異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十六話 メチャクチャ必殺技っぽいけど必殺技じゃない技堂々の第一位

「ドラゴニックスクランダー!」

 

 叫ぶと、俺の背中に紅の翼が現れる。

 

「ハヤトくん、ボクも!」

「いや、カオルくんはアルテを頼む! この機に何か来ないとは限らないし!」

「・・・わかった!」

 

 頷くカオルくん。アルテも。

 他の面子もそれぞれに頷いてくれたのを確認し、俺は真紅の翼で夜空に舞い上がった。

 

「あれは・・・?」

 

 さほど大きな町ではない。距離にして数百メートル、時間で数秒。

 黒い巨人はコールタールのような黒い粘体にまみれた瓦礫を四方八方に飛ばし、着弾したところから炎が吹き出す。炸裂弾というか、ナパームか何かかあれは!

 

 目覚めて騒ぎになりつつある深夜の町の通りに、俺はアーベルさんとイーサン氏の姿を見つけた。

 路地に逃げ込もうとしていた二人、いや三人のところに降り立つ。

 

「大丈夫ですか! そっちは怪我人ですか?」

「ああ、途中で拾ってな。ともかく野営地に連れて行くからお前、あれ頼むわ」

「頼むわってお前・・・いくらなんでも一人じゃきつくねえか、あれ?」

 

 顔をしかめてイーサン氏。

 まあ身長20mくらいの得体の知れない怪物が相手ならそう思うわな。

 だが、俺に限っては違うのだ。

 

「それじゃ急いで避難してください!」

「おう、お前も気を付けろよ!」

 

 

 

 ハヤトと呼ばれた少年が駆けていく。娘と仲むつまじく笑いあっていた彼が。

 燃える街を、巨人に向かって、毛ほどの恐れも見せずに。

 

「おい・・・どういう事だ、アーベル・・・?」

 

 黙っていた無精髭の中年、変装したシェフが小人族の方を見た。

 右手はイーサンに肩を貸して貰っており、左手は脇腹を抑えている。夜の暗さと服の色のせいで目立たないが、よく見れば赤いシミがじわじわ広がっているのが見て取れた。

 

「そんなことを言う前にばあさんのところ・・・は後でいいか。ちょっとの間だ」

「だから・・・どういうことだ」

「何、見てればわかるさ。すぐにな」

「・・・?」

 

 

『 マ シ ン ・ オ ン ! 』

 

 

 燃える街に叫びが響く。

 シェフの鋭い聴覚は、爆音に紛れたそれを正確に拾い上げた。

 

「「お・・・おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」

 

 イーサンと共に思わず叫んでいた。

 走り去る、小さくなっていくはずの少年の背中が逆に大きくなる。

 あっという間に見上げるほどの、集合住宅より高い背丈になってしまったそれは、いつの間にか鋼の甲冑のように全身を金属色の光沢が覆っていた。

 

「どうだ、すげえだろ。あれがハヤトだ。お前の娘婿だよ」

 

 呆然とする二人に、アーベルが自慢げに笑いかけた。

 

 

 

「マシン・オン!」

 

 叫ぶと同時に豪子力の光が俺の体を満たす。

 拳が鋼鉄に変じ、肉体は家より大きくなる。

 

『RRRRRRRRROOOOOOOOOOOOOOOOOO・・・・?』

 

 燃える町の中、コールタールと岩で出来た巨人と、デモゴディになった俺が対峙した。

 

 

 

 ゴォォォッ!

 コールタールの巨人と相対したデモゴディの口元から烈風が吹き出す。

 それは特殊溶解液を含み、ほぼありとあらゆる物質を分解し、脆くしてしまう滅びの魔風ルイントルネード・・・ではなく。

 

『デモゴディ消火液ィッ!』

 

 消化液ではない。

 ネペンテス液を入れろといったら入・れ・ろ・ッ! 液グモをはなてっ! ではない。

 文字通りの消火液である。消防車のホースから出る奴。

 昔は水を出してたが、今は泡になる消火液の方が効率よく火を消せるのだそうだ。

 

 それはともかく実はデモゴディにはこう言う装備もある。出たの1、2回くらいだし、ゲームで再現されたのも見たことがないから知らないって人が大多数だろうけど。

 ずずい!と首を巡らせて息を吐くと、周囲で燃えさかっていた炎があっという間に鎮火する。

 消火液まみれになった人もいるだろうが、口の中に入っても毒ではないから我慢してくれ。

 

 だが目の前には黒い粘液の巨人がいる。

 一瞬警戒したようではあるが、消火活動の隙を見過ごすほど甘くはなかったようだ。

 

『ROOOOOOOOOOOOOO!』

 

 奴が両腕を振る。飛んでくるのは数十個の、コールタール(黒い粘液)まみれの瓦礫。

 1mくらいあるものもあれば、微細な瓦礫がコールタールでくっついている奴もある。

 消火液を周囲に吹いて体勢の崩れた俺はこれをかわせない。

 だが。

 

 ガン! ゴン! と音がする。

 人間サイズなら耳の痛くなるような大音だが、今の俺にはトタン板に雨粒がぶつかったほどにも感じない。

 飛来したコールタールまみれの瓦礫を、デモゴディと化した俺の装甲は軽々と弾いていた。

 せいぜい表面に僅かな粘液が付着する程度で、へこみどころかすり傷一つ・・・

 

 得意げにそこまで思ったところで、周囲で爆発が起こった。

 やばい、そう言えばこいつ、これ(粘液弾)で火災起こしたんだった!

 

 顔が引きつったところに、再び粘液弾の連射。

 デモゴディの顔が引きつるのかって? 心の中で引きつったんだよ!

 閑話休題(それはさておき)、散弾が再びデモゴディを襲う。

 

『ビームフリーザー!』

 

 両耳から発射される冷凍光線。

 命中した粘液弾は凍りつき、落着しても発火しない。

 しかし奴め、調子に乗って両腕をブンブン振り回して連射するものだから、到底間に合わない!

 

(攻撃を弾けば周囲にダメージ・・・あっ!)

 

 天啓のようにそれは降りてきた。

 「勇者獅子王ラオライガー」第四話。市街地での戦闘に持ち込まれ、今と全く同じ状況に陥ったラオライガーを救ったのは・・・先日までのデモゴディなら出来なかったが、今(デモゴディ)の中には、それを可能とする追加パーツがある――!

 

『来いッ!』

 

 俺の左手に現れたのはメカメカしい巨大なシャベル。

 ラオライガーの武装や便利ツールは、基本工具の形をしているのだ。

 前回手に入れた、千子村正と「タリエシンの宝珠」、「真実のジャンビーヤ」を融合させた日本刀、ムラマサブレード。力ある存在であるそれの形状を変え、デモゴディの姿でも追加パーツとして使用可能にしたそれ。

 

『ディバイディング・スコッパァァァァッッッ!』

 

 左手は柄の中ほどを、右手は柄じりの取っ手を掴み、俺はシャベルの刃先を大地に突き立てる。

 閃光が地面を走った。

 

『RRRRRRR!?』

 

 タール巨人の、恐らく驚愕だろう咆哮。

 そりゃあそうだろう。

 いきなり地面が真っ二つに割れればな!

 足を取られて裂け目に落下する巨人、それを追う俺。二体の巨人は突如として現れた空間の中に姿を消す。

 

 ディバイディング・スコッパー。

 直訳すれば「割るシャベル」。

 何を割るのか? 大地をである。

 物理的にではなく、亜空間を作り出して大地を割り、深さ数百メートル、直径数キロの空間を作り出す。

 この時周囲の町や森は空間が歪んでいるため、一切の被害を受けない。

 

 重要なのは体高30mのゾルーゲロボすら、この範囲を超えて破壊をまき散らす兵器はそう持っていないということ。

 つまりこれは、市街地などで周囲に被害をもたらさないための超絶便利ツールなのだ!

 別名「採石場召喚ショベル」! ここでならいくら爆発しても大丈夫だぜ!

 

『さあ、勝負はここからだぜ!』

 

 巨大な穴の底、落下してべちゃりと地面に広がりつつも再び盛上がるコールタール巨人。

 その後を追って着陸した俺は、ファイティングポーズを取って改めて宣戦布告した。




>デモゴディ消火液
マジンガーZにちゃんとありましたw

>ネペンテス液を入れろといったら入・れ・ろ・ッ! 
>液グモをはなてっ!
バオー来訪者、霞の目博士のセリフより。色々惜しい作品だった。

>ディバイディング・スコッパー
もちろんディバイディングドライバー。
なおタイトルはファンロード大辞典のネタから。
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