異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十話 君の手で

「のぁっ!?」

 

 驚愕の声を漏らしながら、「アーベルさん」がカオルくんの居合切りとイーサン氏の斬撃を避ける。

 だがそこまでだ。

 

「ハンドネット!」

 

 俺の両手首から広がる投網が「アーベルさん」に覆い被さり、動きを封じる。

 完全に網の中に包まれた彼をパワーロボならではの怪力で振り回し、壁や床に何度も叩き付けると、「アーベルさん」は動かなくなった。

 ジェッターロボの後継機であるジェッターロボG。その第三形態ジェッターワダツミの特殊装備、ハンドネットである。これで振り回して無力化した敵にミサイルをぶち込むのが勝利パターン。

 

 まあ基本脇役だし水中用だから余り活躍はしないのだが、結構人気はあったんだぞ!

 Gガンボイ主人公の中の人も、子供の頃はジェッターワダツミ推しだったんだからな!

 と言うかジェッターI(ワン)相当がヒリュウ(飛龍)II(ツー)相当がロウコ(狼虎)と動物繋がりなのに、なんでIII(スリー)相当だけ神様なんだろう・・・。

 閑話休題(それはさておき)

 

 網に包まれたままの「アーベルさん」に油断なくにじり寄るカオルくんとイーサン氏。

 アルテもさすがに普段の巨大メイスではないが、警棒サイズの鉄の棒を油断なく構えている。

 あ、「アーベルさん」が動いた。

 

「い、痛いじゃねえか・・・いきなり何しやがんだよ。俺は本物だって・・・」

 

 残念、それが違うんだなあ。

 あの長寿と繁栄のご挨拶、実はアレ自体が重要なのではない。

 本命はオブライアンさんによって全員の右手首につけられた、魔法的マーキングである。

 魚人妖精(オアンネス)独特の魔術で『しるし』と呼ばれるそれは、本来同族間か魔術師にだけ通じるマーキングなのだが、『しるし』を近づけると魚人妖精でなくても何となくチクチクするのである。

 魔法使いには「しるし」の魔力を察知されてしまうので、手の平にわざわざフェイクとして師匠による魔法的な紋様を入れてもらう念の入れようである。

 オブライアンさんと妹のタウハウシンさんから聞いてそれを知っていた俺は、大仰な符丁を交わすふりをしてそれを確かめる事で本物か偽物かを判別しようとしたのだ。

 

 だからわざわざ「スペーストレッキング」の有名な挨拶を導入したのも、俺の趣味ではなくてフェイクの大げさな符丁として選択したに過ぎないのだ。ほんとだよ?

 まあわざわざそんなことを偽者の元コウモリ男(仮)に教えてやる必要はないが。

 

「さて、じゃあ答えて貰おうか。お前、どこの手の者だ」

 

 サーベルを突きつけて詰問するのはイーサン氏。

 調子はいつもの如く軽いが、ちょっと怖い。

 黙秘を続けたら「あっそう」とか言って指一本くらいは落としそうな凄みがある。

 

「・・・」

「芝居はばれてんだよ。腕の一本や二本、落とされなきゃわからんか? あ?」

「・・・・・・・・・・ちっ」

 

 舌打ち。

 げっ、スライムみたいになって網をすり抜けやがった!

 アーベルさんの姿のまま、窓に向けて跳躍・・・しようとした瞬間、窓が「内側」に向かって割れた。

 

「ぎゃあっ!?」

 

 今まさに飛び込もうとしていた窓が自分に向かって割れ、さすがに一瞬動きが止まる変身生物。

 飛び込んできたアーベルさん(もちろん本物)のダガーでバッサリと袈裟懸けに斬られて悲鳴を上げる。スライムみたいに変身できる生物でも、斬られたら痛いんだな。

 アーベルさんは自分そっくりの変身生物に向けて、改めて濡れた切っ先を突きつける。

 

「舐めた真似してくれたじゃねえか。まあ、読まれてたら意味がねえがな。

 『夏の羽虫は自分からロウソクに飛び込む』って奴よ」

 

 けけけ、と笑うアーベルさん。それひょっとして日本の慣用句ですか?

 などと、のんきしてられたのもそこまでだった。

 

「読まれてる、か。じゃあこれも読めてたかな?」

「っ!?」

 

 アーベルさんが硬直した。

 奴が変身したのは、ターバンを巻いた黒髪の女性。年の頃は二十代半ばか。

 日に灼けた肌にきらめく黒い髪、筋の通った眉、きつそうなツリ目。褐色の美貌。

 何か、うまく言えないけど雰囲気がある。ただのチンピラじゃない。

 

「ではな」

「待てっ!?」

 

 アーベルさんが一瞬動きが止まった隙を縫い、アーベルさんが飛び込んできた窓から変身生物が飛び出す。

 

「ミサイルドリル!」

「しゃあっ!」

 

 俺の連射貫通弾とカオルくんの斬撃が襲いかかる。

 何発かは命中したのだが、意に介せず奴は窓の外に姿を消した。

 ・・・イーサン氏も今動かなかったよな? どうしたんだろう。

 それにしてもあの女性、どこかで見たような・・・。

 

「・・・」

 

 カオルくんとアルテがアーベルさんとイーサン氏、二人の方を伺う。

 そうだよな。俺が気付くんだ、鋭いカオルくんや付き合い長いアルテが気付かないわけがない。

 

「・・・」

「・・・」

 

 アーベルさんとイーサン氏が視線を交わし、そして同時に溜息をついた。

 

「こうなっちまうと、話さずにゃーいられねえわな」

「確定しちまったことでもあるしな」

 

 頷きあう二人。

 なんか隠してる事があるかと思ったが、まさか例の反政府組織絡みか?

 

「まあわかるわな。お前にまで見破られるとは俺ももうろくしたもんだ」

 

 だから一々俺をくささないでもいいです。

 

「はは、悪い悪い。ちっとばかり俺も動揺しててな・・・ん?」

 

 こんこんこんこん、とノックの音。

 俺達も馴染みになってしまった、執事見習いのお兄さんの声。

 

「失礼致します、皆様方。主がすぐに来て頂けないかと」

 

 顔を見合わせる。代表してイーサン氏。

 

「何かあったのか?」

「はい、ヘルン様がおいでです」

 

 お兄さんの言葉に、もう一度俺達は顔を見合わせた。




>ジェッターワダツミ
もちろんゲッターポセイドン。海の神様繋がりでわだつみ。
でもカタカナにすると妙に忍殺=アトモスフィアw

>ジェッターワダツミ推し
ドモンカッシュ四段こと関智一氏。
子供の頃「ゲッターポセイドン」と書かれた段ボールを装着して遊んでたとのこと。

>なんで3相当だけ動物じゃないんだ
インタビューを受けた当時のスタッフは笑って誤魔化してましたw
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