異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
火炎放射器の炎がジャングルに向かって放たれる。
数分もやっていると火が燃え移り始め、あっという間に大火事になった。
10分後。
気がついたときには10キロを超す範囲、島の1/3ほどに火が回っていた。
「あの、座長・・・そろそろ火を消しません?」
「そ、そうだね・・・」
二人して震える声で頷き合う。
いや、いくらなんでも燃え広がるの早すぎだろう!
生木だぞ! 薪に使う、乾燥した枯れ枝じゃないんだぞ!?
火を起こして焚き火するときだってもう少し時間かかるわ! ガソリンでも撒いてあったのかこのジャングル! それともベニヤ板のハリボテか!
「本物じゃなくて魔法の木だからかねえ・・・?」
それは有り得ると思うが、ともかく結界の境目辺りから火をかけたから、ジャングルの木々が問題ならそろそろ通行可能になってるはずである。
「ウォータービート! アクアプレッシャー!」
俺は水の魔働機士ウォータービートの力を呼び出し、半ば燃えつきてくすぶる木々に水をかける。
「だ、大丈夫かねぇ、これ」
「アンタがやれって言ったんでしょうが!」
ぶっちゃけここまで来ると、多分デモゴディになっても全部消火するのは無理だ。
ちらりと視線を交わすと、俺達は水浸しになった元ジャングルを恐る恐る歩き始めた。
俺達は一時間ほどして、あっさりと遺跡らしき場所に到着した。
煙を上げるジャングルを消火しながらと言うのをあっさりと言っていいならだが。
結構広い石造りの町・・・? 宮殿か寺院の境内?っぽい感じで、本堂なのかお城なのか、中央の方に一際大きな建物がある。
「こっからは透明になって俺が先行します。座長は建物の影に」
「オーケイ」
「何か武器要ります? ミサイルとかビームとか剣とか弓とかヨーヨーとか」
「・・・剣でいいよ、剣で」
「ういっす」
オメガデモゴディの力を呼び出し、デモゴディブレードを渡す。
何故これにしたかって? 作りが単純で特殊能力もないから消費が少ないんだよ。
勇士シリーズとかの相応にデザイン凝ってる剣はちょっと重い。
作画コストと何か関係あるのかもしれんなあ・・・
ちなみによくネタ扱いされる「ミサイルとかビームとか剣とか弓とかヨーヨーとか」のセリフであるが、実はヨーヨーは武器として使っていたという説がある。
いやマジでマジで。
と言っても「女番長刑事」みたいに指先から飛ばして打撃を与えるのではなく、振り回して狩りに使っていたらしい。ただの分銅やな。
ホントに使えるの?と思うかも知れないが、中国で似たような紐付き分銅(流星錘)が軍の制式装備に採用されてたこともあるので、少なくともある程度は実用的なんだろう。
まあ振り回したヨーヨーに当たると痛いしな!
ヨーヨーは人に当たらないように遊びましょう! 絶対!
焼け焦げた、まだ煙を上げている遺跡の中を透明化して進む。
透明化を見破る敵がいるかもしれないので、見よう見まねでアーベルさんの真似をして、物陰に隠れながらだ。
立ち並ぶ石造りの建物は、あちこち焼け焦げた木の根っこや幹みたいなものに絡みつかれていた。
火事の前は東南アジアの仏教遺跡かマヤの神殿みたいに密林に覆われてたんだろうなあ。
・・・これ、本当に大丈夫だろうな?
師匠かカオルくん(確か水の魔剣ってのがあるはず)がいればいいけど、他の面子だけで固まってた場合・・・
嫌な想像に背筋が寒くなる。
その時、一際大きな神殿か城のような建物から人影が出て来た。
よかった、少なくともあの中では生き延びられる!
後はそれが敵か味方かだが・・・ミストヴォルグの望遠センサーを発動した瞬間、俺はぎょっとして思わず目をこすった。
青緑の、錆びた銅像みたいな色。棒のような細い胴体と手足。
一応人間型ではあるが明らかに人間ではないというか、そもそも生物ではなさそうな姿。
金属質の光沢を放ち、湾曲した刀剣というか、刃のブーメランというか、鋼鉄の花弁というか、そんな感じのパーツで体が構成されている。
頭も三日月型の刃物の両面に目がついてるような、そんな奇怪な形。厚みは十センチもないだろう。
金属細工の刃物オブジェ人間、というのが一番近い表現かも知れない。
驚きを何とか抑制しようとしているうちに、そいつが二匹、三匹と「神殿」から出て来た。
周辺をこわごわと見渡しているようで、ちょっとほっとする。
オブジェ人間くん、あなたが少しでも、人間らしい弱さをもっていてくれたということがとてもうれしいの・・・
いやマジで多少なりとも人間ぽさがあってほっとしたわ。
奇妙なことだけど、完全に理解不可能な非人間とやるよりも、多少なりとも人間くささを見せてくれた方が怖くはない。
さて、次はあの神殿の中にどうにかして潜入しないとな。
入れるような窓は・・・ないか。どうにかして入口から中に・・・やべえ! オブジェ人間がリタ抱えて出て来た!
その後ろに続くのは・・・ガイガーさん、ゲティさん、オブライアンさん、アーベルさん・・・良かった、全員無事だ。
でも武装解除されてるし、後ろ手に縛られてる。足も走れないようにロープで繋がれてる。くそ、用心深い。
特にガイガーさんと師匠は厳重で、目隠し猿ぐつわまでされていた。
「~~~~~~!」
リタを抱えたオブジェ人間が何か命令してる。
風が強いせいで良く聞こえないが、どうもこの火事はお前達の仲間の仕業かと言ってるようだ。
俺と座長のことは知らないのか?
アーベルさんがここにいる俺達だけだとすっとぼけてる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
やるしかないか。
座長と相談する時間も手段もない。
ここにいる俺だけでやるしかない。
リタさえ助け出せれば、みんな自分でどうにかできるだろう。
神殿前は広場になっている。
透明化を看破できる奴がいた場合はやばいが・・・くそ、オブジェ人間め、リタの喉に刃物っぽい指先突きつけやがった! やるっきゃない!
そのためには・・・これだ!
「!」
「?!」
目の前の俺に気づいた瞬間、顔を明るくするリタ。
何が起きたか理解出来ず、一瞬動きが止まるオブジェ人間。
オブジェ人間くん、あなたが少しでも、人間らしい弱さをもっていてくれたということがとてもうれしいの・・・(天丼)
などと考えるより早く、俺の手から光る輪が発射される。
「マジカルリング!」
光の輪がオブジェ人間の体を縛り付け、動きを止める。
同時に俺の右手の丸ノコが振り下ろされていた。
右手に伝わる一瞬の抵抗と火花。
リタを抱えていた左腕が落ち、何か念力っぽいものが彼女の体を引き寄せる。
涙を浮かべたリタが俺の首筋に強くしがみついた。
>女番長刑事
和田慎二のスケバン刑事。
FGOの水着頼光さんとも言う(ぉ