異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 それ故に、ハヤトの語る次の物語を伝えよう

「・・・」

 

 談話室に沈黙が降りている。

 アルテとコルドラさんは隣の部屋。

 二人きりにさせて上げようと言う事で俺達はこっちで待機だ。

 

 俺、カオルくん、座長。

 イーサン氏、ウルリヒさん、ヘルンさん。

 ド平民としちゃ、お貴族様相手に何話せばいいのかわからんし、向こうも似たようなもんだろうしで、しばらく茶をすすって菓子を食う音以外沈黙が続いている。

 イーサン氏なら双方取り持つ事はできるだろうが、どうもその気はないらしい。

 なのでこのまましばらく痛い沈黙が続く・・・かと思ったのだが、意外にもウルリヒさんが話しかけてきた。

 

「レディ・シルヴィア」

「へっ? いやですよ、公爵様。あたしゃレディなんてガラじゃない。どんな意味でもね」

 

 からからと笑う座長。

 歌姫やってるときは普通に貴婦人で通じる気品の持ち主なんだけど、まあそれ以外がちょっとアレ過ぎる。

 後座長は俺やカオルくんと違ってナイト位は貰ってないからな。貰っても良さそうなもんではあるが。お城にクリアアイテム持って帰ったら称号貰えるのはデフォじゃん?

 閑話休題(それはさておき)

 

「それでも緑等級冒険者は慣例的に騎士爵扱いになるのでな。

 礼儀は大事だ、レディ・シルヴィア」

「はあ。それで、なんです?」

「私の孫娘の面倒を見ていてくれたのだな。感謝する」

 

 軽く頭を下げる公爵。座長がおや、という顔になった。

 多分俺とカオルくんも同じ顔してる。

 そう言えば普通金だけ出して放置する妾腹のイーサン氏をわざわざ家で育てたって言ってたっけ。

 アルテも一応ちゃんとしたところに預けてたし、それなりに情はある人なんだな。

 

「そんな事言うくらいなら最初から手元で育てれば・・・とは思いますけどね」

「君らの感覚で言えばそうなのだろうな。だがあの時コルドラがアルテを産んで育てていれば、二人とも一生日陰者として生きるしかなかっただろう。

 貴族社会というのはそうしたものだ。コルドラにとっても、アルテにとっても、あの時点で死産だったことにするのがもっとも傷の少ない方法だったのだ」

 

 うーん。

 言い訳に聞こえなくもないが、貴族には貴族の論理があるってのはわからんではない。

 この人なりの愛情ではあったってことなんだろうか。

 

「まあ・・・面倒見るのは座長の仕事ですしね。アルテはいい子だったし」

「そうか」

 

 そこで会話がまた途切れる。

 お貴族様、それも公爵様と田舎一座の座長の会話が弾むわけはないか。

 そこでまた痛い沈黙が、と思ったら、今度はヘルンさんが話しかけてきた。

 それも俺とカオルくんに。

 

「そう言えば君たちは、悪逆非道の黄金の女帝ハルギアを打ち破り、名高いイレマーレの三百年ダンジョンを踏破したのだったな? どうだろう、なんだったら一つ、話を聞かせてくれないかね」

 

 え、俺達!? イーサン氏もちょっと驚いてる。

 しかし確かにあれこれやってはいたが、俺達は語り部(ラファエルさん)でも軽妙なトークが持ち味の道化師(アーベルさん)でもないわけで・・・

 あーいやでも、悪逆非道の悪霊ラスボス性悪クソアマ雌豚女帝ハルギアのことなら、確かに一日でも二日でも語り続けていられるな!

 

「それについては同感」

 

 滅多に見ない冷たい顔でカオルくんが頷く。

 まああれはなあ。怒って当然だよなあ。

 

「・・・何があったんだ?」

「アタシの口からはちょっとね」

「それでどうなんだね? 話してはくれないか。それとも男爵風情には話したくはないかね?」

 

 ・・・ちょっとカチンと来た。とは言え断ったら「なるほど話す価値すらないのか」とか言ってくるに決まってる。こいつはそう言う奴だ(確信)。

 イーサン氏の方をちらりと見るが、肩をすくめられた。

 お好きにどうぞ、ってことなんだろう。

 

「それじゃまあ、つたない語りではありますが・・・(怒)」

 

 そう言うわけでしばらく、俺とカオルくんはイレマーレのダンジョンでの武勇伝を披露する羽目になったのだった。

 もちろん伏せるべきところは伏せたよ! 本当だよ!

 さもないとカオルくんに斬り殺されるからね!

 

 

 

「・・・と言うわけで、悪逆非道、残忍冷血の悪しき生き霊と化したハルギアを倒し、俺達はそのタリスマンを手に入れました。

 その後、裏ダンジョンを攻略して青玉の騎士の甲冑を手に入れ、宝珠と真実の短剣の力でハルギアの召喚した混沌の竜を倒し、更にはハルギアの呪いを打ち破ってネフェル殿下をもお助けしたわけですね」

 

 ほう、と部屋に溜息が満ちた。

 決してうまい語りではなかったと思うが、意外なことにヘルンさんも公爵様も、そして部屋の隅に控えていたメイドや執事さんたち数人まで夢中で俺達の話に聞き入っていた。

 まあそう言うものかな。ただでさえ娯楽の少ないこの世界だし、語りがつたない事を差し引いても生の冒険譚なんて極上のエンターテイメントなんだろう。

 

「・・・めでたしめでたしというわけだ。まあ、暇つぶしには役だったな。

 普段呼んでいるような吟遊詩人たちには遠く及ばない語りだったが、実際に経験した人間の話には聞くべきものがある」

 

 だから何で一々そんなにえらそうなんだおまえ(ヘルン)

 

「お、何かね少年? この私に言いたいことでも? 騎士爵を授かったとは言え元平民の冒険者風情が」

 

 いかん、顔にしっかり出てたらしい。

 開き直って睨みつけると、あちらもにらみ返してきた。

 

「・・・」

「・・・」

 

 高まる緊張。

 不快そうなのは座長も同じだし、普段なら止めるがわのカオルくんも、今は俺と一緒にヘルンを睨んでいる。

 そのヘルンの手がぴくりと動いて。

 

「控えよ、ヘルン」

「まあそのへんにしとけ、ハヤト」

 

 公爵とイーサン氏の言葉がとげとげしい雰囲気に割って入った。

 深呼吸する俺。舌打ちするヘルン。

 

「・・・はい」

「ふん。まあ父上のおっしゃる事ならね。兄上も下々の血の入った身ですし、そいつらの気持ちも良くわかるのでしょうよ」

「まあ、そう言う事だな」

 

 弟のイヤミを軽く流す兄。

 あれだな、役者が違うわ。

 そんなところで扉が開き、コルドラさんとアルテが入って来た。

 

「コルドラ、アルテ、もういいのか」

「ええ」

「うんまあ・・・ね」

 

 にっこり微笑むコルドラさんとちょっと照れた感じのアルテ。

 二人きりの話し合いはまあまあ良い感じで進んでたみたいだ。

 

「それで親父殿、ものは相談なんだがしばらくアルテをここに置いちゃくれないか?

 さっきの強盗の話もそうだが、ここに来るまでに何回も襲われてな。

 ハスキー女史やコルドラのところよりはこちらの方が安全だろう」

 

 イーサン氏の言葉に公爵が頷く。

 

「無論わしもそのつもりでおった。お披露目の舞踏会も開かねばならんしな」

 

 え、今なんて?

 

「お披露目だよ、ハヤト卿。我が血に連なる者として、アルテを社交界にお披露目せねばならぬ」

「え・・・」

「ええええええええ!?」

 

 アルテの絶叫が談話室に響き渡った。

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