異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「すっげえ・・・」
「凄い・・・」
俺達は言葉を無くして「それ」を見上げていた。
見上げる先には2000mを越える巨大な岩山。その岩肌に彫り込まれた、五人のドワーフとおぼしき人物の顔。
どれも豊かなひげをたくわえ、兜や王冠をかぶっているものもいる。
アメリカにあんな感じの英雄面山?だっけ?ってのがあったと思うけど、それと比べても桁が違う。
ひとつ1kmの顔面だぜ、1km。
「古代の偉大なドワーフ王五人の像だと言われていますね。
ドワーフ族でもっとも偉大な、真なる魔法使いハラフが100年かけて作ったとか」
俺達はラファエルさんの立てたフラグにもかかわらず、何事も無くドワーフの里、大洞窟ラゼルスに到着していた。
そして岩山の顔が凄すぎて小さく見えるが、その下にある洞窟の入口、その扉もとんでもない。
高さ200m、幅100mくらいの金属製の扉が二枚、開いたまま。
厚みだけでも20mくらいありそうじゃないあれ?
「何あの扉、どうやって作ったの? そもそも動くの?」
「ええ、動きますとも。作ったのは像と同じくハラフだと言われてるわ。
一年に一度、機構の確認を兼ねて開け閉めするんだけど、ちょっとしたお祭り騒ぎになるわね」
そりゃこのサイズのものならな・・・かちどき橋の十倍くらい?
そもそもなんでこんなでかい門が必要なんだ。
「初代族長ギヨムは真なる竜ハーデクヌーズと友達だったの。
彼が楽に入ってこれるよう、このサイズの入口を作ったんだそうよ」
うーん、ファンタジー。
ところでそろそろこの人どうにかしてくれません?
「あー・・・」
ゲティさんが気まずそうに目をそらす。
さっきから意識の外においていたけど、そろそろ限界だ。
「おお、偉大なる
命があったことに心より感謝を捧げますぞ!」
涙を流して喜びながら大地に口づけするラファエルさんである。
着陸してからもう20分くらい経つのに、情熱的な祈りの声と溢れる涙が止まることはない。
まあ高所恐怖症の人間が丸一日飛行機の中で我慢してたんだから、緊張の糸が切れて壊れるのはわからないでもないんだが・・・
「さすがにもうそろそろね。ほら、周囲から色々視線も集まってるしさあ・・・」
「うちの息子が申し訳なく・・・」
本当に申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げるゲティさん。
ほら、通りすがりのドワーフとか門番らしい人達も呆れた目でこっち見てる。
ややあって、ラゼルスの山あいにラファエルさんの悲鳴が響いた。
「うう、ひどいのですぞ。吾輩は溢れる感謝を表現していただけなのですぞ」
「程度ってものがあんだろバカ息子」
ぶちぶち言いながらラファエルさんが馬車の手綱を引いている。
まわりは市場みたいなところで、人間サイズの建物も多い。交易地区なんだろう。
馬車の周囲には歓声を上げるドワーフの子供達。
「こう言う鮮やかな馬車は珍しいんでしょうね。ドワーフの
なるほどなー。
ちなみに俺達は一応旅芸人と言う事で通すことになっている。
まれにそう言う人達も訪れるらしいが、商人とか旅行者とかそう言うのも含めて、「外の洞」、つまり外務担当のお役所が一括対応するらしい。
「良くは存じませんけど、そこで許可なり何なり取って、向こうの方にある広場でやるらしいですね。人気があるなら岩窟劇場で公演することもありますよ」
「吾輩も小さい頃にそうした旅芸人を見て、芸の道を志したのですぞ」
ロマンだなあ。青雲の志だ。
ちなみにこの会話は先頭の馬車でやってるのだが、最後尾の俺がそれを聞けるのはひとえにミストヴォルグセンサーの賜物である。
別に盗み聞きしようって訳じゃなくて、周囲の警戒のためね。
密売組織とかその手下とかオブジェ人間がいつ襲ってくるかわからないし。
「あ、外の洞はそっちのほうです・・・あ」
「うん?」
角を曲がろうとした先頭の馬車が止まった。
ラファエルさんの驚いた顔が見える。
向こう――角で話していたドワーフも気付いたらしく、驚いた顔でラファエルさんを見上げている。
「スタロ」
「兄上・・・」
・・・そういうことかあ。
「それではこれで」
「あ、ああ。申し訳ありませんね」
「いえいえ。家族は大事にしませんとね」
お兄さんと話していたドワーフの人がその場を離れる。
去りぎわにゲティさんにも一礼してたのは、やっぱあの人名士なのか。
それでラファエルさんのお兄さん・・・たしかアダインさんだったか。
人間で言うと30そこそこだが、ドワーフ族の最高意志決定機関である評議会の最年少の評議員でもあるそうで、多分凄いやり手なのだと思う。
ただ、ゲティさんもラファエルさんも彼のことについてはちょっと口が重かったので何かあるんだろうけど・・・
馬車を止め、ラファエルさんとゲティさんが石畳の道路に降り立つ。
二人は複雑な顔。アダインさんは・・・険しい顔してる。
「お久しぶりですぞ、兄上」
「その話し方はやめろ。聞いていてイライラする。人間の芸人の真似なんかしてるんじゃない」
一礼した弟に手を伸ばすことも抱擁することもなく、アダインさんは鼻を鳴らす。
「・・・今の吾輩は芸人なのですぞ。お客さんには受けるのですぞ」
「ふん、お前から見たら俺は赤の他人か」
「アダイン!」
ラファエルさんが何か言う前に、ゲティさんの叱咤が飛んだが、アダインさんの態度は変わらない。
二人を睨み、指を突きつける。
「いいか、母さん、ラファエル! 俺は家から縁を切った人間なんだ!
ベドマの葬儀には出たが、これ以上俺に関わるな!
ザナを悲しませるような奴がいっぱしの男ヅラしてるんじゃない!」
それだけを言うと、アダインさんは肩を怒らせてさっさと歩き去ってしまった。
とりつく島もない。
「・・・」
ラファエルさんは俯いて無言。
ゲティさんが深い、深い溜息をついた。
「申し訳ありませんね。お見苦しいところを」
「まあ、生きてりゃ色々ありますよ」
ゲティさんの謝罪をさらりと流す座長。
このへんはやっぱり人間力が違う。歳の功とも言う。さすがBBA・・・あいたっ!?
「ぐおおお!?」
空き瓶がおでこに命中し、悶える俺。
「陰口なら聞こえないように言いな」
だから言うてへん!
あ、ゲティさんとラファエルさんが笑ってる。
まあちょっとでも二人の気晴らしになったならいいか・・・でも座長はこれむかつくから酒瓶投げただけだよな!
わかってるんだぞ!
>英雄面山
「闘将(たたかえ)! 拉麺男(ラーメンマン)」より。
当然アメリカにあるラシュモア山の大統領顔面が元ネタ。
なお本来はあの山インディアンの聖地らしく、先住民激おこ案件なのだとか。
>妖精族の真なる魔法使い
順序としては 《百神》の昇神 → 妖精族誕生&真なる魔法文明勃興 で、妖精族が生まれたのと真なる魔法文明が発生したのが概ね同時期です。
その頃は人間も妖精もみな真なる魔法使いでしたが、やがて魔法能力が衰退して行くにつれて人間は真なる魔法を細分化し、一つ一つ呪文を覚える系統魔法(神授魔法)、妖精はできる事を制限した代わりに真なる魔法の柔軟性を維持した妖精魔法(精霊魔法、呪術)をメインに習得するようになりました。
なお人間が呪術を使うこともできますし(人間の精霊魔法使いが「魔女」や「シャーマン」です)、妖精が系統魔法を修得することも出来ます。何なら両方同時に習得も出来ますが、概ね「メモリの無駄遣い」なので普通はやりません。