異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第五話 公爵家の愉快な面々

「西町の元締めのフェイダーだっけ、暗殺者送りつけてきた奴。ひょっとしてシルヴィアさんが挨拶に行ったのは・・・」

「いや、アタシが会いに行ったのは町の南と東を縄張りにしてるスピルってやつさ」

「フェイダーが娼館、スピルが芸人興行、もう一人のマカバナーが酒の流通を握ってて、カジノは領主の直轄。そう言う形でうまく住み分けてるはずだ」

 

 とはアーベルさんの言。

 仲が悪くないなら、フェイダーが残りの二人に声をかけて三人がかりで襲ってきたりしない?

 

「ないたぁ言えないが・・・そこまで行ったら領主が黙ってないだろうな。

 元締め三人が総掛かりとなったらもう戦争だ。カジノの町、観光の町で売ってるヴェガスとしたら、そんな大騒ぎを起こしたら死活問題だろうさ」

「つまりやるなら街の外?」

「可能性は高いな」

 

 アーベルさんの言葉にガイガーさんも頷く。

 

「とは言え油断は禁物ですぞ。それにこっそり忍び込んでというのも気を付けるべきですぞ。

 ばれなければと考える様な輩はどこにでもいますぞ」

 

 いきなり白昼堂々襲いかかってくるような連中だからなあ。

 とは言えこちらは芸人一座。この町である程度稼がなきゃ次の町に行く金もない。

 いや、興行はどこでも順調だし(口はばったいがが俺の手品という他で見られない演目もあるし)、この前のダンジョンで稼いだ魔力結晶も結構残ってるから、蓄えはあるのだが。

 

「よし、話はまとまったね。しばらくの間誰も単独行動はしないこと。昼でも夜でも。特にアルテには常時二人はついておくれ」

「一人は俺が務めるからもう一人だな。それとも女の方がいいか?」

 

 帽子のつばをいじりながらイーサン氏。アルテが苦笑。

 

「まあいいですよ、寝床まで潜り込んでこなきゃ」

「何だったら子守歌くらい歌ってやるぞ?」

 

 わははと笑うイーサン氏に、アルテの苦笑が更に深くなる。

 

「まあ、そんな事したらそっちで睨んでる彼氏にブッ飛ばされそうだからやめておくよ。くわばらくわばら」

 

 え? 俺そんな顔・・・してたかも。

 しかしなあ、アルテはその、彼女とかそう言うのではないわけで・・・

 

「・・・」

 

 その後俺はアルテに肘撃ちを喰らい、カオルくんとリタから冷たい目で睨まれ、ガイガーさんに剣の鍔を鳴らされた。ナズェ!?

 

 

 

「こうなると買い物も面倒ねえ。前の町でもうちょっと買い込んでおくんだったわ」

「すまねえな。俺もまさかここまでやるとは思わなかったもんでよ」

 

 只今買い物中。

 溜息をつくのはイーサン氏。アルテの横を俺とカオルくんが、後ろを彼が固めて万全の布陣である。

 普段ならリタも同行するところだが、しばらくは野営地の外に出ないように言われてちょっと不満げ。まあ文句を言うような子ではないけど気の毒なので早くどうにかなって欲しい。

 そもそもアルテを出すなという話もあるが、一座の中で生鮮食品の目利きが出来るのがこの娘しかいないのだ。終わってるな!

 

「それで、改めて聞きたいんですけど、アルテの・・・というか、公爵家まわりの家族構成とかどうなってます? 他に厄介そうな人いますか?」

「んー、そうだな。話しておいた方がいいか・・・」

 

 そう言う事でイーサン氏の説明が始まった。

 まず公爵家当主のハンス・ウルリヒ・フォン・レミンジャー。

 しきたりとかに厳しい頑固なじいさん、というイメージで大体間違ってないとのこと。

 

「まあとは言え町娘だった俺のオフクロに手をつけて俺を産ませたりはしてるわけだがな。

 普通妾腹の子なんぞ、その辺に放って金だけ出すもんだし、本家で育てられたのはそれなりに情はあったんだと思う」

 

 ふーむ。

 

「俺のオフクロは俺がガキの頃に死んでるからまあいいだろ。パン屋の娘だったからあれこれのしがらみもねえし」

「でしょうね」

 

 カオルくんが頷く。

 

「で、次にもう死んでるが正妻のリィン。アルテの母親のコルドラと弟のヘルンを生んだ女だな。

 ちっとまじめすぎるところがあって腹違いの俺にも特に優しくはなかったが、いびってくるようなこともなかったから、まあ貴族としてはかなりマシな女だったんじゃないかね」

 

 まあ貴族でなくてもドロドロしてそうですけど、貴族は更にアレそうですからね。

 

「まったくだ。なんたら公爵様だのかんたら男爵夫人様だの、称号ってのは人間の頭に蜘蛛の巣を張らせちまうのさ」

 

 わははと笑うイーサン氏。

 イレミーレでナイト位を貰った俺やカオルくんとしては苦笑するしかない。

 まあ俺に関して言えば、場合によっては公爵様に・・・いや、なんでもない! なんでもないからな! 万が一アルテやカオルくんに今の表情を見られたら、またひどい目に会う!

 幸いその瞬間の顔は見られなかったらしく、二人とも神妙に氏の話を聞いている。

 助かった・・・!

 

「お前の母親のコルドラについては話したな。その亭主がアルベルト・ミュラー伯爵。コルドラとは幼馴染みで、俺とも仲は悪くない。バツイチなのを知っててコルドラを貰ってくれたいい男だ。領地の運営も問題はなく、コルドラとも仲良くやってる」

「?」

「領地の運営とか関係あるんですか?」

 

 アルテとカオルくんが首をかしげる。うーん二人とも素直。

 でもあるんだなあ。

 

「領地の運営に問題があるなら・・・つまり貧乏なら、レミンジャー公爵家の財産を狙う可能性もあるってことだよ」

「え」

「あー・・・」

 

 顔がこわばるのがアルテ、理解の色が広がるのはカオルくん。まあこの辺は日本のドラマでも漫画でも、腐るほどあるネタだからな。

 

「ご明察。まあアルビーはほっとけばアルテの養父になるだろうから、仮に財産狙いとしてもアルテを傷つける意味はないがな」

 

 でもアルテを傷つけたいと思う人はいるわけですね。

 

「まあ・・・疑いたくはねえが、動機はあるんだよなあ」

 

 溜息をついてイーサン氏は話を続けた。

 

「その動機のある奴、公爵の次男つまり俺とコルドラの弟でヘルン・フォン・コロード。こいつについては一言で説明できる。どら息子だ」

「うわー」

 

 父親がテンプレの大貴族ならこいつはテンプレの放蕩息子で、衣裳狂いだったそうだ。

 それまでもひどいものだったが晴れ着に金貨一万枚使ったと聞いたウルリヒさんは、ついにブチ切れて息子を勘当、財産援助と引き替えに遠縁のコロード男爵家の婿養子に出されてしまった。

 金貨一万枚って日本だとざっと一億円だろ? そりゃ勘当もされるわ。どんな服だ。ダイヤモンドびっしり縫い付けてでもいたのか。

 

「・・・でもそうすると跡継ぎはどうするんです?

 コルドラさんは他のところにお嫁に行って、本来継ぐべきヘルンさんは養子に出されて。イーサン氏は継げるんですか?」

「継げるわけねえだろう、と言ってもまあわからんか。

 妾腹だし、母親が平民ではまず無理な話さ。俺としてもまっぴら御免ではあるがね。

 親父殿はコルドラの子供やいとこの伯爵家の子を貰うことを考えているようだったんだが、そこに降って湧いたのが今回のアルテの生存話ってわけだ」

 

 聞けば聞くほど厄介な状況! というか現状高い確率でアルテが家を継ぎそうなんですが。

 

「そうなんだよなあ。公爵家の親戚や家臣にだってよからぬ事を考える奴がいないとは言いきれないし、とにかく親父とコルドラのところに連れていくまで守るしかねえんだよな」

 

 溜息が四つ、一斉に吐かれた。

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