異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
『マシンフォース・大回転ロケットパンチ!』
再び黄金に染まるデモゴディ。
超音速で発射された双拳は衝撃波をまき散らして飛び、
巨人を破砕した拳は壁に突き刺さり、巨大なクレーターを作ると共に施設を揺るがす。
『・・・ほほほ! ほほほほほほ!』
くそっ、これでもだめか!
バラバラに爆発四散したパーツが再び集まり、素早く元の姿を取り戻す。
『ブレストヴォルケイノ!』
既にマシンフォースは終了している。
通常の熱線を浴びせるが、再生の速度が多少遅くなった程度で余り効いてない。
くそ、装甲は遺跡構造物でも、中身は生体だろ! 三万度の熱に耐える生体組織ってなんなんだよ!
『ほほほほ、喰らいなさい!』
いびつで巨大な左腕に魔力を充填し、殴ってくる。
くそっ、ブロックしたが重い! 吹き飛ばされた! ビームの威力と連射速度と言い、こいつ本当にさっきまでと同じ「ローズマリー」なのか!?
攻撃に耐え、時には反撃しつつ、俺は再びマシンフォースを発動させるためのエネルギーを蓄え始めた。
『マシンフォース・ビームフリーザー!』
みたび豪子力の輝きをまとった俺の耳の部分の角から放たれる、圧倒的な負の熱量。
ブレストヴォルケイノ・スペシャルの時は足だけを残してしまった。
大回転ロケットパンチのときは全身を粉々にはしたが、細胞一つ一つは無傷だった。
なら細胞全てを一度に凍結させれば――!
白い光線を受けたツギハギ巨人が一秒ともたず動きを止める。
あっという間に全身を霜が覆い尽くし、次いでひび割れが走る。
自重で崩れ去った白い巨人の破片に、俺はビームフリーザーを放射し続ける。
間違っても復活しないよう、粉々に踏み砕いた上で更にビームフリーザー。
これでもビームフリーザーは消費少なめの武器なのだ。持続力ならデモゴディの武装の中でトップクラスだぜ。
『・・・こんなものか?』
巨人の体を念入りに踏み砕き、徹底的に凍結させること二十分。
吸血鬼だってここまでされたら簡単には復活できまい。
豪子力の光が消え、これで倒せたかと思った瞬間、横からガツンと来た。
『がっ』
壁面が文字通り変形して、巨大な拳になる。
それがそのまま俺を体ごと打ち抜いた。
『がっ、ごっ』
吹き飛ばされてホールを転がり、反対側の壁にぶつかって止まる俺。
100m先で新たな『ローズマリー』が姿を現していた。
身長は70mほどか。大体デモゴディの四倍だな。姿は余り変わらないが、あのサイズだと殴り合いは一苦労だ。
頭の中に仮面の赤い総帥が乗る赤くて丸いポッドが入ってそう。サイズ的に。
そんな軽口を叩きつつ、俺も立ち上がる。
『ほほほ! ほほほほほほ! まだ立ち上がるの? 勝ち目はないってわからない?』
そうでもないぜ。勝ち目ならたった今見つけたからな。
『・・・何ですって? 根拠のない強がりはおよしなさい。男を下げるわよ』
あれま、結構古風なこと言い出すお嬢さんだな。
まあこの世界なら割と普通なのかも知れないが。
だが違うんだな。
「苦しいときこそ笑え」なんて言うが、今の俺が浮かべる笑みは勝利を確信したからだ。
むしろ今まで気付かなかった方がおかしいんだ。
本体をあれだけ破壊されておいて、あっさり復活するなんてありえない。
ライサムの町の分体に比べて異常に強いのも単に本体だからかと思ったが、最初の銀色巨人の形態の弱さを考えればそれもない。
なら答えは簡単。目の前のこいつは本体じゃないのだ。
本体は多分この施設のパワープラントか何かに居座ってて、そのエネルギーで急速再生してたに違いない。
パワーアップも自前じゃないエネルギーリソースを手に入れたからだ。
へその緒みたいなケーブルがないのは不可解だが、まあ古代の超文明だ、無線充電くらいできるんだろう。
つまり、ツギハギ巨人は遺跡の構造物が残ってる限り、いくらでも再生する端末に過ぎない。
違うか?
『くっ・・・けど、攻撃が届かなければ同じ事よ!
あなたは私の本体がどこにいるかわからないし、この端末の装甲厚はさっきまでの五倍! あの光る攻撃でも内部の生体組織にはダメージは通らないわ!
そしてエネルギープラントがある限り、私の体は無限に再生できる! ただの鉄の塊では私に勝てないと知りなさい!』
フラグ乙。
だがな、お嬢さん。
ただの鉄の塊じゃないがゆえに、君は負けるんだ。
俺も正直使いたくなかったんだけどな、これは。
『・・・・・え?』
ローズマリーの声に恐怖が混じる。
俺の体から漏れる魔力の質に気付いたんだろう。
ちなみに念話で既に確認はとってある。師匠たちはもうこの遺跡内にいない。
『死、死になさいっ!』
ツギハギ大巨人の目と両手と体中の赤い点と、ともかく十近い点に赤い魔力光が灯る。
0.1秒で放たれるのは、多分デモゴディでも喰らったら無事では済まない高出力ビーム。
だがもう遅い。
『冥界の黒き柵を乗り越え 永遠のまどろみに落ちるべし
とこしえに暗く明るき黄昏の世界に 無明の安らぎを得るべし
死は終わりにあらず忘却なり 忘却ゆえに救いなり
やがて地の底より再び大地に生まれ 一時の苦しみと喜びを得なん』
『ひ、ひいっ!』
『くらえっ!』
俺の全身から放たれる黒い魔力。
吸血鬼にして
ツギハギ大巨人が大爆発を起こす。
細胞が全て死に、収束していた魔力のコントロールを失った結果だ。
『・・・』
無意識に消していたムラマサを再び取り出す。
刀身と柄の接合点(身も蓋も無いことを言えば、バーサーク・ショーグンが持ってる刀の、葵の御紋がある箇所である)に光る琥珀色の宝珠。
ムラマサと一体化したタリエシンの宝珠だ。
俺の魔術の腕じゃ「森羅万象を見通す」なんて到底できないが、それでも《ロボットアニメの加護》と組み合わせれば、ごく近くにいる敵を見つけ出すことくらいは出来る!
『エスパーアイ・透視光線!』
デモゴディに次ぐ最古参のロボットアニメの一つ、オカルトロボアニメ「ブレイバー雷電」に登場する小技。
必殺の「ゴッドホークアタック」の前に相手の急所を的確に見抜くための兵装だ。
名前がクソださいのは、まあ時代が時代なので勘弁して欲しい。
『・・・見えたっ!』
壁の中、みっしりと詰まっている魔導機械の合間を原形質みたいな、スライムみたいな生物がすり抜けていく。
魔力反応からして、エネルギープラントからは離れて逃げるつもりなのはありがたい。
いくら無敵のデモゴディとは言え、大爆発に巻き込まれるのはまっぴらごめんだからな。
そして壁の中なら安全と思ったか? デモゴディにはな、ちゃんと貫通力の高い武器もあるんだよ!
ゲームでは大体弱い武器扱いだが、とどめを刺した回数はブレストヴォルケイノに次ぐんだぜ!
『マシンフォース・豪子力ビィィィィィィムッ!』
四度、黄金に燃えるデモゴディ。だがこれが最後だ・・・!?
『 』
最大出力の豪子力ビームが発射される寸前、透視で見ていた原形質・・・「ローズマリー」が姿を変えて目玉になった。
1メートルほどの目が、ぎょろりと俺を見る。その瞬間、俺は再び精神世界に飛ばされていた。
黄金の豪子力の光満ちる空間に俺はいた。
対照的に、奴――金髪の、10才くらいの少女の姿をした何者かは真っ暗闇のなかにぼんやりと浮かんでいる。
「・・・ローズマリーか」
「ええ」
「精神攻撃で逃げようって腹か?」
「いいえ。今の私の力では単純に魔力で押し負けるし、そのカタナがあったらどのみち支配は出来ないわ」
・・・じゃあ何故?
そう問うと、少女はふっと笑った。
「あの子、アルテと接触したときに記憶がいくらか流れ込んできたのよ」
それが?
「あの子に伝えておいて。
正直私は使命を果たしただけだし、悪いとは思ってないけど・・・彼女とお母さんとの再会を邪魔しようとしたことだけは詫びておくわ。
人間って・・・そう言う事を大事にするのね」
何故か嬉しそうに笑うローズマリー。
何かを言おうとした瞬間、俺の意識が現実に戻る。
最大出力の豪子力ビームは真なる魔法文明時代の構造物をも容易く貫通し、ローズマリー・・・人を救うために生み出され、テロリストによって道を誤った魔法生物を蒸発させた。
>頭の中に仮面の赤い総帥が乗る赤くて丸いポッドが入ってそう。
「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」の有名な誤作画が元ネタ。
モビルスーツの頭部にコクピットポッドが入ってるのに、頭部がやたらでかくてサザビー何十メートルあるんだよ!と突っ込まれるシーン。
一説によるとあの縮尺だとサザビー70mあるそうですw
それと互角に殴り合ってたνガンダムはムートロンかオーラ力で巨大化でもしてたのかなw
>ブレイバー雷電
勇者ライディーン。
「雷電為右衛門」がネーミングの元ネタだそうですw
透視光線もα3あたりでは確かゴッドバードアタックの演出にあった気が。
> ゲームでは大体弱い武器扱いだが、とどめを刺した回数はブレストヴォルケイノに次ぐんだぜ!
これは本当。
大体弱らせたところでブレストファイヤーか光子力ビームというのがZのとどめパターン。
実は弱い武器ではないんだぜ。