異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

196 / 415
第九話 初めてのチュウ

「・・・」

 

 腕に抱きつくリタの頭を撫でてやってる間に戦闘は終わった。

 むしろ俺の胸を塞ぐ治療の方が時間かかってる。

 まあ向こうが見えそうなくらいの大穴空いてたらそらそうだ。

 師匠がいなかったら確実に死んでたわ。

 

「小僧がおらなんだらわしらも死んでおったからな、おあいこじゃ。よくやったぞ」

 

 あざっす。

 まあ胸をブチ抜かれてるんで頷くだけだけど。

 

「実際そうさ。もっと胸を張っていいよ・・・いや、今は胸がないか」

 

 俺の頭を撫でくり回しながら豪快に笑うのは座長。

 まあこの人はこんなもんだ。こっちとしては苦笑するしかない。

 ・・・ん? 座長が俺の顔を覗き込んでる。

 

「まあそういう事さ。だから座長としてご褒美を上げようじゃないか」

 

 ご褒美? 臨時ボーナスとかお休みとか・・・

 

「もっといいものさ。ん・・・」

 

 !?

 座長の唇が俺の唇を塞いだ。

 

「こりゃ、動くでない!」

 

 動きますよそれは!

 うわ、舌が入って俺の口の中を・・・!?

 たっぷり一分ばかり俺の口の中を蹂躙した後、座長が俺から離れる。

 周囲は絶句して言葉もない。

 

「どうだい、ボーナスや休暇よりいいご褒美だったろう?

 美女の口づけには万金の価値があるのさ」

「自重しろババア」

 

 アーベルさんがぼそりと呟いた瞬間、剣が飛んできた。

 一瞬前まで彼がいた空間を貫き、デモゴディブレードが後方の地面に突き刺さる。

 

「ちっ、外したか」

「危ねえな!? あんた今本気で投げたろう!」

 

 全力回避して地面に転がったまま、ちょっと青い顔で抗議するアーベルさん。

 無論座長は馬耳東風である。

 

「それでばあさん、ハヤトの治療にはどれくらいかかる?」

「派手にやられたからのう。後一時間くらいは欲しいとこじゃて」

「ここから出る手段は見当つくかい?」

「小僧の治療が終わったら、そこの神殿の中を調べてみるわい。恐らくは術式の核があるじゃろう」

「オーケイ、それまでの間はあんたら周囲を警戒しな。アーベルは神殿の中に生き残りがいないかどうか確かめてきとくれ」

「このクソアマ・・・」

 

 ぶちぶち言いつつ、アーベルさんが立ち上がって神殿の方に歩き始める。

 

「それで・・・」

 

 と言ったあたりで座長は周囲の視線に気付いたらしい。

 つまりアルテとカオルくんとリタの敵意に満ちた視線だ。

 あ、にたりと笑った。

 

「なんだい、別にそう目くじら立てることもないさ。

 何度もやったことだしね」

 

 空気が凍る音が聞こえた。

 うぉぉぉぉぉい!?

 一度口移しで酒飲まされただけだよ! しかも強制的に!

 だがアルテ達は最早止まらない。

 リタなんて涙の跡が残る顔で俺を睨んでる。

 違うんです、誤解なんです。こう言う時こそサトラレで俺の内心を察して欲しい!

 

「動揺してるわね」

「そりゃそうだろ。だって嘘は言ってないもの」

 

 ホントのことも言ってませんよねぇぇぇぇぇ!

 ああ、この口が動いたら!

 

「だから動くなと言っておろうが!」

「なに、うらやましいならアンタらもすればいいだろ?

 別にハヤトはアタシのものってわけじゃないし」

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 待って。ちょっと待って。

 アルテとカオルくんとリタと、三人の顔付きが変わった。

 どんな風にって?

 獲物を狙う肉食獣の顔。

 狩られる獲物は?

 俺、ですねえ・・・

 

「リタ!?」

 

 この世の全てに絶望したかのようなガイガーさんの短い悲鳴。

 

「ええい、だから治療の邪魔をするでない!」

 

 師匠の怒声と、杖で頭を殴る鈍い音。

 座長とアルテとカオルくんとリタと俺の悲鳴が周囲に響き渡った。

 何で俺まで!?

 

 

 

 俺の胸の穴をふさいだ後、師匠はガイガーさんを連れてピラミッドの中に入っていった。

 穴がふさがったとは言え、安定するのに時間がかかるそうで、俺は寝かされている。

 ちなみに枕はアルテの太もも。

 たっぷり肉が付いててやわらかい・・・あ痛っ!

 

「何か言ったかしら、ハヤト?」

 

 せやから言うてへん!

 

「なんだい、結局キスしないのかい?

 みんなでやっちゃえばいいだろ。四人でハヤトを共有すりゃいいじゃないか」

 

 だからそういう煽りをするんじゃねー!

 

 

 

 気がつくと俺達はどこかの山の中にいた。

 向こうの方から師匠とガイガーさんが歩いてきたので、師匠が術を解除してくれたんだろう。

 時間は・・・昼の三時くらいか?

 

「ああ、いいねえ。傾く太陽がこんなありがたいとは思わなかったよ」

「何の話ですか?」

 

 オブライアンさんが首をかしげる。

 何でもずっと神殿の中だったので太陽の傾きとかわからなかったらしい。

 さっそく師匠を質問攻めにしている。

 

「と言うかあそこって一体何だったんでしょうね?」

「わからん。遺棄された隠れ里と言うところか?

 真なる魔術師か、力ある妖精の仕業かも知れぬが・・・じっくり調べれば何かわかったかもしれんがの」

「ふむふむ、つまり・・・」

「時と場合を考えなよ、オブライアン。質問はハヤトの腹の中でも・・・とは行きそうにないか」

「まあそうじゃの。傷は塞いだがまだしばらくは休ませておいた方がいい。

 明日の朝にもう一度様子を見て、それからじゃな」

 

 ういーっす。

 実際体が重いので今すぐってのはちょっときつい。

 まあ背骨と心臓と肺を吹っ飛ばされてそれで済んでるんだから御の字だ。

 いや実際やばかったな・・・魔法すげえ。

 夕メシまではゆっくり寝かせて貰おう・・・なんて考えながら、俺は意識を手放した。

 

 

 

「んん・・・いい匂い・・・」

「おや、目がさめたかい。丁度良いタイミングだ、すぐメシだよ」

 

 げっ、なんで座長!?

 思わず目を見開いた瞬間にゲンコツが落ちてきた。

 

「げってのはなんだい、げってのは!」

 

 しまった、口に出してたか!

 

「アルテやカオルじゃなくて悪かったねえ! ・・・それともリタが良かったかい?」

 

 やめてくださいよ、そう言うこと言うの!

 どう答えたってガイガーさんの俺への好感度が下がるだけじゃないですか!

 

「もう手遅れじゃないかい? さっきまで三人交代であんたの膝枕してたから」

 

 オワタ。

 もう駄目だ、この後立ち上がったらガイガーさんに森の中に連れて行かれて不埒罪で斬首されるんだ。首の皮一枚残して綺麗にやってくれるんだろうな!

 

「錯乱してんじゃないよ。いくらガイガーが親馬鹿だからって、膝枕程度で殺しゃしないさ」

 

 だといいんだけど・・・。

 この点ではいまいちガイガーさんの事を信用しきれない俺である。

 あっはっは、と笑って俺のおでこをぺしぺしと叩く座長。

 

「それくらいは信用してやりなよ。

 まあ、リタを傷物にして逃げたら間違いなく死ぬだろうけど」

 

 ですよねー。

 

「まあ他の女コマした上で、リタにも手を出したらやばいだろうねえ。

 今から言い訳か逃げる手段考えておいた方がいいんじゃない?」

 

 なんでや!?

 

「やりそうだからに決まってるだろ。

 ま、今はメシ食って寝て、体を回復させな。

 今日は本当に良くやった。何だったら二、三日寝てても許されるよ」

 

 そうもいかないでしょ。

 ラファエルさんの故郷が大変なことになってるのに。

 師匠が傷は治してくれましたし、一晩寝れば大丈夫ですよ。

 

「マジメだね。ま、アンタのそう言う所は好きさ。ああそれと」

 

 それと?

 

「ちゃんと礼を言ってなかったね、ありがと」

 

 そう言うと座長はほっぺたにキスをしてくれた。

 い、今のアルテ達に見られなかったろうな・・・?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。