異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十五話 汝、死の歌を聞け

(・・・)

(・・・)

 

 一瞬だけ、消えたルイスに黙祷をささげる。

 そして俺達は正面に向き直った。

 

『うわあああああああ! 何をした! 僕に何をした!』

 

 ルイスによって『死の法則』を得た巨神が狂いもだえる。

 失ったものへの喪失感、得たものへの恐怖。

 生まれて初めてであろう恐怖。

 変化への恐怖だ。

 

『郷に入っては郷に従えと言うぜ! この世界に来たなら、この世界のルールに従って貰わないとなあ!』

『殺してやる! 殺してやるぞ! お前達も! あの女も! この国も! 僕から何もかも奪って許されると思うな!』

 

 わめき散らすケイオス。がちん、と頭の片隅で撃鉄が落ちた。

 

『甘ったれるなっ!』

『がっ!』

 

 大回転ロケットパンチが巨神の顔面を襲う。

 さすがのケイオスがぐらりと揺らぎ、一歩たたらを踏む。

 

『お前には色々言いたい事があるんだ! まずはお姉ちゃんのところに連れていって、ごめんなさいと言わせてやるよ!』

 

 カオルくんが無言で頷く気配。

 青の騎士デモゴディが剣と盾を構え、再び戦闘が始まった。

 

 

 

『たぁっ!』

 

 カオルくんの裂帛の気合いと共に繰り出される斬撃。

 雷光をまとう長剣が岩巨人の足首を切り裂く。

 人間だったらアキレス腱を切り裂かれて脚が動かなくなるところだが、さすがに岩の巨像はそんな繊細には出来ていない。

 切り裂かれた部分の岩がうごめき、すぐさま損傷を回復してしまう。

 

『死ねっ!』

 

 お返しとばかりの実体弾の乱射。ちょこまかと飛び回る俺達には手数と考えたか、指先が爪のように尖り、そこから尖った岩の弾丸を乱射してくる。

 

(当たらなければどうと言うこと、わぁっ!?)

 

 あぶねえ! かわしたはずの岩ミサイルがすぐ近くで勝手に爆発した!

 近接信管とは高度な真似を!

 と言うか体がピリピリするぞ!

 

(ハヤトくん、これ?!)

 

 カオルくんの声に緊張が走る。頷く俺。

 こいつ、ミサイルの中に混沌仕込んでやがった!

 あちこちに着弾した他の指ミサイルからも、混沌がばらまかれているのがわかる。

 とは言え、先ほどのような純粋な混沌ではない。あくまでも混沌の力を強く持つ物質と言うだけで、この世界の物質には変わりない。

 なら・・・

 

『斬れる!』

 

 カオルくんの目が鋭く光る。

 

『うおおおーーーっ!』

 

 常のカオルくんにも似合わない、獣のような咆哮。

 美しき猛獣。そう形容するしかない状態で、巨像の体を螺旋状に駆け上がりつつ、斬って斬って斬りまくる。

 巨像は苦悶の声を上げて身じろぎするものの、小回りと速度はこちらが上。

 竜巻は、瞬く間に巨像の足元から頭頂までを駆け上がる。

 

『がああああああああっ!』

 

 再び悲鳴を上げる巨神ケイオス。

 タマネギの皮をむくように全身を削り取られたんだから当然だ。

 が。

 

(再生が速い・・・!)

(100mの相手に対してせいぜい10mほどの剣じゃ限界があるか・・・)

 

 人間なら骨が見えるレベルで全身の肉を切り裂いてやったと言うところだが、石の像相手では一息で真っ二つにしないかぎり、部分的欠損に過ぎない。

 カオルくんが全力で放った斬撃の跡も、次々に修復されていく。

 

(まずいな・・・)

 

 実は今回デモゴディに変身するとき、鎧や盾だけではなく、宝珠や真実の短剣もまとめて取り込んでいる。

 最初は地下の混沌の竜と同じく、まず真実の短剣を叩き込んで混沌の力を減じてからとどめを刺すつもりだったが、ダンジョン・コアという芯があってその周囲に混沌の力がまとわりついていた混沌の竜と違い、こいつは全身に混沌の力が均質にしみこんでいる。

 そう、まさしくニトログリセリンを吸い込んだ珪藻土、ダイナマイトなのだ。

 

 言ってみれば真実の短剣はニトロを無力化する触媒のようなもの。

 むき出しのニトロにならそのまま接触させればいいが、珪藻土にしみこんだニトロに接触させても、接触した部分の周辺が変質するだけで、奥まで力が届かない。

 

(何か一手工夫する必要があるね)

 

 そういうこと。

 ちなみに今この瞬間も、怒髪天を突くケイオスの岩弾とか黒い閃光のブレスとか魔力弾の弾幕とか、様々なものを回避・防御しながらの会話である。

 互いに思念でやりとりできなければ、会話どころではなかったろう。

 

六星晶の龍(ロンズデーライト・ドレイク)の時のくい打ち機(パイルバンカー)は?)

(あれは人間サイズだから出来るのであって、『デモゴディΣ』で固定されてるこの状態だと難しい!)

 

 出来ない、とは言わないが青玉の鎧やサンダースウォードみたいに外付けで追加パーツ、それも強力な魔力を持つものがあるか、それを補う状況が欲しい。

 いわゆる「燃えるシチュエーション」と言う奴だ。

 それが俺の心を昂ぶらせ、追加の魔力を魂から絞り出す。熱血メーター全開だあ!

 

(・・・まるで少年漫画か、それこそロボットアニメみたいだね)

(サーセン)

 

 便利と言えば便利だが、中々不便な《加護》である。

 しかしパイルバンカーが似合うシチュエーションってのは中々ない。

 相手に明確なコアがある場合くらいだ。六星晶の龍の時も、コアっぽい赤玉があればこそうまくはまった面もある。

 

 今回は・・・今回は・・・!

 でかい相手をブッ飛ばす超兵器?

 スペースコロニービーム?

 日光を収束して何もかもを焼き尽くす巨大氷レンズ?

 隕石を落っことす?

 核爆弾?

 惑星サイズの反物質爆弾!?

 ええいどれも論外だよ畜生!

 

(どれもこれもあれだけど、地球壊したら駄目でしょ!?)

(宇宙丸ごと滅ぼしてから新生する奴もありますが何か?)

(なにそれこわい)

 

 せめて惑星ぶった切る光の剣でもあれば・・・あっ。

 

(何か・・・)

(今戻りました! 弟は! ネフェルは大丈夫ですか!?)

 

 カオルくんの返事に割り込んで、マナさんの思念が脳裏に響く。ナイスタイミング!

 

(えっ?)

 

 カタナ下さい! 名刀ってくらいのやつ! この国なら一本くらい宝物庫にありません!?

 

(えっ? あ、わ、わかりました! カタナですね!?)

(師匠かクソ女王か、手に入ったらこっちに飛ばして貰って!)

(は、はい!)

(それ位は出来る。何とかするから頼むぞ)

(わかってます! そちらも・・・)

(ハヤトくん!)

 

 カオルくんの声にハッと前に意識を戻す。

 巨神ケイオスの全身から強烈な混沌の力と魔力。

 全身を修復するためのエネルギーの放出かと思ってたけど、それだけじゃなかった! まさか――!

 

『貴様ら最早許さぬ!』

 

 巨神の咆哮。

 胸と腹がガバっと開き、混沌の力が収束する。

 向き直ったその正面にはイレマーレの都。もっと言うならば王宮。

 やばい!

 

『消え去れ! あの女と共に――!』

 

 ほとんど同時に、巨神とほとんど同じ直径の黒い閃光が放たれた。




スペースコロニービーム>コロニーレーザー
日光を収束して何もかもを焼き尽くす巨大氷レンズ?>桜多吾作版のいわゆる「桜多マジンガー」でドクター・ヘルが持ち出して来た最終兵器。宇宙空間に浮かんだレンズであらゆるものを焼き尽くす
隕石を落っことす>ガンダムはじめとしてあれこれ
惑星サイズの反物質爆弾>古典SF「レンズマン」の「負の球体爆弾」。名称は違うが、ほぼ反物質爆弾。
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