異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十八話 長寿と繁栄を

 神と交信できる杖。

 その話を聞いた後、俺達は改めてイーサン氏の部屋に集まっていた。

 あの時はイーサン氏も毒煙で朦朧としていたため、ヘルンの事を改めて伝える必要があったからだ。

 

「ヘルンがなあ・・・」

「・・・その、関係あると思います?」

 

 直接の証拠は全くない。しかし公爵家のパーティが襲撃されて、その直前に帰宅してるとか怪しすぎる。

 動機はあるし、父親とは仲が悪いし、どこで聞いたのかと思うような情報を暴露してきたし、もう倍率ドン、更に倍! 元ネタ知らないだろう! 俺も知らん! 何か昔のクイズ番組なんだそうだが!

 閑話休題(それはさておき)

 

「・・・」

 

 イーサン氏も難しい顔。

 やはり弟ってことなんだろうか、信じたいけど信じ切れない、そんな表情に見える。

 オヤジさんと同じで何だかんだ情は厚い人なんだろうなあ。

 そんな何かを振り払うようにイーサン氏が首を振る。

 

「こうなったらしょうがねえ。ヘルンを見張る必要があるだろうな。

 アーベル、ペトロワ師。力を貸してくれるか」

「おう」

「そうせざるをえまいの」

 

 二人が頷く。シルヴィアさんが溜息をついた。

 

「まあしょうがないね。元々アーベルにはあれこれ探って貰ってたから、興行の方は今まで通りだ。

 そういやあ、そっちでは何か収穫はあったのかい?」

「めぼしいものは何も。

 公爵家の隠し子が強盗した、って噂が流れてたけどすぐ消えたな。強盗の当日に流れてたのはちっと臭いが」

 

 あの状況で強盗の噂が流れるのはともかく、それが公爵家の隠し子だなんて誰が知ってるんだよって話だよな。

 

「例の衛兵の隊長にまた会いに行ったんだが、アルテのアリバイは取れてたそうだぜ。

 ただ噂の事を話したら、口外はしてませんって真っ青な顔で首を振ってた」

 

 と、これはイーサン氏。

 まあ一介の衛兵隊長が公爵家に楯突いたら・・・と思うと滅多な事は言えんわな。

 となるとその「王に叛くもの(アンティゴネー)」とか言う?

 

「それ以外に思い当たる節はないが・・・」

「そもそもヘルンとどういう関係なのかってこともあるな」

「それなんだが、ここんとこアンティゴネーは闇のトラブルシューターとしても名を馳せてるらしい。殺人に窃盗、脅迫誘拐、依頼と礼金次第で何でもござれだ」

 

 ・・・本当にクソみたいな組織だな。

 まあ地球でも気高き革命の志を胸に、気がついたら麻薬密売組織になってたって例は腐るほどあるんだが。

 この寄生虫めが! うわあああああーっ!

 むしろ「聖マリアの名の下に全ての不義に鉄槌を」か。

 そう言うとアーベルさんとイーサン氏が同時に溜息をついた。

 

「そうか・・・」

「ニホンにもそう言うろくでもないのはいるんだな・・・」

 

 日本ではなく地球な!

 まあ日本にも昔はそう言う犯罪革命組織っていたらしいけど!

 今でも生き残りはいるらしいけど!

 

「まあそれはともかくあと一つ問題が」

「なんだ?」

「変身みたいな能力を持ってると、いつの間にか俺たちの中に変身して紛れ込まれたらまずくありません?」

「っ」

 

 みんなが一斉に絶句した。

 ・・・師匠とアーベルさんだけは動じてないな。

 さすがと言おうか歳の功と言おうか。

 

「だから歳の功とか言うでない」

 

 こんこん、と杖で頭をこづかれる。

 自分でも時々言ってるじゃないですか。

 

「自分で言うのは良くても他人に言われるとむかつくもんじゃ」

 

 そういうもんか・・・いや、確かにそうだな。

 

「女の場合は特にな。それで、どうするんだ? 符丁とか決めておくべきか」

「ああ、それならこう言うのはどうでしょう」

「ふむ?」

 

 取りあえず『嘘つきの卵』でその場に裏切者や入れ替わられた人間がいないことを確認してからみんなに説明。

 

「こんな感じか」

「そうそう、手の平を相手に向けて、親指を広げて、人差し指と中指、薬指と小指を合わせて、中指と薬指の間を大きく開ける。それで『長寿と繁栄を』と。ついでに手の平に何かマークを書き込んでおけばさらにOK」

「・・・何か元ネタがありそうだね」

「オフクロがTレッキーなもので」

「トレ・・・何?」

「いえ何でもありません」

 

 そう、わかる人(SFおたく)は一発でわかる、1960年代に一世を風靡し、その後も山ほどリメイクや続編が作られたSF宇宙ドラマの金字塔のあれである。

 向こうでSFと言えばこれか☆戦争かってやつ。

 ついでに手の平のマークは80年代のOVA、「破邪大聖ダンザイオー」からの連想である。ヒロインの一人が超能力を使うと手に紋章が現れるし、主役ロボが必殺技の前に相手の動きを止める時も手の平に紋章が生まれるのだ。

 さすがにこれならこっちの世界でわかる奴はおるまい! たぶん!

 

「まあ役に立てば何でもいいがの」

 

 師匠が溜息をついた。

 

 

 

 その後いっぺんアルテとイーサン氏を連れて野営地に戻った。

 オブライアンさんと話して、寂しそうな顔のリタを俺とアルテとカオルくんの三人で目一杯愛でて、貰ってきたパーティの御馳走でちょっとしたパーティを開いてから俺達三人は公爵家に戻った。

 ガイガーさん辺りにもついてきて欲しいところだが、これ以上増やしたら公爵もあんまいい顔しないだろうし、この辺りが限界だろう。

 俺達二人ですら、コルドラさんの口添えがなかったら許可されなかったかも知れないとのことだし。

 

「まあ、今ならもう少し押せば行けるかも? 公爵家の護衛すり抜けて襲撃されたわけだし」

「あー、そだね」

「後でイーサン氏かアルテのお母さんと話してみるのもいいかも」

 

 主催のパーティであんな狼藉を働かれて、普通の貴族だと大打撃、公爵家であってもかなりのダメージになるらしいから、今ならもう少し素直に俺達の手助けを受け入れてくれるかもしれない。

 「逆に意固地になるやつもいるがな・・・」とイーサン氏は言ってたが。

 

 ちなみにそのイーサン氏はアーベルさんと共にどこかに行ってしまった。

 それで情報をしっかり抜いてくるのだから、毎度の話だが頼りになりすぐる。

 帰ってきたら相談して、出来ればガイガーさんくらいはねじ込ませて貰おう。

 

(と、言う事なんですがどうでしょう?)

(試してみる価値はあるじゃろうな。イーサンたちがこっちに戻ってきたら話しておく)

 

 ペトロワ師匠に伝達すると、俺は念話を切る。

 師匠のかけてくれた集団念話の術だ。

 師匠と俺たち三人の間なら、念じるだけで念話を使える。

 

 ただ、師匠と言えどもヘルンの監視に加えてこれを維持しながらではろくに動けないため、諸刃の剣でもある。

 興行の時のちょっとした魔法的エフェクト程度でもキツイらしい。

 

「取りあえず俺達は待ちかな?」

「そうだね。アーベルさんたちの情報待ちかな。もしくは向こうが動くのに対処するか」

「じゃあ少しのんびり出来るわね」

 

 心底ほっとしてるアルテだが、しかし世界は残酷である。

 

「アルテは習い事再開じゃないかなあ・・・」

「公爵さんとしては早く貴族としてのあれこれを身につけて欲しいだろうからねえ・・・」

「うわーん! やだー! 戻りたくないー!」

 

 突然叫びだして周囲からの注目を集めるアルテ。

 幼児化する彼女を何とかなだめつつ、俺達は公爵邸に戻った。




>この寄生虫めが!
>うわあああああーっ!
「太陽の牙ダグラム」のラコックとデスタンの会話より。
基本暗くてうだうだしてる同作中で数少ない爽やかシーン(嘘は言ってない)

デスタンも大金せしめて田舎で幸せに暮らしてりゃ良かったのになあw
理想に燃える革命の志士が折れてクズになってく生々しさが、キャラとして本当に良くできてると思うw

>聖マリアの名の下に
BLACKLAGOONのロベルタさん。
私的最萌えメイド。

>破邪大聖ダンザイオー
破邪大星ダンガイオー。
主題歌が水木・堀江だったり、合体ロボなのに操縦してるのは神谷明一人だけだったり、まあ色々と狙ったアニメ。

>長寿と繁栄を
バルカン・サリュート。
「スタートレック」のMr.スポックがやるあれ。
バルカン星人のご挨拶。
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