異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
ダン・ハヤト 現代日本からの転移者。16才。《ロボットアニメの加護》を持つ。父親の教育でロボットアニメが好き。
アルテ ヒロイン。16才。《怪力の加護》を持つ力持ち少女。ハスキー一座の怪力芸とおさんどん担当。駄肉。
タチバナ・カオル ヒロイン。16才。ハヤトと同じ転移者。《魔剣の加護》を持つ。美形で天才で善良だが馬鹿正直。
リタ ヒロイン。7才。動物と話せる《会話の加護》を持つ。一座の動物使い。
シルヴィア 一座の座長で歌姫。30絡みのあだっぽい美人。腕っ節も強く気っぷもいい。眼帯巨乳。
ペトロワ 魔女で一座の知恵袋。主人公とカオルの魔術の師匠でもある。
ガイガー リタの父。剣とコマ芸の達人。ヒゲモジャで無愛想。
アーベル 経歴不詳の小人族。軽業と道化芸と忍び技の名人。顔が濃いラテン系。
ラファエル ドワーフの吟遊詩人。ヒゲモジャだけどイケメン。笑うと歯が光る。
オブライアン 魚人妖精(オアンネス)の学者。好奇心旺盛。多少の魔術の心得がある。
デモゴディΣ(シグマ) 元祖巨大ロボットにしてハヤトの最推し。ハヤトは感情が高ぶるとこれに変身巨大化できる。
第一話 ママにお手上げ
誰よりも早く起きて水を汲み、火を起こし、湯を沸かす。
普段のおしゃべりぶりにも似合わず、黙々と身体を動かす。
「ふぅぅぅぅぅぅ・・・」
火にかけた鍋を前にザゼンを組む。
こぽこぽと泡の立つ音。深く息をつく。初冬の冷気に息が白く染まる。朝の日課の瞑想。
水が沸騰すると鍋を火から外し、香草茶の準備。喉によい種類のそれはラファエルとシルヴィアのために切らさず常備している。
準備が出来ると立ち上がり、白い息を吐きながら武術の型を演じる。
肘撃ち。正拳。裏拳。打撃をさばく受けの型。踏み込みの歩法と回避の歩法。
連続攻撃や受けからの反撃と言ったコンビネーション技。
そうしたものを一通り演じたあたりでペトロワとガイガーが起きてくる。
「おはよう。今日も早いの」
「おはよう、ラファエル」
「おはようなのですぞお二方。香草茶はどうでしょうですぞ」
「いただこうかい」
次に起きてくるのが朝食の支度を一手に引き受けるアルテと武道の朝稽古で慣れているカオル。リタは子供なのでまだおねむだ。
二人(実質一人)が下ごしらえを終えたところでハヤトとオブライアン。
「おはよーっす」
「おはようございます」
「おはようなのですぞ」
香草茶を飲んでからアルテ達の手伝いに入る。
良い匂いがしてきたところでリタ。
「うーっす」
「おはよー!」
いつの間にかいるアーベルと一緒に香草茶を飲んだあたりで朝食が完成。
「それじゃリタ、座長起こして来てくれる?」
「はーい」
とてとてと座長のテントに向かうリタ。
「ほら、シルヴィア起きて!」
「んー、今日は寝かせておくれよぉ・・・寒いよぉ・・・」
「いつも同じ事言ってるでしょ! それと酒臭い!」
リタに叱られて、ヨタヨタと出てくる二日酔いの飲んだくれ。
焚き火のまわりに皆が集まる。
「いただきます」
「いただきます!」
「いただきます・・・」
「いただきますですぞ」
食事の後は慌ただしく今日の公演の準備。メイク、段取りや小道具の確認、脚本の読み合わせ。
いつもの朝の光景。
ここまでは、そうだった。
「たのもう」
くぐもった声がした。
妙に力を感じるその呼びかけに、俺、リタ、ガイガーさん、師匠と、その場にいた全員が振り向く。
「・・・」
一座の公演場、垂れ幕に囲まれた入口に立つのは・・・ドワーフ?
フード付きのマントを深くかぶり、口元にはボロボロの布を巻いていて、顔は目しか見えない。
身長は140センチほど、粗末な旅装束。丸太のように太い腕にはやはり布を巻き付けている。
拳はごつごつしてて金槌みたい。
日本の格ゲーとか漫画に出てくる、放浪の武闘家というイメージがしっくりくる。
俺より強い奴に会いに行く!みたいな?
実際結構強いと思う。
こっちの世界に来てそれなりには目も肥えたが、何と言うか雰囲気に油断がない。
サンダースウォード抜きなら多分カオルくんと互角かそれ以上だ。
ちょうど一番近くにいたガイガーさんがすっと歩み寄る。
ドワーフの人の目が一瞬大きく広がって、両手を合わせて一礼した。
ガイガーさんも同様に合掌して一礼。
俺なんかがやったら失笑物だが、二人ともそれが様になってる。
何と言うか、達人は達人を知るという感じでかっこいい。
礼を交わした二人が再び見つめ合う。ガイガーさんが口を開いた。
「ここはハスキー一座。見ての通りの旅芸人の集まりに何用かな」
「私はゲティ。ここに同族がいると聞いてきた。名前はスタロ・ガルデン・ルヴェスター。会わせては頂けまいか」
ふむ?
うちにいるドワーフとなるとラファエルさんだが・・・まあオブライアンさんがそうだが、妖精の人の名前は人間には発音しにくいんで、通称を名乗ることが多いらしい。
「ラファエル」も人間の名前らしいので、やっぱり彼がスタロなんたらさんなのか?
なおアーベルさんは普通に本名である。
何事にもこだわらない彼らは人間と交流しているうちに独自の文化の大半を忘れ、人間のそれに染まってしまったのだそうだ。もっと大事にしろよ、固有の文化を。
ガイガーさんがちらりと師匠を見、頷いたのを確認するとリタに向き直る。
「リタ、ラファエルがどこにいるかわかるか? シルヴィアもだ」
「ラファエルさんはテントでバイオリンの手入れ。シルヴィアは多分舞台袖で化粧確かめてるんじゃないかな?」
「そうか。二人とも呼んできてくれるか?」
「うん、わかった!」
駆け出していくリタ。その後を走ってついていくカラフルなハムリスども。
何気にリタは周囲を良く見ている。
誰がどこにいるかわからないときは、大体リタに聞けばわかるのだ。
あれかなあ、ハムリス十匹の面倒をずっと見てきたせいなのかな?
まあ将来いいお嫁さんになりそうで結構なことである。
「・・・」
ちょっと、ガイガーさん! 何故そこで鍔を鳴らされるので!?
ちなみにドワーフの人は俺とガイガーさん、リタを見て「ああ」と納得した感じに頷いていた。もしもし、あなた何をおっしゃりたいのかな!
「ラファエルさんー! シルヴィアー! お客さんだよー!」
テントの影からリタの声が聞こえ、しばらくして三人がこっちに歩いてきた。
「一体なんだい?」
「よくわからないけど、ドワーフの人が呼んできてくれって・・・スタロなんとかさんっていうのがラファエルさんの事なんだと思うけど」
「確かにそれは吾輩の本名ですぞ。しかしドワーフの知り合いな、ど・・・」
ラファエルさんの言葉が止まった。ついでに足も止まった。
ドワーフのお客人の方を見て固まっている。
あ、回れ右して逃げ出した。
「スタロ!」
うお、早い!?
ドワーフの人はラファエルさんが逃げ出したのを見るなり飛ぶように間合いを詰め、あっという間に追いついて押さえ込んでしまった。
すげえな、反応速度もそうだが一歩で10mくらい移動してたぞ!
「スタロ! 何故逃げる!」
「顔をあわせたくないからですぞ!」
「ええい、修行をサボってたね! 一呼吸で追いつけるとは、なまってるにもほどがある!」
「勘弁するのですぞ母上! 吾輩は吟遊詩人ですぞ! 武闘家ではないのですぞ!」
「うちは代々武道の家系だよ! 本業でないにしても鍛錬を欠かすんじゃない!」
ははうえー!?
半泣きになりながら、馬乗りされてポカポカ殴られるラファエルさんを、俺達は絶句して見守るしかなかった。
母は強し(ぉ