異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十三話 まだ終わらんよ

 破壊しつくされはしたものの何となく和んだ雰囲気の居間。

 コルドラさんとか年かさの執事さんとかも笑みを浮かべてる辺り、あれは気付いてるな。

 ヘルンさんもいたたまれまい。

 と、俺は微笑ましくも少し意地の悪い気分にひたっていた。

 いいじゃんよ、今までさんざんイヤミ言われたんだから!

 

 その間にカオルくんがアルテや他の人達の負傷を応急処置。俺の《加護》でも人間の治療が出来ればいいんだが、物質を修理復元できるロボはいても、人間を治療できるロボはいないんだよなあ・・・。

 人間を「復元」できるロボはいるが、あれはあれでヤバいし難易度がメチャ高い。

 SF映画お馴染みの治療ポッドは出来なくもないが、せいぜい治癒速度を多少速める程度で曰く「絆創膏程度」であるカオルくんの治療呪文にすら遠く及ばない。魔法すげえ。

 しばらくして駆けつけたペトロワ師匠が(お年なのにお疲れさまです)全員の負傷を調べた後念入りに治療呪文をかけ、ついでに服や居間もさっと修復する。粉々の窓ガラスや血まみれのじゅうたんも元通りだ。ほんとすげーなこのばあさん。

 

「ふむ」

 

 服を直して貰ったヘルンさんが鏡に自分の姿を映しながら満足そうな笑みを浮かべる。

 

「感謝するぞ、魔女殿。これはお気に入りの一着でな」

「それはようございました」

 

 笑みを浮かべ、如才なく一礼する師匠。

 そしてニヤニヤと笑いながら口を挟むイーサン氏。

 

「親父殿との仲直りのしるしでもあるしな」

「・・・だから! あんたのそう言う所が嫌いなんだっ! 何でもかんでも見透かしてるような物言いをしやがって!」

「知ってるとも。だからやってるのさ」

「~~~~~~っ!」

 

 顔を真っ赤にして地団駄を踏むヘルンさん。

 うん、これはまごう事なきクソ兄貴。

 周囲も苦笑したりほほえましそうに見てたりするあたり、昔からこうだったんだろうなあ。

 ヘルンさんにはちょっぴり同情するわ。

 そんな雰囲気が流れていたのだが、それをウルリヒさんの声が中断させた。

 

「・・・ない! ペンダントがない!」

 

 ちょ!? ペンダントってアレですよね、『ナジャラーガの杖』の隠し場所への入口を開くやつ!

 

「そうだ。いつの間に――!? あれ以来肌身離したことはないし、今朝もちゃんと確かめたぞ!」

 

 ・・・って、あっ! あの変身生物! そう言えば煙吐く直前、ウルリヒさんの体にべったりくっついてた!

 煙が晴れたらいなくなってたから、彼を害しようとして失敗したのかと思ったけど・・・。

 騒然とする俺達を、だが公爵は手で制した。

 

「だがそこまで心配することはあるまい。あれはレミンジャー公爵家の血を引く者にしか使え・・・」

 

 ばたん、と開く扉。

 宝物庫を開けるときについてきていた、執事頭のひとだ。

 

「大変です、お館様! 宝物庫が破られて・・・奥に穴が!」

 

 ウルリヒさんの顔が凍りついた。

 

 

 

 大急ぎで事情を知ってる面子+ヘルンさん、コルドラさんを連れて宝物庫を確認。

 ヘルンさんとコルドラさんには歩きながら「嘘つきの卵」で認証という慌ただしさ。

 で、確かめた結果だが・・・やはり、光の柱の中にナジャラーガの杖はなかった。

 

「馬鹿な! どうして!?」

 

 なおここまでの経路で破壊された形跡は皆無。

 宝物庫の鍵は開いてるし、遺跡部分も明らかに正規の手順を踏んで開けられている。

 

「ここは例の紋章のペンダントがないと入れんのですな?」

「そ、そうだ。そして公爵家の血筋の者でなければペンダントは力を発揮しないはず・・・」

 

 んー・・・公爵家の血筋って、それはどうやって判定してるんです?

 

「え? それは・・・」

「小僧。何か気付いたのか?」

 

 戸惑う公爵。厳しい目になる師匠。

 つまり親子かどうか判別するなら、DNAというかこっちの世界だとわからないけど、とにかくそれに近い何かを参照してるのでは?

 

「うむ、大体その通りじゃ」

「あっ!?」

 

 カオルくんも気付いたか。

 そうなんだよ。だから血液とか体の一部を取り込めれば、そこを誤魔化すことも出来なくはないのでは?

 指紋認証を、切り取った指でごまかしたりするようにだ。

 

「・・・ありえるのう」

 

 さっき変身生物が粘菌になって床を這ったとき、血しぶきが絨毯のシミになってた。

 コルドラさんはほぼ無傷だったと思うけど、彼女たちをかばったアルテはそれなりに負傷していた。その時にアルテの血を取り込んでたら?

 

「何と言う事だ!」

「最初からそれが目的だったってことか・・・? アルテを誘拐しようとしたり、害しようとしてたりしたのも?」

 

 愕然とする一同。

 確かにそれなら、敵がアルテを殺そうとしたり誘拐しようとしたり、行動にブレがあったのもわかる。最悪血の一滴でもあれば十分だったんだろう。

 そして、騒ぎを起こして公爵家にしろ留置所にしろアルテの動きを封じ、そこに襲いかかる・・・。それで目的達成だ。

 ヘルンさんのことは多分ついで。依頼を遂行する振りをして情報を集めたり、妨害に使ったりした。

 

 そして居間での戦闘が終了してから師匠が到着するまで二十分くらい。

 最初からそのつもりなら、ペンダントとアルテのDNAを手に入れた奴が杖を盗み出すには十分だろう。

 

 なお戦闘後、公爵家の衛兵が屋敷を捜索していたのだが(宝物庫の異常もこの時発見した)、執事見習いのお兄さんは死体とか見つかってないらしい。

 つまり数時間前に本物を殺害してすり替わったとかではなく、かなり長期間にわたって屋敷に潜り込んでた可能性が高いって事だ。

 ひょっとしたらこの屋敷に雇われた時からあの変身生物で、パーティ会場から逃げ出した後も、何食わぬ顔で執事見習いの姿で屋敷に舞い戻っていた可能性がある。

 見ただけでは違和感がないくらい完璧にアーベルさんに化けていたりしたのもそれだろうし、何らかの手段によって宝物庫の合言葉とかも盗んでいたのだろう。

 盗聴器みたいな術や魔道具もある所にはあるらしいしな。

 

「つまり、今奴らの手には杖本体と、それを操るために必要な使い手がいるってことか?」

「神下ろしの舞いについては盗まれてないんじゃないか。どうだ親父どの」

「書物の形で伝わっているので断言はできんな・・・」

「それ以前に杖を調べればわかるはずじゃ。多少時間はかかるが、大魔術師(ウィザード)レベルの術者なら何日もかかるようなものではない」

 

 つまり総合すると、今この瞬間にも杖が使われておかしくないって事だ。

 ・・・やばいっすね(語彙消失)

 

「これからどうするんです」

「今ならわしの術で杖の行方を追えん事もなかろう」

「恐らくは『王に叛くもの(アンティゴネー)』のアジトだろうぜ」

「ではつまり」

 

 殴り込みだな。

 そう言うと、一座のみんなとイーサン氏が一斉に頷いた。




>物質を修理復元
勇者エクスカイザーのフォーミングビーム。
骨董品のカメラを修理したり、崩れたダムを修復することすらできる。

>人間を復元できるロボ
冥王計画(プロジェクト)ゼオライマー」のゼオライマー。
これも次元連結システムのちょっとした応用だ。
なお「トップをねらえ2!」のバスターマシン7号(ノノ)も六次元レベルでエネルギーと物質を操作できるので、肉体の欠損を修復することは可能と思われるが、こっちもちょっと超技術すぎて今のハヤトには手が出ない。
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