異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十六話 繭の中の竜

 必ずしも恥ずかしい過去ではなかったものの、結局その後も過去の暴露大会だった。

 ゲームに熱中しすぎてはたかれる俺とか、カオルくんが実は可愛いもの好きとか。

 カオルくんがまじめに予習復習して夏休みの宿題を計画的に終わらせる姿を見て、人間としての格の違いを思い知らされたりとか。

 

 身近な人の死を見せられることもあった。

 俺は祖母、カオルくんは初恋だった剣道場の先生。祖母は老衰だが先生は事故だったそうだ。

 

(・・・)

(・・・)

 

 時にからかい合い、時に無言になって、俺達はチャクラの部屋を進んで行く。

 丹田(スヴァディスターナ)

 へそ(マニプーラ)

 心臓(アナハタ)

 (ヴィシュッダ)

 眉間(アジナー)

 そして最後の頭頂(サハスララ)

 

(・・・なんだ、ここ?)

(何にもない・・・何か感じる?)

(いや・・・魔除けの感覚も利かない。なんかこう・・・星のない宇宙みたいな感じ)

 

 そう、ここだけは過去の記憶が再生されることもなく、ただひたすらに暗くも明るくもない、色彩もなければ果てもない空間が広がっているだけだった。

 体一つでこんなところに放り出されれば不安に思うかも知れないが、幸い今の俺達には体がない。自分もなければ他人もない。

 ただ、時々放たれる思念が互いの存在を知らせてくれるだけだ。

 

(・・・)

(・・・)

 

 交わしていた会話も、だんだんと途切れがちになる。

 ついに互いに無言となった俺達は、ただ何もない空間を見つめ続ける。

 体がないと言うことはまぶたもないと言う事で、視覚を遮断することが出来ないらしい。

 

(・・・)

(・・・)

 

 体が・・・いや、体はないから精神が周囲に拡散していく気がする。

 世界と自分の境界が消失して、世界と一つに・・・

 

「!」

「?!」

 

 そう思った瞬間、俺達は現実に帰還していた。

 

 

 

 気がついたときには、これまでと同じ色のない部屋の中にいた。

 

「何だったんだろう、今の・・・ここまではボク達の過去の人生を再体験するような奴だったけど」

「うーん・・・」

 

 頭頂(サハスララ)チャクラって、悟りや修行の完成、霊的なものを表しているというから、修行の締めとしてああいうのを経験したのかも知れない。

 ハルギアが禅宗の人なら座禅組んで肩叩かれてたかも。

 

「そういうものなのか・・・確かに何か心に開いた感じもあるけど、あの虚無感は凄かったなあ」

「素晴らしい・・・おお、神よ!って感じだったね」

「何か元ネタがありそうだけどボクは反応できないからね」

 

 三十三間堂で短距離走者ごっこをするんじゃない!って観光バスのお姉さんにアックスボンバー喰らいそうだが、まあカオルくんにそう言う反応を期待するのは酷か。

 

「お」

「あ」

 

 そんな馬鹿な会話をしているといきなり目の前に光り輝く短剣が現れた。

 光がまぶしくてよく見えないが、刃渡りは15センチほど、湾曲した中東のそれっぽい感じ。

 見つめる俺達の目の前で空中に浮いている。

 

「ジャンビーヤって奴だな」

「これがか・・・」

 

 カオルくんがサンダースウォードを鞘に収め、光り輝くダガーを手に取った。

 彼女が手にした瞬間光は収まり、水晶のような透明な刀身を持つ短刀がその手に残る。

 

「・・・」

「・・・」

 

 無言で頷きあい、俺達は最後の扉に入った。

 

 

 

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『・・・』

 

 竜はふとまどろみから目覚めた。

 先ほど目覚めた時のように、何かを感じて目が覚めた。

 見られている感覚があり、一瞥したらその感覚が途切れた先ほどとは違い、今度は近くに大きな力――本能的に自分に反するそれだとわかる――が生まれ、それが近づいてくるのがわかる。

 

 そも、自分は何であったろうか。

 前は暖かいところにいた。

 心地よいそれに包まれて、自分という区別さえもなく漂っていた気がする。

 

 それが突然、「ここ」に現れた。

 いつだったかは覚えていない。元の自分に時間などと言う感覚はなかったし、「自分」になってからもそうした感覚にはうとかった。

 

 ただ、寒いと思ったのは覚えている。

 「寒い」というのが何なのかはわからなかったが、この不快な感覚が「寒い」と言うことだと思った。

 ここは、寒い。

 暖かい場所に戻りたい。

 しかしそれはどうやら不可能なようで、かつての自分は自分を大きくすることを思いついた。

 自分を大きくすればそれだけ寒さは減るだろうし、「ここ」を全部自分にしてしまえば、またかつてのような満ち足りた暖かさを取り戻せるではないか・・・

 

 しかしそれは頓挫した。

 自分は地の底深く封じ込まれ、身動きも増殖もかなわず、ただ寒さに震えるばかり。

 それが変わったのは少し前。地上までの穴が開き、自分の中に力の塊が入って来た。

 

 できる。

 これを使えば地上に出て増殖を再開することができる。

 しかし自分を縛る「ふた」はこうなっても揺るぎなく、自分自身で地上に出ることは出来なかった。

 だから※※を※※て※※※※※に※※し、やが※※※※※※※※※※※※※※※※※

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 ごく最近、また変化があった。

 自分の体を縛るかせが一つ、また一つと外れていく感触。

 相変わらずふたは頑丈で地上に行けはしないものの、牢獄の中で自由に動けるようになった。

 

 本能的に行ったのは、「力の源」と更に深く融合することだった。

 力の源に自分をしみこませ、力を更に深く理解し、吸収する。

 それと共に姿も変わっていく。より強固に、この世界に馴染んだ姿に。

 力が体にみなぎるのを感じる。

 物理的なそれを生み出す肉体も、この世界のものが魔力と呼ぶ事象に干渉する力も。

 確信がある。

 これまでとは比べものにならない力が今の自分にはやがて備わると。

 完全に同化した暁には、自分を押さえつけるいまいましい「ふた」すら独力で砕き、地上にまで出る事ができるだろう。

 

 だが一つだけ疑問がある。

 「自分」が望んでいたのは、本当にこう言うことだったろうか――?

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