異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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キャラ紹介

ダン・ハヤト 現代日本からの転移者。16才。《ロボットアニメの加護》を持つ。父親の教育でロボットアニメが好き。
アルテ ヒロイン。16才。《怪力の加護》を持つ力持ち少女。ハスキー一座の怪力芸とおさんどん担当。駄肉。
タチバナ・カオル ヒロイン。16才。ハヤトと同じ転移者。《魔剣の加護》を持つ。美形で天才で善良だが馬鹿正直。
リタ ヒロイン。7才。動物と話せる《会話の加護》を持つ。一座の動物使い。
シルヴィア 一座の座長で歌姫。30絡みのあだっぽい美人。腕っ節も強く気っぷもいい。眼帯巨乳。
ペトロワ 魔女で一座の知恵袋。主人公とカオルの魔術の師匠でもある。
ガイガー リタの父。剣とコマ芸の達人。ヒゲモジャで無愛想。
アーベル 経歴不詳の小人族。軽業と道化芸と忍び技の名人。顔が濃いラテン系。
ラファエル ドワーフの吟遊詩人。ヒゲモジャだけどイケメン。
オブライアン 魚人妖精(オアンネス)の学者。好奇心旺盛。多少の魔術の心得がある。

デモゴディΣ(シグマ) 元祖巨大ロボットにしてハヤトの最推し。ハヤトは感情が高ぶるとこれに変身巨大化できる。


五の巻「母を求めて」
第一話 「運命の扉」


 

 その人はフラッと、一座の野営地に現れた。

 イレマーレを出て、隣の国の国境の町。公演が終わって日課の素振りをしていた俺の腕がそろそろ限界に達して、疲労回復の術を頼みに行こうかというタイミングだった。なおこれで本日二回目の限界である。

 

「千五百七十二! 千五百七十三! ・・・あれ、お客さんですか? 今日の公演はもう終わりましたよ」

「ああいや、そっちじゃねぇんだ。俺はイーサン。ここにアルテって娘がいると聞いてな。怪力芸を売りにしてるらしいんだが」

「ふーん?」

 

 改めて訪問者を観察する。

 年の頃は四十から五十、男性。背は高くないがたくましい。結構渋いおっさんだ。

 つば広の帽子に革のチョッキ。腰にはサーベル。胸には翡翠の(第三等級)冒険者認識票。

 大ベテランの冒険者って感じか。

 軽く見ていい相手じゃなさそうだ。

 

「・・・お知り合いで?」

「いいや。だが親戚だ。一応な」

 

 親戚・・・? アルテって確か孤児だったはずだけど。

 そんな内心がもろに顔に出ていたらしく、苦笑された。

 

「まあ疑うのは当然だが、あの子は生まれた時に行方不明になっててな。ここ数年探してたんだ。話だけでもさせてくれねえかな」

 

 うーん・・・。

 しばらく考え込んで、俺は首を縦に振る。

 

「それじゃちょっとお待ち願えますか」

「ああ、頼む」

 

 そう言うと、おっさんは人好きのする笑顔で笑った。

 

 

 

 取りあえず飯の準備をしてたアルテとシルヴィア座長を呼んだ。他にも何人か声を掛けようと思ったのだが、何か言うまでもなく結局全員ゾロゾロとついてきた。物見高いったらありゃしない。

 まあガイガーさんとカオルくんだけはアルテが心配だったんだと思いたい。

 そうやってゾロゾロ近づいて行くと、アーベルさんが片眉をぴくりと上げた。

 

「デューク? おい、デュークだろう、お前」

「俺はイーサンだ」

「・・・そうかい」

 

 それだけ言って、アーベルさんが軽く肩をすくめた。

 小声で聞いてみる。

 

「お知り合いですか?」

「さあな。違うって言ってんだから俺の勘違いだろう」

「・・・」

 

 軽々しく踏み込んでいい話じゃなさそうだなあ。

 そんなことを考えていたら、アルテと彼の話が始まっていた。

 

 

 

 アルテの顔を見てイーサン氏が驚いた顔になった。

 

「・・・よく似てやがんなあ。初めまして、お嬢さん。イーサンだ」

「あ、はい、アルテです・・・」

 

 戸惑っているアルテ。やっぱり面識はないらしい。

 

「さっそくだがちょっと待ってくれ。話を始める前に確かこの辺に・・・ああ、あったあった」

 

 チョッキの内側から取り出したのは宝石の卵、半透明のイースターエッグみたいなものだった。

 

「ふむ」

 

 そこで頷いてる師匠、あれなんです?

 

「『嘘つきの卵(ライアー・エッグ)』と言われる魔道具じゃな。まわりで誰かが嘘をつけば赤く光る」

 

 何それ凄い便利!

 法執行機関や冒険者ギルドにはよく置いてあって、その運営を助けているそうな。

 

「まあ結構高いもんじゃがの」

 

 これを専門で作ってる冒険者族の一族があって、そうした機関には安値で卸しているのだそうだ。

 すげえな、そんなものあったら犯罪捜査や商取引がめちゃくちゃ楽になるじゃん!

 

「まあそれを逆手にとって、『嘘を言わないで相手を騙す』技術も発達しておるらしいが」

「そう言うだまし方に対抗するための手法も冒険者ギルドなんぞでは普及してるそうだがね」

 

 と、これは笑いながらアーベルさん。

 うーんいたちごっこ。

 閑話休題(それはさておき)

 

「知っているなら話が早い。話の間、こいつを見てれば俺が嘘をついてるかどうかもわかるってもんだ。何なら調べてみるかい」

「拝見しよう」

 

 イーサン氏から「嘘つきの卵」を受け取って、呪文を唱える。

 頷いてから師匠は卵を彼に返した。

 

「正常に働いておるの」

「ご理解頂けて幸いだ。それじゃ・・・『今は夜だ!』」

「おー」

 

 イーサン氏が言うと、卵が赤く点滅した。ちなみに今はもうすぐ夕方。

 

「それで話を始めたいと思うが、お嬢さん。アルテと呼んでいいかな? 俺もイーサンでいい」

「え、あ、はい」

 

 意表を突かれたアルテが慌てて頷く。

 

「けっこう」

 

 イーサン氏が再び人好きのする笑顔を浮かべた。

 

 

 

「・・・私が貴族の隠し子だっていうの!?」

「少なくとも俺はそう聞いてるな。俺もその頃は実家に寄りつかなかったんで、話に聞いてただけだったんだが・・・」

 

 叫ぶアルテ。

 帽子のつばをいじって困った様な顔をしているイーサン氏。

 卵は赤く光らない。

 

 何でもアルテの母親はこのトリッチ王国の公爵家の娘だったが、低い身分の男とかけおち。しかし夫は死に、その後連れ戻されてアルテを身ごもっているのがわかった。

 体面をはばかってアルテはいなかったことにされ、母親には死産と告げてその後どこかにやられたのだとか。

 

 イーサン氏はアルテの母親の兄で、若い頃に家を出て冒険者として暮らしていた。アルテの母親が駆け落ちする前の話だ。

 「妾腹なんで居心地が悪くてな」とは当人の弁。

 それでも勘当されたわけではないのでたまには顔を出していたのだが、二年ほど前家に帰ると父親(アルテの祖父)と妹が顔を揃えて氏を迎えた。

 父とは犬猿の仲かつ、既によそに嫁に行っていた妹がいるとは珍しいと首をひねっていると、深刻な顔の父親から話を切り出されたのだそうだ。

 つまり、アルテがまだ生きている可能性があるので探してくれ――と。

 

「・・・どういうこと?」

「妹は今は何とか再婚して――俺の目から見てもまあまあいい男だ――幸せに暮らしてるんだが、亭主が魔法を使えば死産した子の遺体も見つかるんじゃないかと言い出してな。

 大枚はたいて術を使って貰ったら、なんとびっくりロンドのあたりで生きてるってぇじゃないか」

 

 忘れてる人も多いだろうが、ロンドというのは俺とカオルくんが最初に召喚された国だ。

 

「それで妹が問い詰めたら、娘を捨てたのをクソ親父が白状しやがってな。そこに飛び込んできたまぬけが俺ってわけだ」

 

 一斉に溜息が漏れる。

 ひどい話だ。

 

「・・・」

 

 無言で震えているアルテに近づき、手を握ってやる。

 感謝の目でこちらを見てくるアルテ。

 イーサン氏がちょっと笑った。

 

「おじさん・・・でいいのかな。それ、本当に私なんですか?」

「ああ。妹の、同じ年の頃にそっくりだ。知ってる奴はまず十人が十人ともそう言うだろうよ」

「・・・」

 

 黙り込んだアルテに代わって俺が疑問を口にする。

 

「というか、イーサン氏もアルテのお母さんもこちらの人なんですよね? それがなんで遠く離れたロンドに?」

「それがな・・・」

 

 イーサン氏の父親も本物のろくでなしではなく、裕福な商人の家に世話金を弾んでアルテを引き取って貰ったらしい。

 ところがその商人が盗賊に襲われて一家皆殺しの憂き目に遭い、アルテも死んだものと思っていた。父親を絞め上げてその話を聞き出したアルテのお母さんが調べたところ、当時赤ん坊のアルテだけ遺体が見つかってなかったのが判明したと言う事だ。

 

「こっからロンドに至る奴隷売買のルートがあってな・・・まあそっちのほうはお前さん達の方が詳しいかもしれないが」

 

 う。

 オブライアンさんの妹さんとか、そのへんの話か。

 この人侮れないな。

 

「それで・・・だ。ひょっとしたら顔も見たくないかもしれんが、ちょっと俺についてきちゃもらえんだろうか?」

 

 帽子を脱ぎ、イーサン氏が済まなそうに頭を下げた。

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