろん。

 

「この部屋・・・恐らくこの階層全てに施されてるのが秩序の法陣。混沌の対極である秩序の概念を墓所全体に定着させることによって混沌の力を抑えるわけじゃな。

 この風景もその影響じゃ」

 

 この色も何もない、モノトーンというかCG黎明期のフレームワークみたいな手抜き背景が?

 

「言ってることはわからんが、まあそうじゃ。

 秩序というのは突き詰めるとこのような虚無になる。

 真の混沌がありとあらゆるものを内包する無限の変数であるように、真の秩序は変動する何物をも持たぬ無変数、つまり虚無なんじゃよ。

 これだけ虚無に近い風景を生み出せると言う事は、つまりこやつの腕がいいという証じゃな」

「お褒めにあずかり恐悦至極」

 

 一礼するハルギア。あんた本当に師匠にだけは敬意を払うな。

 師匠もこんな奴褒めなくていいのよ?

 

「いちいちつっかかるわね、あんた!?」

 

 いちいちいじってくれたのはどこのどなたでしたかねえ!?

 

「実際大した術師じゃぞ? まあ能力と人格は切り分けて考えろ」

 

 能力は一流であっても、性格に問題があるがコンセプトなんですね、わかります。

 閑話休題(それはさておき)

 

「それで『真実の湾曲短剣(ジャンビーヤ)』はどこに?」

 

 広さもわかりづらいフレームワークの大きな部屋、扉や通路のたぐいは見えない。

 

「あっちよ。カオル」

「わかりました」

 

 ハルギアの指示に従い、カオルくんが奥に進む。俺達もそれに続いてぞろぞろと。

 

■■■■■■■■■(七つの転輪の扉よ、開け)

 

 壁(らしきもの)の前にカオルくんが立つと、ハルギアが真なる言葉を詠唱し、四角く切り取ったような空洞が現れた。

 

七星転輪(チャクラ)を封印・・・いや、エネルギーの制御に使っておるか、なるほどの」

「はい。術式に必要なバランスを保つのに七つの転輪のバランスを流用しました」

 

 何か凄い事言ってるみたいだけど言ってることがわからない。

 

「わからなくていいのよ、高度な専門用語なんだから・・・」

 

 いきなりハルギアが黙り込んだ。ちょっと、何か怖いんですけど。

 

「思ったより混沌が濃い。ペトロワ様、いかがでしょう?」

 

 ペトロワ師匠が入れ替わりに空洞の前に立ち、何やら長い詠唱をすると難しい顔になった。

 

「そのようじゃの。これは・・・わしらはついていけんのう」

 

 宝珠があっても?

 

「あっても、ね。すぐに死ぬような事は無いだろうけど、後遺症や変異、もっと悪い何かがあったとしても責任は持てないわ」

 

 戦鎚RPGの混沌の変異表振る羽目になるのかー。千面ダイス(!)で変異決定するあの表は見てて笑ったもんだが、キャラクターじゃなくて自分が振るとなると洒落にならん。

 

「腕がしなびたり尻尾がはえたり人間磁石になったりネズミ人間になったり精神に異常をきたしたりするんですね」

「まあ・・・大体そんなところじゃな」

「そこまで学識豊かとも思えないけど、変な事を知ってるわねえ」

 

 よく言われます。しかしそうなると、まさかこの先はカオルくん一人で進むことになるの?

 

「えっ? そう言う事なの?!」

 

 当の本人が愕然とした顔になるが、どう考えてもそうなるんだよなあ。

 

「後は護符()ね。この体は当然だけどそれ自体が混沌に対する防護でもあるから」

「そんなぁ・・・」

 

 珍しく弱気な口調のカオルくん。

 こっちの方をチラチラ見てくる。

 そうだよなあ、そんな所に一人(+クソ女王)だけで行きたくはないよなあ。けどこれどうにか出来るか?

 

 ロボットアニメで混沌と戦う奴? 思いつかないなあ。嵐を招く黒い剣とかルーンを探索するやつとか宇宙的狂気とかそう言う方の概念だよなこれ。

 もしくは女神が生まれ変わる奴とか最終幻想とか。そっち系なら単に殴れば済むんだが。

 ・・・正確には一つだけ存在するんだが、宇宙とか因果とか丸ごとぶった切るレベルの超越存在なので、恐らく今の俺には間違っても召喚出来ない。

 

「うぬぬぬぬ」

 

 よし諦めよう! できないものはできない!

 

「なので師匠、ハルギア、何とかできない?」

 

 罠カード・他力本願寺オープン!

 このカードが盤面にある限り、決闘者は他人に問題を押しつけることに羞恥を感じなくなる!

 

「まあできんことを他人に頼るのは間違っておらんがな」

「さんざん人をディスっておいてそれってどうなのよ?」

 

 まあそこを何とか! 大体カオルくん一人で放り出したら色々不都合もあるでしょ!

 あなたのため! あなたのためなんですよこれは!

 

「うわーむかつく。まあそうなんだけど・・・ペトロワ様?」

「無茶言うな。わしだってぱっと思いつかんわい」

 

 いやいやいやいや、いけるでしょうそれくらい! 何でもしますから!

 

「へえ」

「ほう」

 

 ペトロワ師匠とハルギアの目が邪悪に光った!

 俺知ってる! これろくでもないことを要求されるパターンだ!

 

「今何でもするって言ったわよねぇ・・・」

「ぐぐぐ・・・」

 

 ねっとりした口調のクソ女王。

 みんなの目が集中する。その中にすがるようなカオルくんの目。

 

「ええい、俺も男だ、二言はぬぇ!」

 

 パッと明るくなるカオルくんの顔。諦めたように溜息をつくアルテ。

 ニヤニヤする座長とアーベルさんには後でお話があります。

 そして剣の鍔を鳴らすガイガーさん。

 え、なんで? 今あなたのお怒りに触れるような箇所ありましたか!?

 

 

 

「それならまあこうじゃな」

「ですね」

 

 何やら指をひらひらさせて会話している師匠と女王。

 何か凄い嫌な予感がするが、既に俺に逃げ道はない。

 

「カオルの前に立ちなさい、ハヤト」

「ちっ、しょうがねえな!」

 

 言いつつ素直にカオルくんと相対する。

 後ろからペトロワ師匠が、俺の背中に杖を触れさせた。

 

「動くなよ」

 

 言いつつ詠唱が始まる。ハルギアもだ。

 

「「~~~!」」

 

 二人の詠唱がハモって終了した瞬間、俺の視界が暗転する。

 

「え」

 

 視界は一瞬で回復した。

 したのだが。

 

「え」

 

 目の前に、にやにや笑う俺の顔。この笑い方・・・ハルギア!

 ってことは!?

 

「俺魔法の護符になってるぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 カオルくんの胸元で絶叫が響き渡った。




戦鎚RPG ・・・ フィギュアウォーゲームの方が有名な気もするウォーハンマー。主敵が混沌。
嵐を招く黒い剣 ・・・ マイケル・ムアコックのエターナルチャンピオンシリーズに出てくる「黒い剣」及びその一つであるストームブリンガー これ自体混沌の力を秘めた剣だが、これでないと混沌には対抗できない
ルーンを探索するやつ ・・・ TRPGの古典「ルーンクエスト」。これも主敵が混沌の勢力。
宇宙的狂気 ・・・ みんな大好きクトゥルフ神話
女神が生まれ変わる奴 ・・・ 女神転生シリーズ
最終幻想 ・・・ファイナルファンタジー1のボス、カオス

>一つだけ存在する
魔を断つ剣デモンベイン! あれ一応アニメになってますし、スパロボにも出てますからね。
でも2クールでやってくれよ、せめて!
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