異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十三話 貴婦人修行

「はい、1、2、3、1、2、3。頭の上の本を落とさないように。1、2、3、1、2、3・・・」

「うううっ、ハヤト、カオル、たすけてぇ・・・」

 

 半泣きしながらダンスの特訓を受けるアルテ。

 俺達も護衛と言う事で同じ部屋で待機してるのだが、すまん、こればかりはどうにもならん。

 戦闘技術が雑と言われた事があるが、この娘筋力は超絶高いんだが体のコントロールがそれほどうまくない。

 ゲーム風に言うなら筋力と生命力は高いが、器用度や敏捷度は低い感じ。この世界、どっちかと言えば筋力で命中判定行えるシステムっぽいので、筋力馬鹿のアルテでも前衛としては活躍できる。

 命中判定にデクスタリティ使うJRPGみたいなワールドでなくてよかったね!(ゲーム脳)

 

 なおバランス型というか両方高いのがカオルくんである。技量も伴ってるので本当に強い。

 俺? どっちも低いよ! まあ一般人よりは多分強いんだと思うがまわりが化け物ばかりなので実感がない。この一座で俺より身体能力低い人って、多分オブライアンさんとリタだけだろうし。

 師匠? 多分勝てるとは思うが、あの人なんか隠し球いくらでも持ってそうな気がして・・・「ワシはまだ変身を二回残しておるぞ」とか「課題をすべてクリアして、はじめて改良という!」とか言いそうじゃない?

 まあそれはさておきアルテがステップを踏むたびに駄肉がたぷたぷ揺れて、その手の趣味のある人間には眼福・・・ぐふっ!?

 

(あ・と・で・こ・ろ・す)

 

 厳しいダンスレッスンを受けながら、口元で言葉を作るアルテ。

 脇腹に刺さったカオルくんの肘鉄に悶え苦しみながら、俺はこの世の無情をしみじみと感じていた。

 

 

 

「と言うかさ。別に公爵様の言う通りにお披露目出なくても良くない?

 あの人アルテを後継者に仕立て上げようとしてると思うんだけど」

 

 ダンスのレッスンが終わって休憩時間。

 テーブルにへたり込んで、たれアルテと化した彼女の頭を、リタがいないので俺が撫でてやっている。

 カオルくんもうらやましそうな顔してるけど、撫でて上げてもいいのよ?

 

「ぼ、ボクはいいから! それはともかく、実際そうだろうね。

 このままだと逃げられなくなる可能性があるよ?」

「それは・・・そうだけど。

 家に置いて貰って御飯食べさせて貰ってるのに、そう言うの嫌だ、じゃ筋が通らないし・・・」

 

 顔を見合わせる俺とカオルくん。

 まあそうだな、この世界だとそう言う倫理観が普通になるよな。

 ちなみに座長は野営地に戻ってしまった。いてくれれば心強いが、一座をずっと放って置くわけにもいかない。

 その代わりイーサン氏とコルドラさんもここに泊まってくれてるのでいざというときには頼りにさせて貰いたいものだけど、どうかな。

 

「ダンスもそうだけど食事のマナーとか言葉遣いとか、頭が海綿体(スポンジ)・・・何でハヤトもカオルもその辺さらっとこなせるのよ・・・ずるい」

 

 そう言われましても・・・

 日本人ならちゃんとしたマナーを勉強してなくてもフォークとナイフの使い方くらいは普通に知ってるし、並んでる奴は外側から使うとかもどこかで聞いたことはあるだろう。

 お貴族様のテーブルマナーと聞いて俺達も戦々恐々してたが、幸いなことに地球のそれよりはむしろゆるい程度で、俺達にとってはさほど苦労するものでもなかったのだ。

 敬語や丁寧語だって、武道やってたカオルくんとか読書が趣味の俺とかにしてみれば、別に困難でも何でもない。

 

「ずーるーいー!」

 

 だだっ子のように足をばたばたさせるアルテ。

 俺達は再び顔を見合わせて苦笑した。

 

 

 

「つ、ついに来てしまった・・・」

 

 アルテがガッチガチに固まっている。

 お披露目の舞踏会に臨むにあたり、突貫で用意されたドレスや装飾品に包まれた姿はもうメチャクチャに素敵(貧弱な語彙)。

 惚れ直してしまうやろー!なのだが、ピカソのゲルニカ、はたまた右半分男、左半分女のアルシュヴァラ男爵かってくらい表情が解離性同一性障害してるので、せっかくの衣裳も台無しになってしまっている。

 ・・・・・・・・・・・・。

 

「ほい」

「むきゅっ!?」

 

 軽く白粉をはたいたほっぺたを両手で挟んでやると、変な声を出した。

 おなかをつつくと鳴き声を上げるぬいぐるみみたいだな。

 むにむにとほっぺたを揉むと、驚きの表情が消えてこちらを睨んでくる。

 

「今何か私のこと馬鹿にしたでしょう」

「いやまあ、可愛いぬいぐるみみたいだなあって思っただけだよ。ほんとほんと」

 

 まあ嘘ではない。きゅーきゅーぴーぴー言うコミカルなやつだけど。

 しばらく俺を睨んだ後、アルテは溜息をついた。

 

「ハヤトってホントワンパターンで芸がないわよね。まあそれで気分が落ち着く私もチョロいけど」

 

 自分、不器用ですから・・・ちなみにこれ映画の名セリフとかではなく、テレビCMのセリフなんだそうだ。所詮映画はテレビには勝てぬか・・・まあそのテレビもインターネットには勝てぬか・・・になりつつあったが。

 閑話休題(それはさておき)

 

 俺の手をそっと払った後、自分の両手でぱしん!と頬を叩いて気合いを入れる。

 

「よし、気合い入った。

 考えてみれば舞台に立つのと同じよ。あれこれ考えるよりやってみりゃいいのよ」

 

 うむ、それでこそアルテだ。がんばれ。

 

「がんばる。・・・あー、その。何かごめんね?」

 

 何かに気付いたのか、カオルくんの方を見て、申し訳なさそうな顔で苦笑するアルテ。

 そのカオルくんは複雑な顔で俺達を・・・というか、俺を睨んでる。

 

「・・・カオルくん何か怒ってない?」

「別に。何も言ってないでしょ」

 

 ぷい、と横を向くカオルくん。

 とりつく島もない・・・

 

 

 

「ツッペリン伯爵家のフェルディナンドと申します。どうぞ一曲踊って頂けませんか?」

「ホエンツレルン侯爵家のヴィルヘルムです。是非私と」

「え、あ、はい・・・」

 

 主賓であるアルテのところに群がる着飾った貴公子ども。

 あいつら全部殴り倒せたら気分良いだろうなー。

 

「どうどうどう。今のボク達は公爵の雇った護衛でしかないんだからね」

 

 苦笑しつつ俺をたしなめるカオルくん。

 へーへー、わかってますよ。今の俺達は壁の花、家具や壁紙と同じ扱いですよって。

 

「あ、踊るよ」

「むっ」

「はいはい落ち着いて」

 

 音楽が流れ始め、ダンスが始まる。

 程なくして大広間に悲鳴が響いた。

 

「・・・よしっ!」

「あらら」

 

 ぐっ、と拳を握る俺。

 カオルくんが苦笑する。

 

 別に俺が何かしたわけではない。呪いはしたけど。

 単純に、ダンスの下手なアルテが相手の足を踏んづけたのだ。

 それもガチガチになってるせいで、思いっきり力一杯。

 

 《怪力の加護》があるアルテにこれをやられたら、鍛えてない貴族の若様なんてひとたまりもない。全員びっこを引いて退出していった。ざまあみろ。

 中にはアルテの無意識のストンピングをかわしきった奴もいたが、それでもロシアンルーレットみたいな状況には耐えきれなかったらしい。汗びっしょりになりながら、適当なことを言って離れていった。

 怖かろう! 悔しかろう! たとえ心に鎧をまとおうが、つま先は守れないのだ!

 

「ハヤトくん、それ悪役のセリフ」

 

 知らんな。

 む?

 

「おや?」

 

 白い晴れ着の若い貴族と、同じく黒い晴れ着の若い貴族がアルテに近づいて行く。

 あれだけ犠牲者を出して、今や微妙に遠巻きにされている奴に近づくとは、クソ度胸だけは一人前と認めてやろう。

 

「だからそれ悪役のセリフ・・・おや?」

 

 お? 良く見たら二人とも金髪で顔がそっくりだな。双子か?

 

「初めまして、レディ・アルテ。僕はケイ・フォン・ハンスタイン」

「僕は双子の弟のフランツ・フォン・ハンスタイン。大伯父様から聞いてないかな?」

「大伯父様? ひょっとして公爵様のこと?」

「ああ。あらためて初めましてアルテ。僕たち、君のまたいとこにあたるんだ」

 

 なんですとーっ!?




ちなみに地球の欧米だといとこ同士は近親婚扱いなのですが、この世界では特にそういう事はありません。念のため。

>課題をすべてクリアして、はじめて改良という!
ダイ大より。
「こんな事もあろうかと!」とならんで技術者が言ってみたいセリフのツートップ。(作者調べ)
だが大抵は現実の前に屈する。今少し時間と予算を頂ければ・・・!
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