異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十九話 魔神伝承(マジン・サーガ)

「GA・・・」

 

 胸の赤玉に突き刺さったサンダースウォード。

 それを中心に、龍の金剛石の肉体に巨大なひびが走る。

 じゃこん、と音がしてサンダースウォードが引っ込む。

 上空に飛びすさると同時に、轟音を立てて龍が横倒しに倒れた。

 

「すごい・・・」

 

 ひびは背中や手足、翼にまで回り、一部は欠け落ちている。

 弱点かとは思ったが、まさかにここまですごい事になるとは思わなかった。

 

「そもそもあの赤い点がどうして弱点だと思ったの?」

 

 創作だと武器の発射口ってのは大概弱点だから。

 

「・・・それだけ?」

 

 まあ半分はそうだが、もう半分はある程度確信があった。

 

「ロンズデーライトってダイヤよりも強くて頑丈なのに、夢の新素材!とかってニュースになってないだろ?」

「そう言えば・・・」

 

 実はロンズデーライトは、不純物が混入していると格段に硬度と強度が落ちるのである。下手をすれば十円玉でこすって傷が付くレベル。そして純粋なロンズデーライトは今のところ――俺達が転移する直前まで――は、研究室でごく僅かに生成されるのみ。

 一応天然にも存在するロンズデーライトがごく最近になるまで話題にもならなかったのはそう言う事だ。

 

「ああそれで、あの赤い点を」

「一応生き物?だから、胸に別口で何かくっついてると言うよりは不純物が混じってるんじゃないかなって」

 

 まあ危険な賭けではあったが、ドンピシャではあった。

 

「GA・・・GUO・・・」

 

 ひび割れだらけの体で何とか起き上がろうと、六星晶の龍がもがく。

 悪いがさせるわけにはいかない。とどめはここで刺す。

 

「カオルくん!」

「ああ!」

「マシン・オン!」

 

 俺にだけ許された、最強の力を呼び出す呪文。

 《加護》の力が全身を包み、俺達の身体を巨大化させる。

 

「GYO・・・!?」

 

 龍が目を剥く。

 今の俺達は青い全身甲冑に身を包んだ巨人。

 デモゴディと青玉の鎧を融合させたような巨人戦士。背中にはスクランダーが変化したであろう真紅のマント。

 ファンタジー世界風のデモゴディと言えるかも知れない。

 普段はカメラアイの両目に瞳が浮かび、もがく龍を見下ろした。

 腕を十字に組む。

 胸に赤熱。

 たとえ普段と姿が違っていても、それで能力が減じるわけではない。

 

「ブレストヴォルケイノ!」

 

 胸部放熱版から発射された熱線が、全身を砕かれた六星晶の龍を今度こそ焼き尽くした。

 

 

 

 大歓声。

 地上の配信会場でリタがほっと胸をなで下ろした。

 それに気付いたラファエルが、笑みを浮かべてリタの頭を撫でる。

 マナが両腕を振り上げて満面の笑顔。大声で何か叫んでいる。もっとも、冒険者ギルドの人達を含めてほとんどの観衆がそうだ。

 笑みを交わす二人の横で、勝ちどきをあげる青玉の騎士の映像が白幕に映し出されていた。

 

 

 

 ひとしきり勝ちどきを上げた後、カオルくんが剣を鞘に収めた。

 カオルくんでもやっぱり興奮して叫んだりするんだなあ。クールなイメージの普段からは想像もつかない。

 

「やめてよ、もう・・・」

 

 あー、クールな男装女子が照れ笑いするのがかわいいんじゃー。

 

「やめてってば!」

 

 はいはい。

 まあ今は目の前のこれのことだよな。

 六星晶のドレイクが焼き尽くされた後、死骸は他のダンジョンのモンスター同様、空中に溶けるように薄れて消えた。魔力結晶の代わりに現れたのは、高さ2m程の六角形の大きな水晶柱。

 

「ダンジョンコアって奴か」

「みたいだね」

 

 誰の手が触れることもなく、中空に浮かんでゆっくりと回転するそれを見上げる。

 これを俺達の制御下に置き、混沌の渦の影響を完全に消せばミッションコンプリートだ。

 

「それじゃハヤトくん、行くよ」

 

 ああ。

 ・・・でもこれ、触れるとさっきみたいな精神世界に引き込まれるんだよなあ。

 

「言わないでよ! 考えないようにしてるんだから!」

 

 カオルくんの悲鳴。

 でも考えても考えなくても精神世界に引きずり込まれるのは確定なんやで・・・

 

「ううっ・・・せめて恥ずかしい記憶がこれ以上見られませんように・・・」

 

 望み薄だとは思うが俺も全く同感である。

 青玉の籠手の指先が触れた瞬間ダンジョンコアが輝き、俺達の意識はまたしても白光に塗りつぶされた。

 

 

 

「ごめん。遅れたかな? 待った?」

「い、いや俺も今来たところだから・・・」

 

 JR新宿駅南口。

 いつでも人のごった返す場所で、白いつば広帽子と白のワンピースを着たカオルくんが改札から出てくる。

 ださいなりに精一杯オシャレをした俺の、ぎこちない受け答え。

 

 普段クールで男勝りな女の子がする、女の子らしい格好。

 それは清潔で快活で可憐で純情で綺麗で素敵で・・・ああ、俺なんかの語彙じゃ表現しきれない。

 とにかく最高だった。

 

「・・・え?」

「あ・・・?」

 

 そこで双方我に返った。

 互いに凍りついて数秒間固まる。

 

「うわああああああああああ!?」

「ああああああああああ!?」

 

 絶叫が新宿駅南口に響き渡った。

 

 

 

 なんだなんだと集まる視線。

 中にはいかにも初々しいなあと笑う顔もある。

 

「と、とにかく場所を移そう!」

「そ、そうだね!」

 

 駆け出す俺達の背中に口笛とはやし立てる声が投げかけられた。

 

 

 

 新宿駅南口にほど近いおしゃれな喫茶店。

 そこで顔を真っ赤にした俺とカオルくんが向き合って座っていた。

 

「・・・ダンジョン・コアの中だよね、これ」

「・・・だと思う」

「一体全体どういう事なの。ペトロワ先生から何か聞いてない?」

「コアを支配するときは、かなりの割合で本人のトラウマえぐってくるって聞いてるんだけど・・・」

「・・・ハヤトくん、デートがトラウマなの?」

 

 そんなわけがない! そもそも女の子とデートしたことねえよ!

 そう言うカオルくんはどうなの!

 

「ぼ、ボクだって!」

 

 焦ったようにカオルくん。

 しばらく沈黙が落ちて、それからカオルくんが何か思いついた様な顔になる。

 

「そのさ、これってダンジョン・コアを支配下に置く試練みたいなものなんだよね」

「まあ、多分」

「トラウマはさっきまででさんざんえぐられたから、もうあらかた耐性が出来ていて、心を試す試練として残ってたのがこれ・・・とか?」

「ううむ」

 

 うなり声を上げる俺。

 そんなことあるか?と思う反面、一定の説得力があるのも否定できない。

 

「しかし・・・だ」

「うん?」

「デートが何の試練になるって言うんだろうな・・・羞恥心?」

「さ、さあ・・・」

 

 顔を赤らめてそっぽを向くカオルくん。こんな時だがとてもかわいい。

 

「ちょっと、まじめに考えてよね」

「はいすいません・・・痛い痛い」

 

 無論即座にばれて頬をつねられるわけだが。神よ、何故私をこのようにお作りになったのですか。

 

「ん?」

 

 そんな感じでキャッキャウフフムーチョムーチョしてると、ウェイトレスのお姉さんが何か持ってきてくれた。

 あれ? 注文はもうどっちも来てるはずだけど・・・

 

「カップル様にサービスのドリンクです。無料ですのでお気遣いなく」

 

 輝く笑顔のウェイトレスさん。

 テーブルの上にはあれだ、一本のストローが二又になってて両側から吸える奴。

 カオルくんの顔に血が集まってぼん!と音を立てる錯覚。

 こういう気の使い方はいらねえんだよぉぉぉ!




今回出現した青いデモゴディはマジンガーZのリメイクの一つ、前世紀末にヤングジャンプでやってた「マジンサーガ」のマジンガーZがモチーフです。
こちらは巨大ロボットではなく精神感応金属で作られたかぶり物で、甲児くんが装着するとマジンガーをモチーフにした全身鎧になり、ウルトラマンのように巨大化して戦う設定でした。
伸縮自在、変幻自在で超能力も使用可能。
ロケットパンチとブレストファイヤー、剣や銃(剣が変化する)などが武器。
続き見たかったなあ・・・。
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