異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
『豪子力ビーム!』
巨大な地底闘技場で相対する俺とコールタール巨人。
まずは小手調べで目からビーム!
『RRRRRRRR』
両目から放たれたビームは、黒い粘液巨人の体をあっさりと貫通。
・・・いや、あっさり過ぎる。すぐに塞がっちゃったし、全然動きが鈍ってない!
『RRRRRRRR』
またしても両腕を振り回し、粘液弾をばらまいてくる。
爆発が俺の全身を覆うが、もはや避けることもない。
その程度で超合金Σを貫けるか!
『ロケットパーンチッ!』
お返しとばかりに放った両拳が、奴の上半身を貫き四散させた。
が、すぐに粘液と瓦礫が盛上がって大まかな人型を再構成する。
『RRRRRRRR』
ちっ、馬鹿の一つ覚えの粘液弾か!
表情とか鳴き声でもダメージ負ってるのかどうかわからんし、やりにくい!
こうなりゃブレストヴォルケイノで一気に・・・一気に・・・なっ!?
『ぐっ・・・うっ?!』
気がつくと下半身が黒い粘液に覆われていた!
動こうとしても動けない!
俺がもがいている間に、するするする、と意外な高速で俺の後ろに回り込む粘液巨人。
くそっ、後ろから殴り始めやがった!
背中とは言え超合金Σの体を破壊するほどじゃないが、このままだと何もできん!
デモゴディの武器は基本体の前面に集中してる。というか背中に武器装備してるのってどっかのD3(三次元射撃制御)システム積んだロボテックくらいしか知らんよ!
ロケットパンチは撃てるが、有効打にならないのは証明済みだし、最悪このままズルズルとエネルギーが切れて変身解除になる恐れもある。
自発的に変身解除する手もあるが、この戦闘フィールドはデモゴディが作ったものだから、デモゴディ化を解除する拍子にこれまで解除されると・・・そこまで器用にやれる自信はちょっとありません!
となると・・・だ。
『RRRRRRRRR』
こちらが動けないと見たか、口に当たる部分にぽっかりと穴が開く。
その奥に灯る魔力の光。チャージしているな? 何か知らんが、させるか!
『パイルビード・オフッ!』
『RRRRRR』
初めて奴の鳴き声に動揺が混じった。
そりゃあまあ、人間の頭がいきなりすぽーんと外れれば何かと思うだろう。
ロボット忍法跳ね頭! 無意味なアクションであるがゆえに、かえって敵は混乱する!
何をしたかというと、デモゴディΣの頭部に収まっている操縦ユニット、パイルビードを分離させたのである。
パイルビード。
せいぜい2m程の飛行ユニットで、無論まともな戦力には数えられないが、それでもビームもあればミサイルも積んでいる!
『RRRRRRRRRRRR』
ばらまかれる粘液弾をかわして急降下。足元にパイルビード・ミサイルッ!
爆発が黒い粘液を吹き飛ばし、デモゴディがぐらりとよろけて傾く。
『マシン・オンッ!』
パイルビードが再合体。
デモゴディの目に再び光が灯る。
不滅の肉体に人の頭脳がドッキングし、今俺は再びデモゴディΣになる!
『ガオオオオオオオオオオオオン!』
咆哮と共に足裏のロケットを噴射。
更に乱射される粘液弾から身をかわし、空中でくるりと振り向いて着地。
『ミサイルラッシュ!』
乱射されるミサイルが粘液弾の弾幕を相殺し、コールタール巨人を滅多打ちにする。
これで!
『RRRRRRRRRR』
なぬ!? 粘液弾が爆発してたから可燃性かと思ったが、全然燃えん!
『RRRRRRRR』
咄嗟に地面に伏せた。
その上を奔る赤い閃光。
後部カメラで、戦闘フィールドの壁が直径数十メートルにわたって溶解してクレーターになったのが見える。
ちっ、しつこい!
ならこれだ!
『ルイントルネード!』
デモゴディの口から今度こそ飛び出したのは、あらゆる物を塵と化す滅びの魔風ルイントルネード。
『RRRRRRRR』
まともにくらった奴は両手で顔面をガード。
だが次の瞬間、その両腕が溶け落ちた。
コールタールみたいな粘液も、取り込んだ瓦礫も、もろともに溶解し、チリとなっていく。
『RRRRRR・・・』
奴の咆哮が小さくなり、そして途切れる。
チリとなった奴の体の中央に肉の塊のような、眼球のような核が一瞬見えたが、それもあっという間に風化して消滅する。
数秒後、奴のいた場所には何も残っていなかった。
『ドラグランダー・クロス! ディバイディング・オフ!』
真紅の翼と合体して戦闘フィールドを脱出し、誰か落っこちた人がいないかどうか確認してからディバイディング・コアを解除すると、戦闘フィールドだった穴がスルスルと縮んでいく。
文章にすると何の事やらだろうが、大丈夫、俺も良くわかってないから安心して欲しい。
穴が完全に消えた後、残り火を消火剤で消してから俺は変身を解いて、今度はミストヴォルグの能力で透明になって飛び去った。
「おかえりなさい、ハヤト!」
野営地に帰ると、アルテが抱きついてきた。
うーんこの柔らかい感触。駄肉サイコー。
「・・・」
あ、やべっ。アルテが睨んでる。
顔に出ることを忘れてしまうとはバカバカバカバカワシのバカ!
「・・・まあいいわよ。頑張ったんだから許して上げる」
少し顔を赤らめながら、でも離れないのはそう言う事ですか? そう言う事ですね?
そんなことを考えてたら、強烈なレバーブローを入れられた。
「うぐぅ!?」
「調子に乗るなっ!」
ぷんすこするアルテ。
「ハヤトくんお疲れ・・・と言いたいけどホント相変わらずだね」
カオルくんの! カオルくんの目が冷たい!
「さっそくいちゃついてんじゃないよ。客人が呆れて帰っちまっただろ」
サーセン、座長。
客人って・・・ああ、アーベルさんたちと一緒だった怪我人か。
大丈夫だったんです?
「ばあさんが治療してくれたからまあ大丈夫だろ。
・・・少しくらいゆっくりしてきゃ、いいのによ」
アーベルさん?
「なんだい」
いえ・・・なんでも。
「まあ、急ぎの用でもあったんだろ。大丈夫、生きてりゃ何とかなるもんさ」
イーサン氏。
・・・まあ、そうですね。
何とはなしに遠い目になり、俺は彼が去っただろう方角の夜空を見上げた。
部屋に戻り、最小限の荷物を回収してから小鳥の籠の扉を開け、エサをありったけテーブルの上にぶちまける。
「ピチュン?」
「じゃあな」
首をかしげる小鳥には目もくれず、窓を開けてそのまま男は部屋を出た。
大騒ぎになっている間に城門を抜けて都市を出る。
そのまま姿を消すつもりで大通りを歩いていたシェフの足が思わず止まった。
「遅かったわね、シェフ」
旅行用ドレスの、荷物を抱えた女。
馴染みの娼婦、ジャクリーヌだった。
「どうして」
常にもないことに、言葉が出てこない。
何故自分を追ってきたのか。
顔を変えてるのに何故わかるのか。
何故ここを通るとわかったか。
「さあ? どうしてかしらね。でも女って、好きな男の靴が変わっても足音はわかるものかもしれないわね」
天を仰いで嘆息する。この感覚には覚えがあった。
どうも、自分は女には勝てないらしい。
「好きにしろ」
「ええ、好きにするわ」
門に見張りはいなかった。
カンヌキを外して門を開き、二人は町を出る。
「あら」
夜空に小鳥の鳴き声。
青い翼が羽ばたいて、シェフの肩に止まった。
「両手に花ね」
また溜息一つ。
「あら、何?」
「いや・・・こうなるとわかっていたら、こいつの餌も持って来るんだった」
女が笑う。
小鳥が一声高く鳴いた。
>忍法跳ね頭
「ムジナ」より。
本当に無意味な動きで相手の意表を突くというセクシーコマンドーみたいな技(間違った事は言ってない)
>D3システム・ロボテック
「メックウォリアー」のリプレイに出て来たC3システムと「ヤマタノオロチ」が元ネタ。
乱戦で他の機体からの映像データを参照して射撃できる(遠距離でも近距離扱いで射撃できる)という便利なシステムですが、フルに使うには乱戦に殴り込む必要があるので割りと諸刃の剣w