異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「プロテクションシェェェェェェェドッ!」
俺の気合いと共に広げた左手の平を中心に半透明のフィールドが俺とアルテ、リタを覆う。しかし咄嗟のことで、光球を切り弾いたカオルくんまでは手が回らない。
「カオ・・・」
「うん、それでいい! ハヤトくんは二人を守って!」
「・・・わかった!」
振り向いたカオルくんとのやりとり。
自分一人なら大丈夫って事なんだろう。男としては少し情けないが、アルテとリタを守るのも立派な仕事だ。
「!」
ばらばらばらっ、と覆面の男たちがその辺の通りや店から飛び出して来る。
誘い込まれたというか、待ち伏せされたのか!?
気がついたら、人相の悪い男たちが広場の出口を全部固めてる。あわせて30人以上はいるぞ・・・!
「ハヤトくん!」
振り向いたカオルくんの視線で気付く。今度は斜め後ろから光球が!
「あぶな・・・っ!?」
カオルくんが絶句する。
飛んできた光球はバリア表面で爆発・・・せずに、水滴がしみこむようにバリアに吸収された。そしてそのまま光の五芒星として反射され、敵術者を直撃。爆発と共に術者の姿は土産物屋の屋根から消えた。
「なんだとっ!?」
振り返ったカオルくんに斬りかかろうとしていた覆面の男たちが驚愕で足を止める。
逆にカオルくんが踏み込み、一人を切り伏せた。
プロテクションシェード。
「勇者獅子王ラオライガー」の主役ロボ・ラオライガーの使う防御フィールド。実弾を反らし、エネルギー兵器に至っては反射する、ロボットアニメ全体で見てもかなり優秀なバリアだ。
というかこれ以上の性能を持つような防御フィールドやバリアのたぐいとなると、今の俺では再現できない。未来世紀ブランジェリオンの絶対防御フィールドとか、小惑星サイズの物体でも防ぎきるナンバーワンをねらえ!の慣性防御とか、ちょっと強力すぎる。
かと言ってデモゴディの豪子力バリアーはな・・・あれ使いやすいんだけどパリーンと割れるのが持ち芸みたいなとこあるし。
「はあっ!」
幸いにも術師はそいつ一人だけだったらしく、後は射手が三人と剣士が五人。
キン、キン、と、防御フィールドでそらされた矢が石畳で音を上げる間に剣士が二人、また切り伏せられて倒れる。
「サンダァァァァスウォォォォォドッ!」
閃く剣尖、ほとばしる稲妻。
広場まわりの建物の屋根、射手が稲妻に薙ぎ払われて次々と石畳に落ちる。
「魔法だ?!」
まさかいかにも剣士なカオルくんが術を使うとは思わなかったんだろう。
驚きに立ちすくんだ二人がまた切り払われて倒れた。
「くそっ!」
「ロケットパァァァアンチッ!」
身を翻して逃げようとした最後の一人の、腰の後ろを右手のロケットパンチが強打する。
そいつはもんどり打って石畳に倒れ込み、そのまま動かなくなる。手加減したから多分死んではいないだろう。
「ひっ・・・!」
カオルくんが睨むと、広場の周囲を固めていた連中は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「ふうっ」
「だ、大丈夫・・・?」
リタを抱きしめていたアルテがこわごわと尋ねてくるのに笑みを返す。
「みたいだな・・・あれ?」
今更気付いたが、左手のプロテクションシェードは維持したままだった。ロケットパンチを撃ったのにだ。
つまり違うロボの力を同時に引き出せた? 今俺何気にすごいことやってない?
「ハヤトくんナイス! ・・・そいつ担ぐの、ボクじゃちょっと力が足りなさそうだから、お願いできる?」
「お、おう」
取りあえずは後だな。こいつを連れ帰って、師匠に情報を引き出して貰わないと。
「あっ、あっ、あっ・・・」
毎度お馴染み、ペトロワ師匠による頭クチュクチュモンダミン。
敵とは言え普段なら同情するところだが、いきなり襲いかかって来た奴らに御仏の情けは無用。コインいっこいれる。
「で、誰がお前さん達をよこしたんじゃ?」
「あっ、あっ、あっ・・・西町の元締めのフェイダーさん・・・」
「何が狙いじゃ。誘拐か、殺害か」
「あっ、あっ、あっ・・・殺し・・・だ・・・その・・・栗色の髪の、牝牛みたいな小娘・・・死体は回収するように・・・」
「誰が牛よ!?」
「あ、アルテちゃん落ち着いて・・・!」
額に青筋立てたアルテを、リタがなだめてる。まあ日本のインターネットならともかく、この世界で牛って言ったら普通に悪口だわな。おっぱいでかいし尻もでかいし全般的に肉付きもいいから言われてもしょうがないけど。
「ハヤトはそいつの次に殺す」
アイエエエエ!? ナンデ、殺意ナンデ!? 口に出してないのに内心読み取るのはつくづく反則だと思うの!
「顔がそう言ってるのよ!」
「ごめん、ハヤトくん。この件に関してはフォローできないや」
「私も・・・」
カオルくんばかりかリタまで・・・神は死んだ!
ともかくそいつが知ってたことはそれだけだった。
下っ端らしく何のために殺すかは聞いてなかったし。
ただし、広場で襲いかかって来たのは西町の元締めが雇ってるプロの殺し屋全員で、事実上の全戦力を投じてなりふり構わず真昼に殺しにかかったのは余程の金を積まれたんじゃないかとのこと。
この上でまだアルテを殺そうと言うなら一家の戦力全員を投入するくらいしか手段はないが、腕利きの用心棒を全員あっさり倒された以上、チンピラたちが素直に従うとも思えない。
下手すれば恐れをなして逃げるだろうから、多分再度の襲撃はないんじゃないかということだった。
「聞き出せそうなことはこのくらいかね」
尋問官をやっていたアーベルさんが肩をすくめて師匠と座長のほうを見た。
頷いてから、座長が視線を向けたのは・・・イーサン氏。
「・・・」
無言で頬をかく彼に、全員の視線が集中する。
それはそうだ、この人関係以外で今アルテが狙われそうな心当たりはない。
「で?」
「で?って言われてもなあ。まあやらかしそうな奴は一人思い当たるが」
「そいつは誰だい?」
「ヘルン・フォン・コロード。レミンジャー公爵の勘当された息子で・・・つまり、俺の腹違いの弟さ」
苦虫を噛みつぶしたようなイーサン氏。
周囲が重苦しい雰囲気に包まれた。