異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 殴り込み

「ゴーッ! ブロイザーッ!」

 

 ガイガーさん。師匠。アーベルさん。イーサン氏。カオルくん、そしてアルテ。

 彼らを腹に入れて、今俺は王都ヴィエンヌの空を飛んでいる。

 久々のXブロイザー宙爆形態だ。

 

 野営地の座長たちにも念話は飛ばしてあるが、何せ一刻を争う事態。

 連絡だけ飛ばして俺達で先行する事になったのだ。

 アルテはどうかと思うが、まあ相手もDNA盗んだし、もう特に危険はないだろうってことで師匠が許可したのだ。

 俺としてはお母さんの傍についてて上げた方がいいんじゃないかと思うが、本人メチャ怒ってるし、気持ちはわかるからしょうがない。

 

「・・・マジで何でもアリだな、お前さん」

 

 窓から外を覗いて呆然とするイーサン氏。

 はっはっは、まあね! 日本のクリエーターのおじさんたちが腕組んで一生懸命考えたロボットアニメの積み重ねの賜物だよ!

 

「一応言っておくが、ハヤト。また空中に俺達をばらまいたら、今度は一発殴る程度じゃすまさねえからな?」

 

 はい、わかっております。あの時は大変申し訳ありませんでした!

 でもね、これ爆撃機なの! 輸送機じゃないのよ! 急いでたし初めてだったから情状酌量の余地はあると思うんだよ!

 後今回は2,30メートルくらいの高度だから、今乗ってるみんななら無傷でしょ! 多分!

 

「・・・ばらまくってのも何か不安だが、なんだバクゲキキって」

「火球の呪文というか、"火球玉(ファイアーボール・スフィア)"を腹に沢山詰め込んだ空飛ぶ異界遺物(ディファレント・アーティファクト)だそうな。

 一個落とすだけで集合住宅が一個吹っ飛ぶようなものを100発以上腹に溜め込んで、都市の上からバラバラと落とすんだと」

「うへえ・・・ニホンじゃなくてサイモックの生まれでほんと良かったぜ」

 

 しみじみと言うイーサン氏に反論できない。

 まあ日本も医療とか娯楽とか生活レベルとか、色々長所はあるのだが、こればかりはな。

 閑話休題(それはさておき)

 

「見えましたよ! あれですね?」

「おう、あれだ」

 

 ヴィエンヌ、いやトリッチ王国有数の商会、ハイモーン商会本店。

 それを隠れ蓑にした王に叛くもの(アンティゴネー)の本拠地。そして師匠の呪文が探り出したナジャラーガの杖の反応もそこにあった。

 

「な、なんだお前らは!?」

「通りすがりの冒険者だ!」

 

 うん、いっぺん言ってみたかったこのセリフ。

 ともかくここまで来たら問答無用じゃい!

 王に叛くもの(アンティゴネー)と関係ない一般商会員の皆さんはごめんね!

 

 そんな感じで俺達は商会に殴り込んだ。

 もちろん警備員のみなさんはいるが、最低でも緑等級(一騎当千)レベルの人材が七人である。相手になるわきゃない。

 三国志で言えば五虎将軍と呂布と遼来来がパンピー商人を全力で襲ってるようなもん。

 うん、我ながらひどいたとえだがそんな感じ。

 

 呂布は全会一致でガイガーさんとして、老黄忠がペトロワ師匠、イケメン趙雲がカオルくん。アルテは張飛確定だな、HAHAHAHA!

 

「・・・ハヤトが何か凄くむかつく顔してる」

「殴ってもいいけどケリが付いた後でね、アルテ」

 

 背筋がゾクッと来た。妄想はこの辺にしておこう。

 

「ハイヤッ!」

 

 ちなみに赤兎馬乗りの関羽はイーサン氏で決まりである。

 何とこの人、馬で殴り込んでるのだ。

 テーブル乗り越えたり、壁で三角飛びしたり、これホントに馬か?

 

「奴の《加護》は《騎手の加護》でな。広いところで暴れさせたら手に負えないぞ」

 

 と、アーベルさん。

 前に魚のホラ話(ビッグ・フィッシュ)の中で《騎手の加護》持ちのお姫様とレースしたけど、あれは純粋に速さ比べだったからなあ。こんな事もできるのか。

 

 ともかくあっという間に商談エリアを突破し、イーサン氏とアーベルさんの先導で勝手知ったる他人の家とばかりに奥に突入する。

 多少強いエリート警備員の人達も出て来たが、ぶっちゃけ強くなったとは言え俺が殴り合いで勝てるレベルである。

 ガイガーさんたちに太刀打ち出来るわけがない。現実では確率で切り払いが発動するわけじゃないからな!

 

「やれ、クライン!」

 

 ガンッ!

 凄い音を立てて、イーサン氏の馬の前足が分厚い扉を叩き割った。

 その奥に現れたのは地下へ続く階段。

 

「ここからは罠がある。俺が先行するからついて来い」

 

 言うなりアーベルさんが中に飛び込み、俺達もその後に続いた。

 

 

 

 早足で地下への階段、そして地下通路を進む。

 途中罠の解除で立ち止まったり、矢狭間に隠れた敵が矢や魔法をぶち込んだりしてきたが、大体アーベルさんと師匠と俺とカオルくんでどうにかした。

 まあガイガーさんたちに正面から挑むよりはまだ賢いが、だとしても力不足だ。

 

「!」

「止まれ!」

「~~~~~~~~~!」

 

 イーサン氏、アーベルさんの制止の声、そして師匠の呪文詠唱が同時に響いた。

 げっ!? 通路一帯に火花が走ったかと思うと、壁や天井に覆面黒装束のニンジャみたいな連中が現れた。

 透明化の呪文か!?

 

生得魔術(ナチュラル・ソーサリー)とかいう奴だ! まあ説明は後々!」

 

 言いながら投げた短剣が、覆面の足に刺さる。そいつはバランスを崩して落っこちたかと思うと、イーサン氏の馬に踏みつぶされた。

 

 

 

「ここか!」

 

 暗殺者軍団をあっさり退けた後、俺達は大広間に突入した。

 透明化からの不意打ちを食らったらやばかったろうが、種が割れた手品なんてこんなもんだ。

 

「久しぶりだな、デューク、ガルガンチュワ。今になって帰参するつもりになったか?」

「こきゃあがれ」

「アンタも組織もここで潰すぜ、大頭」

 

 差し渡し100m近くある広大な空間。

 明らかに古代魔法文明の遺跡らしきあれこれ。中央には直径30mほどの円形の銀盤と電子回路と魔法陣を組み合わせたみたいな何か。

 その中央に立つのはナジャラーガの杖を持った、ショーン・コネリーみたいな渋い爺様。

 

「だが少し遅かったな」

 

 !?

 銀盤の周囲に緑色の障壁が立った!

 駈け寄る俺達。

 

「カオル!」

「はいっ!」

 

 打てば響く。

 カオルくんのサンダースウォードからほとばしる、破魔の雷光。

 それが緑の障壁をなめ・・・何も起こさずに消えた。

 

「!?」

 

 みんなが目を見開く。

 師匠やハルギア、吸血鬼の大術師ルイスの術式すら解呪するそれがなんら効果を発揮せず、退けられた?

 

「・・・正真正銘の真なる魔法文明の遺物じゃな。サンダースウォードの解呪は効いておる。しかし解呪された端から再生しておる」

 

 じゃあどうすれば!?

 

「あちらのエネルギーが尽きるまでやれ。魔力結晶はケチるな。

 いかに真なる魔法文明の産物と言えど、神剣に勝てるものか!」

「はいっ!」

 

 まさかの力業。しかし師匠が言うならそれが一番速いんだろう。

 

「だが一舞いする程度の時間はあるじゃろう? ならばワシの勝ちじゃ」

「おいおいジイさん、まさかアンタが舞う気か? そいつは・・・」

 

 軽口を叩いていたアーベルさんの顔色が変わった。

 

「そうとも」

 

 老人の顔がニヤリと、吐き気を催す笑みを形作る。

 

「その顔が見たかったよ、ガルガンチュワ」

 

 笑みの形だけはそのまま、老人の姿がレミンジャー公爵邸で見た、あの日焼けした肌の女性に変わった。

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