異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 依頼は完璧に

「・・・どうする?」

「会いに行かないとまずいでしょう。と言うかこれからどうするつもりだったのか聞いても?」

「ガイガーの旦那とばあさん、この面子で、王に叛くもの(アンティゴネー)の本部にカチコミに行くつもりだった」

 

 うわお大胆。

 本部知ってるのかとか、この戦力で大丈夫なのかとか、まあ色々聞きたいことはあるんだけどこの二人のことだ、それなりに確信はあるんだろうなあ。

 

「まあな」

 

 ひょっとして先手取られたんでしょうか?

 

「だとしても、どのみち俺達がその場にいないと親父やコルドラ達がヤバいかもしれん。少なくとも俺はそっちに行かなきゃならん」

 

 ・・・師匠はみんなで取りあえずヘルンに会いに行った方がいいんじゃないかと(念話)。

 

「まあそうだな。今すぐ殴り込みかけたいところだが、こっちを放っておくわけにもいくまい」

 

 イーサン氏の言葉に、その場のみんなが溜息をついて頷いた。

 

 

 

 居間には公爵とふんぞり返ったヘルン。

 一面ガラス張りの窓から、整えられた庭園が見える。

 

「おう、来たぜ親父殿」

「呼び立てて申し訳ありませんね、兄上とアルテとその他の諸君も」

 

 うわむかつく。

 睨みつけてやったが、鼻で笑って無視しやがった。

 煽りレベル上がってるなあ、おい?

 

 案内してくれた執事見習いの若い兄ちゃんが一礼すると壁際に下がって控えの姿勢。

 それとほぼ同時にドアがもう一回開いて、コルドラさん夫妻が入って来た。

 

「遅れました、父上」

「ああ、気にしないでいいですよ姉上。今みんな来たところですから」

 

 にやにやするヘルンをコルドラさんが睨む。

 良く見れば公爵さんもそれに近い視線をヘルンに向けてるし、俺達は言わずもがなだ。

 

「おやおや、どうされたんです、皆様。まさかわたしが姉上の娘を襲わせた黒幕だとでも思ってるんですか? いやですねえ、可愛い姪にそんな真似をするわけがないでしょうに!」

「・・・」

 

 はっはっはと笑うヘルン。白々しいが、何か躁状態にも見える。

 ウルリヒさんが深く溜息をついた。

 

「オスカルが生きていてくれればな・・・」

 

 その瞬間、ヘルンの表情が激変した。

 

「ふざけるな! まだ言うのかあんたは!」

 

 立ち上がって父親に詰め寄るヘルン。

 ウルリヒさんも「しまった」って顔してる。

 誰のことだ?

 

「生まれてすぐ死んだ俺達の弟だ。その時に義母も死んだ」

 

 イーサン氏が小声で教えてくれた。

 あー・・・。

 

「勝手に期待して! 勝手に色々押しつけて! 思い通りにならなかったら失敗作扱いで放蕩息子呼ばわり!

 ああ、私だって期待に応えようとしてたさ! けどできることとできないことがあるんだよ!」

 

 ウルリヒさんは顔をこわばらせて一言も返せない。

 完全にヘルンの激情に圧倒されている。

 

「姉上が男だったら! 兄上が家を継げる立場なら! オスカルが生きていれば!

 でも現実はそうじゃないんだよ! 現実を見ろ! 私を見ろ! それができないなら・・・」

「よせ、ヘルン!」

 

 強い調子でイーサン氏が諫める。

 だがそれもヘルンの耳には入らない。

 

「死んでしまえ!」

「承りました」

 

 その瞬間、鮮血が散った。

 

 

 

「・・・え?」

 

 ヘルンが呆然と振り返る。

 多分俺も同じ表情。

 イーサン氏もアルテもコルドラも、アーベルさんですら。

 

 ウルリヒさんが崩れ落ちる。

 その腹に突き刺さっていた、杭のような何かがずるりと抜けた。

 ・・・あの時、ウルリヒさんは思わず立ち上がってヘルンに何か言おうとした。そのせいで脇腹で済んだんだ。多分そのまま座ってたら心臓に突き刺さっていた。

 

「おおっと、運の強いお方だ。一撃で死んでいれば手間もかからなかったものを」

「!?」

 

 白い杭・・・いや、骨か象の牙のような何かがするりと戻る。

 戻った先は、あの執事見習いの兄ちゃん。周囲の使用人の皆さんが凍りついてる。

 手首から先が象牙のような杭になっていた。

 

「お、おまえは・・・!?」

「ご依頼に応じ、公爵閣下を殺害させて頂きます。少々お待ちくださいませ、ヘルン様」

 

 張り付いたような笑顔で一礼する執事見習い・・・いや、恐らく変身生物。

 

「ま、待て、私は、そんなことを」

 

 陸に上がった魚のように口をパクパクさせるヘルン。

 変身生物の顔には笑顔が張り付いたまま。

 

「ご安心くださいませ。我々『王に叛くもの(アンティゴネー)』は依頼人の方々のニーズに完璧にお応え致します。このように」

 

 言葉と同時に、談話室の庭側の窓が一斉に砕けた。

 

「ハヤト! カオル! そっち任せる!」

 

 そう叫びながら、アーベルさんとイーサン氏が息を合わせて変身生物に躍り掛かる。

 ええい、無茶を! わかりましたよ!

 

 

 

 窓ガラスを全部ブチ割って入って来たのは巨大な丸ノコを担いだ腕だけが異常に発達した男、歪な3m程の赤い巨人、黒銀の全身鎧の騎士、両腕がそれぞれハンマーと斧になってるロボットみたいな奴、タカの顔と翼、両腕が鷹の爪になってるような獣人。

 動きが速いじゃねえか! 二重の意味でな!

 

「ロケットパンチ!」

 

 巨人とハンマーロボットに鋼鉄の拳が命中し、たたらを踏ませる。

 大回転ならともかく通常のロケットパンチだと威力が足りんか!

 だがこの武器のいいところは、即座に次の攻撃に繋げられるところだ!

 

「ミサイルドリル! ミサイルラッシュ!」

 

 腕が飛んでいった肘の断面から乱射される貫通弾。腹からの連射ミサイルもついでに持っていけ!

 

「ぐっ!」

 

 侵入者に貫通弾が刺さり、爆風が炸裂する。

 だが敵も根性が座ってる! 怯まずに全員進んでくる!

 

「させるか!」

 

 鋭い金属音。

 カオルくんがサンダースウォードを振り回して丸ノコ男と騎士を食い止める。

 

「鎧よ!」

 

 青い光が瞬き、カオルくんの体をサファイアの輝きが覆う。

 イレマーレの秘宝、青玉の騎士の甲冑。これをブチ抜くのは俺の《加護》をもってしても容易くはない。

 

「豪子力ビーム! ビームフリーザー!」

 

 俺はミサイルドリルとミサイルラッシュの乱射に加えてあと二つの武装を起動、これで巨人とハンマーロボットが転倒した。

 加えて戻ってきたロケットパンチでタカ獣人を・・・畜生、かわしやがった!

 他の武器使いながらだから狙いが甘い! タカ獣人が降下する先は、ウルリヒさん!

 

「父上!」

 

 コルドラさんの悲鳴。

 

「!?」

 

 鮮血が散った。

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