異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十九話 フィーバー!

「・・・ヘルンもな、昔は大人しくて素直な子だったのだ。

 けして賢くも出来が良くもなかったが、それでも他人に嫉妬したりするような子ではなかった・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 夕食。

 ウルリヒさんにイーサン氏、コルドラさんと夫のアルベルトさん、アルテ、特例で俺達もご一緒してたのだが、何か妙なことになってる。

 

「それがお披露目のパーティに出たときに目覚めてしまったのか、それとも悪友たちの影響か、その頃から衣裳にやたら凝るようになって・・・」

 

 食事中からワインをよく飲んでいるなと思ったが、食事が終わるころにはもう手がつけられなくなっていた。

 

「晴れ着を次々仕立てては、一度しか着ずに捨ててしまう。

 せめて着回せと言ったらそれが貴族のたしなみですよと言いおった。

 最後には金貨一万枚の晴れ着一式なんぞ作りおって・・・もっと早く叱っていたら・・・」

 

 どうしよう、逃げたい。

 

 

 

「・・・」

 

 こっくり、こっくりとウルリヒさんが船をこぎ始める。

 イーサン氏が執事さんに目配せをして、ウルリヒさんは寝室に連れて行かれた。

 

「・・・助かった・・・」

 

 一斉に溜息が漏れる。

 あの後三十分くらい、老いた父親の後悔と苦悩に満ちた愚痴を聞かされて、退席することもならぬ苦行の時間だった。

 いかにも優しげなコルドラさん夫妻やイーサン氏にしても、父親の愚痴を聞かされるのは辛かったらしい。

 いや家族の事だから余計に辛いのか。

 

 ひょっとしてウルリヒさんも、ヘルンさんが黒幕である可能性には気付いていたんだろうか。

 だからあんなに・・・いや邪推だからやめとこう。これ以上考えて顔に出てもまずいしな。

 

「そう言えば金貨一万枚の晴れ着ってどんなのだったんです? 正直想像もつかないんですが」

 

 カオルくんナイス! 雰囲気を変えるいい一手!

 

「あー」

「あれは・・・」

「ねえ・・・」

 

 イーサン氏とコルドラさん、アルベルトさんの三人が一斉に苦笑した。

 アルベルトさんも知っとるんかい。

 

「確かに豪華ではあったのよね」

「白地に金糸銀糸でびっしりと刺繍がしてあって」

「宝石も沢山あしらわれてたよな」

 

 服飾はよくわからんが、ドハデなのはわかった。

 オフクロなら「Eルビス・PレスリーかMイケル・Jャクソン?」と言うかも知れない。

 牢獄ロック! スリルー! 今夜はブート・イット!

 まあ最後のはパロディの方が脳裏に焼きついてるけどな!

 こんなくだらねーこと知っているのはじじい以外にいないぜ!

 閑話休題(それはさておき)

 

「ドレスシャツも凄かったねえ」

「胸元のレースが特徴的で」

「ありゃあ確かに匠の技だった・・・」

 

 オシャレに余り気を遣わない感じのイーサン氏ですら、しみじみと感嘆しているんだから余程凄かったんだろう。

 

「まあな。それと普段はともかく、女性をエスコートするときは俺だって多少は気を遣ったからな?

 その辺おまえさんと一緒にしてほしくはねえなあ」

 

 ぐふっ!

 イーサン氏のマウンティング! こうかはばつぐんだ!

 正論だから反論できない!

 しかも横からアルテとカオルくんの冷たい視線が刺さって追加ダメージ!

 さっきまでが雰囲気釣り天井なら、今は針のむしろ! やめて! 俺のLPはもうゼロよ!

 

「まあまあ」

「まあまあまあ」

 

 結局、ガマの油のガマガエルみたいに汗をダラダラと流していた俺をコルドラさんとアルベルトさんが救ってくれた。

 やっぱいい人たちや!

 それに引き替えイーサンの勝ち誇った顔がむかつく。大人げないぞ!

 

「それで」

 

 コルドラさんが表情を真剣な物に戻す。

 

「兄さん。ヘルンが一連の騒ぎの黒幕なの?」

「!」

 

 イーサン氏がさすがに顔をこわばらせる。夫のアルベルトさんは辛そうな顔。

 さすがにコルドラさんも疑ってたか。

 

「わからん。見張ってはいるが、確たる証拠はない」

「・・・もし、あの子が黒幕なら・・・私は」

「よせ。アルテだって聞いてるんだぞ」

 

 イーサン氏の強い制止。

 コルドラさんは俯いてしまった。アルテも複雑な顔だ。

 

「とにかく、まだ奴が犯人だと決まったわけじゃない。

 心配するなと言っても無理だろうが、この件は俺達に任せておけ。な?」

「・・・」

 

 俯いたコルドラさんの目に涙が盛上がる。

 

「だって・・・私の子なのよ・・・私の娘なのよ・・・」

「おかあさん・・・」

 

 泣き崩れるコルドラさん。

 アルベルトさんと、立ち上がったアルテがその背中を抱いていた。

 

 

 

「やっ、どうも」

「お疲れさまです、アーベル様」

 

 老門番スタンビーさんに片手を上げてアーベルさんが敷地に入ってくるのが窓から見えた。

 ここ数日、報告やら相談やらで頻繁に出入りしているため、すっかり顔パスである。

 

「ぷしゅー」

 

 そして相変わらず頭がスポンジのアルテ。

 さっきまで淑女の会話とやらの基礎知識を詰め込まれていた結果がこれだ。

 詩とか刺繍とか花とか衣裳とか。

 俺からすると無駄な知識にしか思えないが、共通言語って奴なんだろう。

 オタクで言えばガンボイとか日朝特撮とかアイドルマックスターとかそういうやつ。

 

 つまり貴婦人同士の会話はオタク・コミュニケーションだった?

 当たらずとも遠からずな気がするな・・・。

 閑話休題(それはさておき)

 

「長寿と繁栄を」

「長寿と繁栄を」

 

 イーサン氏とアーベルさんが入って来て、例の符丁をかわしてから席に着く。ちなみにアルテはたれたまま。

 アーベルさんは毎日来るが、休憩時間ならこうして直接話すようにしてくれてる。

 

「おう、お疲れ」

「たーすーけーてー」

「それはどうにもならんな。まあ外で狙われるよりはマシだ」

 

 スライム化したアルテに苦笑するお二方。

 まあ毎回のことだ。

 

「それで、今日は何か・・・なさそうですね?」

「大当たり。ハヤトに見抜かれるようじゃ俺もおしまいだな」

 

 肩をすくめるアーベルさん。うるせえよ。

 

「まあハヤトでなくてもわかるだろ・・・うちの愚弟には全く動きはないんだな」

「ああ。ばあさんの術から逃れるのは難しいだろうが、もう既に依頼は終わってるからやっこさんが動く必要は無いってのもありうる」

「うーん」

 

 結局アーベルさんはお茶とお茶菓子を片付けて、ちょっとだべっただけで帰って行った。

 歯がゆいなあ。とはいえこっち方面で俺が何か出来るわけでもない。

 

「こう言う時はしょうがねえ。待つのも重要だぜ」

 

 うーっす。

 ・・・おや?

 

「どうした」

「いや、門の所にまたアーベルさんが・・・」

 

 ほどなくアーベルさんが部屋に戻ってきた。

 どうしたんです?

 

「いや、頼んでおいた情報が今入ってな。野営地に戻る前にこっちにな」

 

 ほほう。

 思わず身を乗り出した俺。イーサン氏がそれを制するようにアーベルさんの肩をこづく。

 

「その前に。忘れてるぜ」

「っと、長寿と繁栄を」

「長寿と繁栄を」

 

 バ○カン・Sリュートを交わす俺達四人。

 そう、四人である。アルテが抜けているわけではない。

 

「しゃっ!」

 

 カオルくんの、抜く手も見せぬ居合斬り。

 僅かに遅れてイーサン氏の斬撃。

 それらがほぼ同時にアーベルさんに襲いかかった。




>プレスリーとマイケル
ちょっと前までやってたブンブンジャーのラスボスがまんまマイケルで盛大に笑いましたねえ。
「ポーゥ!」は危ないw
ちなみに作者は監獄ロックとスリラーがそれぞれ一番好きです(どうでもいい

>パロディの方
「『今夜はビート・イット』のパロディ 『今夜もイート・イット』を歌ったのは?」
「アル・ヤンコビック」
このやりとりだけでアル・ヤンコビックを知っているって日本人はそれなりにいると思うw
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