異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第十八話 わたしにできること
「ARISTOCRACY [上流階級][名詞]
手触りのいい帽子をかぶり真っ白いシャツをきた連中――教育を受けるという罪を犯し、銀行口座を開いたという容疑をかけられている――のこと。」
――悪魔の辞典――
あれから数週間。
三つの町で興行をしたが、不気味なくらいに何もなかった。
今までが今までだけに正直逆に不安である。
アーベルさんたちが何かやったんですか?とそれとなく聞いてみたが、はぐらかされた。
何となくあの怪我人の人も噛んで何かやらかしたんじゃないかって気はする。
根拠はないけど。
「まあ、あの町でさんざん大騒ぎしたからねえ。あそこで厄はまとめて消費しちゃったんじゃないかい」
「そこまで単純な話ではないでしょうが、あれでアルテを狙う組織も混乱したり全滅したりはあり得る話なのですぞ」
例のライサムの町では城が吹っ飛んで、怪物が出て来て、町も結構な範囲が燃えた。
領主もその一族も吹っ飛んでしまったらしく、時代劇で言えば家老みたいな人が代理で指揮を執ったらしい。それでも落ち着くには一週間ほどかかり、俺達もその間町から出して貰えなかった。
領主の遠縁が新領主になると決まり、俺達もようやく町から出して貰えたのだが・・・正直疲れた! 混乱に紛れて刺客が襲って来やしないかってんで、みんな交代で寝ずの番してたんだぞ! 見事に寝不足になったわ!
「いまだになんか眠気が残ってる気がする」
「わかるー」
「だよね・・・」
頷きあう俺とアルテとカオルくん。
「ほんとうにお疲れさま・・・」
慰めてくれるリタは本当に癒しである。
そしてそこに割り込んで来る酔っぱらい。
「なんだいなんだい、若いもんがだらしないねえ。
あたしだって、お肌に悪影響があるのを我慢して寝ずの番してたんだからさあ」
座長はお肌のことを考えるなら、睡眠時間よりもまず飲酒量を減らすことを考えたらいかがでしょうか。
あ、カオルくんが珍しく意地悪な顔になった。
「そうは言いますけどシルヴィアさん? 睡眠時間というのは、歳を取るほど短くなるんですよ?」
つまり余り寝なくてもいい座長は(ry
ばーさんは用済み・・・
「おうふっ!?」
目の前に星が散った。
ジョッキで殴るこたぁないでしょうが!
大体何も言ってませんよ!
「そうゆう眼をしたっ!」
んな横暴な! 薩摩のぼっけもんかあんたは!
ちなみに浪漫ロボシリーズと美形悪役などで有名なロボットアニメの監督に永浜唯夫という人がいる。伝説的スポ根アニメ「ジャイアントのスター」などの監督でもあるが、この人が薩摩出身で、今の目で見ると死狂いというかぼっけもん適性が異常に高い。
・無意味に実弾で訓練する。当たって死んだら運が悪い。ああ、よかミサイルじゃ!
・8才の子供をサメのプールにナイフ一本で放り込む。チェスト鮫が原
・パイロットは戦う為のマシーン。趣味や心の安らぎなど女々かぞ
・命がけの訓練でも特に説明はしない。なんも味方側でん、やることなか!
・脱出装置はつけない。操縦者の気が緩むから。息子たちが乗ってるのに正気か剣太郎どん!
・特攻は当たり前。ノブレスオブリージュの観点からえらい人ほど特攻しがち、初期の司令官ポジ三人の死因が全員特攻。何なら一般人の二号機パイロットの母親もダイナマイトで自爆する。命捨てがまるは今ぞ
・貴族なら戦って死せい
・負けたら恥じて死せい
・敵に情けをかけられたら腹切って死せい
・泣いてめそめそ死ぬなら火の中飛び込んでさぱっと死せい
・積み重ねた恥に気付いたら事の元凶をブッ殺した後ですぱっと死せい
これが一作品の内容だってんだから凄い。
それはそれとして座長は横暴だと思うが。
「・・・どう思う?」
「ハヤトは顔に出るからなあ」
「まあ半々ってとこじゃね」
チクショウ味方がいねえ!
まあそんなこともあったが、俺達はアルテと共に無事王都ヴィエンヌへの道を辿っている。
ただ、王都に近づくにつれてアルテが物思いにふけるようになったのが気がかりだ。
例によって街道を移動しつつロボットアニメを流しているのだが、目は画面を見ていてもろくに反応がない。
『あっ! あの子が好きなバナナとシナモンのビスケット持ってくるの忘れた!』
やべえ! この作品主人公の母親関連のエピソードがあった!
まあ政府のお偉いさんにもかかわらず、息子のために軌道上から無動力グライダーで大気圏突入する行動力と愛情溢れるおかんで、俺も大好きなキャラなのだが、それはそれ、これはこれだ・・・ん?
「・・・」
良かった。
それでもぼうっと画面を見ているだけだ。
いや良くはないな。
「チラッ」
「チラッ」
隣のカオルくんと、膝の上のリタがこっちをチラチラと見る。
やっぱこれ俺がどうにかすべきだよなあ。
そして二日後、俺達は王都ヴィエンヌに到着した。
ええそうですよ! アルテをうまく慰める事なんてできませんでしたよ!
それはそれとして生きている限り仕事はある。
例によって座長はラファエルさんを連れて地元の顔役のところに挨拶、アーベルさんとイーサン氏は連れだって情報収集。イーサン氏はついでに実家にも報告に行くらしい。
残された俺らは設営作業である。
「うおおおおおお、分身殺法! バァァァニング! シャドウッ!」
「ハヤトが十人に増えたー!?」
分身殺法バーニングシャドウ。
トンデモロボアニメ「機甲武侠伝Gガンボイ」で主人公メカのバーニングガンボイが見せた技だ。
敵の必殺パンチは一秒に十発を放ってくる! ならば俺は十体に分身してそれを受け止めればいい!
いやそうはならんやろ。
フツー避けるとかバリアで防ぐとかするやろ! なあ!?
まあGガンボイにそんなことを言ってもしょうがないのだが。
長井轟作品と言い、ゆ○理論と言い、視聴者が「文句つけてもしょうがない」境地に至ったら大体勝ちである。
アニメや特撮で幻影や残像で分身する技は数あれど物理的に分身を作る、それもめっちゃ気軽にとなると、俺はこれとアメコミのマルチボーイ(及びその派生ネタ)くらいしか知らん。
なので、ちょっと考えあってご来迎願ったわけである。二つのロボの能力を組み合わせることが出来るようになって、もう可能性無限大だよこれ!
「ジェッタードリル! ジェッターアーム! ジェッター柱立て! ジェッターテントペグ打ち込み! ジェッター幕張り!」
「うわすごい」
オブライアンさんが思わず漏らしたくらい、三面六臂の凄い勢いで設営作業を進める俺。
三面六臂と言えば阿修羅ラスベガスとか親父が超合金持ってたな! 六本腕モードでケースに入れて飾ってるんだ! 今俺は十体分身だから三十面六十臂! どうでもいいな!
荒れ狂う嵐のような高速作業。
普段一座総出でも三時間かかる設営作業が終わったのは二十分後、まだ昼飯前の時刻であった。
「よし! 師匠、体力回復お願いします!」
「お、おう」
「それからこれから出かけてきますのでよろしく! アルテと一緒に!」
「えっ!?」
アルテの困惑した声。これから君を連れて行くけどいいよね、答えは聞いてない!
一方師匠は一瞬目を丸くした後破顔し、体力を回復してくれた後しっかりやれよと尻を叩かれて、ついでに小遣いまで貰った。
よし、師匠公認!
「と言うわけで、行こう、アルテ」
「え、いや、待って、ちょっと待ってよ!」
待たない。
アルテの手首を掴み、強引に引っ張る。こう言うのは勢いだ。シラフでこんな真似が出来るか! 言ってて切ないが!
《加護》を使わない限り、力で俺がアルテに勝てるわけがないのだが、それでも手を引っ張られたままアルテは俺についてくる。
勝った! 第三部完!
「ほーお。それで次回からは誰がアルテの代わりにハヤトくんとデートするのかな?」
「まさか二回続けてアルテちゃんの訳はないよね!」
そこのカオルくんとリタ、メタ発言はやめなさい。
君らは前回と前々回とでさんざんヒロインやったんだから。(メメタァ
>ばーさんは用済み
エヴァの有名なあれ。
>そうゆう眼をしたっ!
ネットで有名になった平田弘史の薩摩義士伝より。義士・・・?
>永浜監督
巨人の星やど根性ガエル、ボルテスVなどで有名な長浜忠夫監督が元ネタ。
例示は全て「超電磁マシーンボルテスV」から。
フィリピン発の「ボルテスレガシー」でも無意味な実弾訓練やパイロット私物強制整理を再現してたのは思わず吹いた。
>『あっ! あの子が好きなバナナとシナモンのビスケット持ってくるの忘れた!』
「Gのレコンギスタ」の主人公の母のセリフ。
血は繋がっていないのだが、富野作品で一番いい母親まである人。
むしろ血が繋がってないからいい母親なのか。
>バーニングシャドウ
Gガンダムのゴッドシャドー。
本編で説明してるとおりの頭おかしいブロッキング技(回避技ではない)。
本家の方も分身して作業に使えるかどうかは知らない。
>阿修羅ラスベガス
光速電神アルベガスの超合金が元ネタ。
三体のロボの圧縮された上半身がダルマ落としのように合体し、使わない腕は後ろに畳んでおくシステムなため、腕を畳まないと六本腕のアシュラアルベガスが爆誕するのである。
むしろノーマルよりこっちの方がカッコよくね?
>マルチボーイ
モデル:マルチプルマン。
能力は無限分裂。だいたいヒロアカのトゥワイス。