異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十四話 自分の毒で死んだショッカー怪人いましたね

「え? え? え?」

「は、ハヤトくん!?」

「ハヤトー!?」

 

 戸惑う俺とカオルくん、絶叫するアルテ。

 他の人達は目を丸くしている。

 

「このクソ幽霊、ハヤトの体を返しなさいよ!」

「ぐえっ!?」

 

 激昂してハルギアな俺ののど首を掴んで前後に揺らすアルテ。

 アルテさん、それ俺の! 俺の体だから!

 閑話休題(それはさておき)

 

「カオルがハヤトと一緒にいたいって言ったでしょー?」

「く、口に出しては言ってません!」

 

 顔を赤くして反論するカオルくん。俺は胸元の魔除けなのだが、どういう訳か周囲の様子はわかる。

 

「まあ単純にハヤトとハルギアの精神を入れ替えたんじゃ。魔道具を制御統合する機能があるのは魔除けじゃから、ハルギアの精神が抜けても問題はない。

 《加護》は精神につくものじゃから、今の状態でも《加護》を使うことはできる」

「カオルがハヤトの《加護》を使えるような形になるわね」

 

 うーむ、意外と合理的だな。しかしこれは・・・他に方法はなかったんです?

 

「そうぽんぽんいいアイデアが思いつくわけないでしょう。それに・・・」

 

 それに?

 

「そのほうが面白そうじゃからな」

「おばあちゃん!?」

「先生!」

 

 あんたも敵か、クソ師匠!

 

 

 

「この先は七つの転輪(チャクラ)を模した続き部屋になっているわ。

 『完璧な調和』を表す七つの転輪は真実の短剣に力を与えると同時に、それを混沌の渦の周囲に配置することで力を抑える一種の封印でもあるの。

 あなたは会陰(ムーラダーラ)から頭頂(サハスララ)に至る七つの転輪を通り抜け、真実の短剣を使うのに適した状態にあなた自身を整える。

 しかるのち真実の短剣を手に取り、混沌の渦・・・いえ、混沌の竜と相対する。

 何か質問は?」

 

 やっぱり俺とカオルくんだけであれと相対する事になるのね。

 混沌竜には真実の短剣を叩き込んで、後は流れで?

 

「まあ大体そんな感じになるわね。役に立てなくて申し訳ないけど」

「勝ち目があるならそれで十分ですよ。後はボク達に任せて下さい」

 

 おおっと、ここでカオルくんの勇者発言。

 最近忘れてたけどこいつこう言うキャラだったなあ。ほれてまうやろー。

 

「いや・・・よしてよハヤトくん!」

 

 おっと、心の声はカオルくんには伝わるらしい。

 カオルくんの心の声は余りこっちには聞こえてこないのだが。

 

「・・・なんかハヤトとカオルがいちゃついてる」

「まあこれから死地に向かうんだから、それくらいは許容してあげなさい」

「それはそうだけどあんたが言うな!」

 

 全くだ。

 後俺の顔でシナ作るのやめてほしい。地味に精神にダメージが来る。

 

 

 

「それじゃ行ってきます」

「えーと・・・頑張ってくる」

 

 白い壁にぽっかり空いた空洞、混沌へ続く扉の前で俺達は別れ・・・は不吉だからとにかく挨拶を交わした。出陣前の言葉にしちゃ冴えないって? ほっとけ。

 

「頑張ってね! 二人ともちゃんと帰ってきて!」

「死ぬなよ。命あっての物種だぜ」

「帰ってこい」

「劇の公演もあるんだから、ちゃっちゃと脚本あげとくれよ」

「配信魔法は二人に直接付与して貰ったから、撮れ高期待してるよ!」

 

 心温まる応援に二人して頷く。

 なお最後の人は師匠の杖で轟沈した。

 

「七つの転輪を巡る旅は心の旅でもあるわ。あなたたちの精神を試す試練。

 心を強く持って」

 

 この時ばかりは茶化しも何もない、真剣な表情のハルギア。

 師匠も頷く。

 それらに頷きを返して、俺達は空洞・・・混沌の中に足を踏み入れた。

 

 

 

 俺達の後ろで虚無の扉が再び閉じた。

 振り返らず、俺達は虚無の通路の中を歩いていく。いや俺は振り向かなくてもその様子が知覚できるし、歩いてるのはカオルくんだけだが。

 カオルくんが首は動かさず、視線だけで周囲を見渡す。

 何か武道的なものなのかな。

 

「狭い以外はさっきまでいた部屋と変わらないと思うけど、ハヤトくんは何か感じる?」

「うーん・・・確かに何か、危険なものが充満してる感じがする。これが混沌の影響なのかな」

 

 さっきまでは感じなかったが、魔除けに入った瞬間からそう言うのがわかるようになった感じ。

 

「そうか・・・モンスターが出てこないとも限らないし、サポートお願い」

「合点承知の助」

 

 まじめに答えたつもりだったが、カオルくんが吹き出した。

 

「古いよ! いつの時代の返答だい、それ!」

「そ、そんなにおかしいかな・・・?」

「おかしいって! そんなの歌舞伎か昔の時代劇の中くらいでしか聞いたことないよ!」

 

 うーむ。まあ親父が和風のあれこれや古いもの好きな人で、オフクロも古い時代劇が好きな人だったからなあ。その辺センスが浸食されてる可能性は高い。

 それを言うとカオルくんが笑いながら頷いた。

 

「ボクの父さんも時代小説が好きだったからね。

 まあ影響は受けるよね」

「お父さんも剣道家だったの?」

「剣道はやってたけど普通のサラリーマンだよ。子供の頃に手ほどきを受けたりもしたけど」

 

 そう言えばこう言う話はした事なかったな、と思いつつ通路を進む。

 距離もわからない、時間の感覚も曖昧になる通路を進んで、突き当たり。

 

「ここが?」

「うん、なんとなくわかる。この先が最初の部屋だ。扉があるのもわかるし開けられる気がする・・・準備はいい?」

 

 こくり、とカオルくんが頷いて剣と盾を握り直す。

 

「あ、ちょっと待って」

「何?」

 

 出鼻をくじかれたカオルくんが胸元の俺に視線を下ろす。

 

「いや俺の《加護》を使えるって話だったけど、一応試しておこうかと思って」

「あ、そうだね」

 

 カオルくんが同意したのを確認して、精神を集中する。

 どれがいいかな・・・まあ一番手軽なあれでいいか。

 

「豪子力ビーム!」

「うわっ!?」

 

 最小出力に絞った豪子力の光がカオルくんの両目から発射される。

 すげえな、ほぼ自分の体と同じ感覚で扱えるぞ。何だかんだ師匠とハルギアは天才か。

 

「それじゃ行こう・・・カオルくん? カオルくん?」

 

 名前を呼べども答えは返らず、山も木霊を返すと言うに、ってか。

 

「ご、ごめん。ちょっと・・・」

 

 あれ、目を押さえてる。どうした、大丈夫か?

 

「いやその・・・まぶしくて目がくらんじゃった・・・」

 

 えええええええええ。

 自分のビームで目がくらむとか、自分の毒で死ぬフグかよ。

 俺は普通に平気なんだが他人の体でやるとこうなるのか。

 《加護》のせいか、俺がロボットアニメに通じているせいなのかはわからんが。

 

 その後あれこれ試行錯誤して、ロケットパンチや腕からヘリローターは問題ないとわかった。

 閑話休題(それはさておき)

 

「よし。じゃあ開けるぞ」

 

 自分・・・今は自分の体の魔除けに意識を集中させ、扉にアクセスする。

 先ほどハルギアがしたのと同じように、行き止まりの壁に空洞が開いた。

 中は、これまでの通路や先ほどの部屋と同じような、色のない広い空間。

 胸元の自分にちらりと視線が向けられるのがわかった。

 

「行くよ」

「ああ」

 

 部屋の中に一歩踏み込む。

 瞬間、視界が転じた。

 

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