異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四話 ミステリーゾーン

 ザザーン・・・ザーザザン・・・ ザザーン・・・ザーザザン・・・

 

「きみはこう言いたいのでしょう、ココはどこだ!」

「うんまあそりゃそうなんだが、アンタ大丈夫かい? 主にこっちの方」

 

 座長の手がぺしぺしと俺の頭を叩く。

 叩くが、俺はそれに反応できず、ただ目の前の風景をじっと見つめることしかできなかった。

 

 ザザーン・・・ザーザザン・・・ ザザーン・・・ザーザザン・・・

 

「ココはどこだ!」

 

 ひたすら青い空と水平線と太陽。俺の叫びに答えは返らず、波の音だけが響いていた。

 

 

 

 話はちょっと前に遡る。

 お昼前に興行を終わらせた俺達は早めの昼飯をかっ込むと離陸した。

 

『アテンションプリーズ、こちらダン航空ハヤト便ブロイザーX10号。

 当機はただいまセザイを離陸、ラゼルスまでは途中一晩の野宿を挟み、十一時間を予定しております。

 到着は明朝九時の予定です』

「何言ってんだお前w」

 

 腹の中で笑い声が上がる。まあこっちの世界じゃ聞く事もあるまい。

 

「ボク達の世界で飛行機・・・空飛ぶ魔法の乗り物に乗った時の口上ですよ」

「ひこうき?って何?」

「ニホンの異界遺物(ディファレント・アーティファクト)という奴じゃの」

「なんですそれくわしく」

 

 首をかしげるリタ、食いつくオブライアンさん。腹の中で盛上がるみんな。楽しそうな笑い声。

 そう言えばオブライアンさんとかは火口からの脱出以降乗ってなかったな。

 

 ちなみにラゼルスまでは直線距離で大体2000キロくらいらしい。

 フルパワーで飛べば多分二時間もかからないが、何せ今は腹の中の荷物が重い。

 師匠の軽量化の呪文があっても馬車三台はさすがに洒落にならなかった。

 そう言うわけで時速200kmくらいで安全運転である。

 無理すれば今日中につけないことはないが、そこまで切羽詰まった状況でもない。

 

「ラゼルスまで半日!? いや、でも・・・」

 

 それでも慣れてるみんなはともかく、ゲティさんには驚愕体験だったらしい。

 ひたすら目を丸くして、窓から地上の流れる景色を見ている。

 

 しかしこの窓、俺の腹の中なのにどこから覗いてるんだろう。

 俺の腹にガラスの窓が開いてるわけでもないんだが。

 まあ俺も何となく腹の中の様子がわかるし中と会話も出来るので、そういう《加護》なんだろうと納得するしかない。

 

「ムゴナ・レイダ・マバデ、ダバイ・リバシド、ダバイ・リバシド、ダバイ・リバシド・・・」

 

 なおラファエルさんは離陸以降、ひたすらお経だか聖句だかを唱える壊れたテープレコーダーと化していた。コワイ!

 

 変化があったのは夕方ぐらい。行程の半分を消化したかな?と言う辺り。

 人の手が加わっていない常緑樹の山々を夕陽が赤く染める。何とも素晴らしい眺めだった。

 そのせいかもしれない。

 前方の空中に奇妙な色彩が広がっていたことに直前まで気付かなかったのは。

 

 色とりどりの光がグニャグニャ歪んでいるようなそれ。あかん、これ明らかに空間の歪みとか異世界への入口とかそう言うのだ!

 我々は今 ミステリーゾーンに入ろうとしているのです!

 お前は神を信じなさい、ホレ信じなさい!

 まぬけ空間に引きずり込め!

 そんな一連のフレーズが脳裏によぎった瞬間に、俺は異界の門っぽいそれに突入していた

 

 アホなこと考える時間があったら回避したらどうだ? はい御説ごもっとも。

 でもしょうがないんだよ、俺ってオタクだから・・・ボクは自動的なんだ。

 そんなノリツッコミをしつつ俺の意識は途切れた。

 

 

 

「聞けジェッターワダツミの声ー!」

「そろそろ正気に返りな。それとももっと強めに叩いたら戻るかい?」

「たった今戻りました。これ以上ないと言うほど俺は正常です」

「よし」

 

 腕組みをして頷く座長。

 異次元空間?に突っ込んで意識を失った後、白砂青松というのか、南国のビーチっぽい場所にいた。後ろにはヤシの木とも違うが、シダとか南国っぽい植物が沢山生えてる森だ。

 セザイは内陸だったし、ラゼルスは更に北西に二千キロの、岩山の中なんだけどなあ。

 

「さて、ハヤトが正気に返ったところでどうするかね・・・」

 

 そして理不尽な事に、ここには俺と座長しかいないのだ。

 まあ頼りになるっちゃ頼りになるが、どうにもあぶなっかしい。

 ガイガーさんかペトロワ師匠、アーベルさんがいればなあ。

 あ。シルヴィアさんが笑みを浮かべてこっちを見てる。

 

「へえ、そうかいそうかい。道行きの連れがアタシじゃ嫌って言うんだね?」

 

 だから言ってねえ!

 人の心の中を勝手に覗かないでほしいもんだ! 内心の自由、思想の自由ってものがあるんですよ!

 

「アンタが勝手に顔に出すのが悪い」

 

 真顔で言われると反論できない。そうなんですけどねえ!

 あ、また笑みに変わった・・・

 ひえっ!? 喉の下を座長の指がくすぐる・・・全身が総毛立つ。

 なんだ、なんだこのくすぐったいとも痛いとも違う感覚は・・・ゾクゾクする。

 

「ふふ、ウブいねえ・・・大人に逆らうには十年早いよ」

 

 やべえ、超色っぽい。多分俺今真っ赤になってる。

 と、指が俺の喉を離れた。

 ふう、はあ、と今更ながらに荒い息をつく。

 

「まあこれくらいにしといてやろうか。さっさと空飛んで、上からみんな探してきな」

 

 ヨロコンデー。

 俺は逆らうことなど考えもせず、ミストヴォルグに変身して空に舞い上がった。

 

 

 

 プロペラを回し、透明になりつつ上空から偵察。

 さしわたし30kmくらいか? 島としては大きいかな? 島は中央が高さ1000mくらいの山になっており、一面が南国植物に覆われている。

 周囲を見渡してみるが、見えるものは海、海、海、そればかり。

 高度3000mくらいにまで登ってみたが、やはり島影や船は見えなかった。

 島の内陸部も見渡してみたけど、一面森・・・というかジャングルで何も見えない・・・む。

 ミストヴォルグの視覚センサーが何かを捉えた。

 

 

 

「遺跡?」

「ええ、ジャングルの木の合間からちらっと見えただけですが、人工物らしいものが。

 周囲でも何か動いた気はするんですが、こっちははっきり捉えられませんでしたし、動物の可能性も」

「ふーむ」

 

 戻ってきた俺の報告を聞いてちょっと考え込む・・・かと思いきや、座長はさっさと歩き出す。

 

「あれ、行くんですか?」

「他にそれっぽいところもないんだろ? なら行くしかないじゃないか。

 それとも海を渡ってみるかい」

 

 まあそうなんだけど・・・この人もたいがい即断即決やな。

 そんなことを考えながら俺は座長について歩き出した。




ちなみにラゼルスまでの距離は人間が街道を行く距離が40キロ、ドワーフの歩行速度が(足が短いので)人間の2/3として一日26キロ、90日で2340キロ、道はまっすぐじゃないから一割か二割引きして直線距離は2000キロくらいとしております。
ただし、これは普通のドワーフの話で、緑階級相当のゲティさんがひとりで歩くなら、多分半分くらいの日数で踏破できる。

>「きみはこう言いたいのでしょう、ココはどこだ!」
つげよしはる先生は天才やで。

> ザザーン・・・ザーザザン・・・ ザザーン・・・ザーザザン・・・
たぶん愛とか勇気とかが海の底に眠っています(ぉ

>我々は今 ミステリーゾーンに入ろうとしているのです!
>お前は神を信じなさい、ホレ信じなさい!
>まぬけ空間に引きずり込め!
それぞれアメリカドラマ「ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)」のナレーション、
植木等の「学生節」をパロった異次元人ヤプールの洗脳ソング、
「宇宙刑事ギャバン」の「マクー空間」をパロった「究極超人あ~る」の劇中劇「究極戦隊コウガマン」の「まぬけ時空」。
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