異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十二話 待つわ

「わ、ゲティだ!」

「ゲティさんが帰ってきた!」

「お帰り、ゲティ」

「スタロもいるぞ!」

「マガモットだ!」

「マガモット・スタロ!」

 

 人間用の宿に荷物と馬車を置き、手続きをすると俺達はゲティさんの家に向かった。

 家のある通り――というか洞窟の中なので岩をくりぬいた通路に入った途端、ご覧の通りの歓迎ぶりである。

 ここまでの道中でも頭を下げられてたりしたし、やはり結構な名士らしい。

 スタロ・・・ラファエルさんも子供達には人気だ。でもマガモットってなんだろう?

 

「『変な奴』とか『おどけもの』という意味かの」

「吾輩子供の頃から見よう見まねで芸人の修行をしておりましたからな。彼らは吾輩の最初の観客なのですぞ」

 

 ちょっと恥ずかしそうにラファエルさんが笑った。

 

「そこが私の家ですよ」

 

 指さした家の玄関が開くと、ドワーフの女性が顔を出した。

 大きな黒い目、同色のロングヘアの娘さんだ。かなり美人。

 

「ゲティさん・・・スタロ!」

 

 目を大きく見開いて立ちつくす。

 それっきり何も言えなくなってしまった彼女を、ゲティさんが優しく抱きしめる。

 

「ザナ・・・」

 

 こちらも立ちつくして何も言えないラファエルさん。

 俺達も観衆も何も口を挟めず、ただ無言でそれを見ていた。

 

 

 

「スタロ・・・」

「ザナ・・・久しぶりなのですぞ」

「そう・・・元気だった・・・?」

「ザナも・・・少しやせたかですぞ?」

「そうかしら。むしろちょっと太ったんじゃないかと思うんだけど」

「今も昔もザナは美しいのですぞ」

 

 なんかこー、中学生みたいな初々しいやりとりが続いてる。砂糖吐きそう。ねこのうんこ踏め。

 そんなことを考えてたら、アルテに足を踏まれ、カオルくんに肘鉄をくらい、リタにお尻をつねられ、とどめにガイガーさんに剣の鍔を鳴らされた。俺何かしましたか!

 

 それはともかく、ザナさんはまあその、ラファエルさんと仲の良い娘さんだったそうだ。

 ラファエルさんだけでなく、兄のアダインさんや弟のベドマさんとも仲が良く、ゲティさんも家族同然にかわいがっていた。

 ラファエルさんたちの父親はもうお亡くなりになっているので、ゲティさんが旅立った後はザナさんが家に通って掃除してくれてたらしい。何その通い妻。

 

「あー・・・」

 

 何か座長が気まずそうな顔で頭かいてる。どしたんです。

 

「いやその・・・ヤなことに気付いちまったんだけどさ。

 ひょっとしたらラファエルの兄弟全員、そのね・・・」

 

 ・・・ザナさんを好きだったのかもってこと?

 

「根拠はないけどね・・・あの兄貴の反応見ると、何かそう言う色恋沙汰が絡んでんじゃないかってねえ・・・」

 

 うーむ。

 まあことが色恋沙汰だけに、女に反論しようとは思わないが。

 女・・・いや、女だよな。駄目人間なだけで。

 

「へえ。アタシが女かどうか疑問があるって? なんだったらちゃんと確かめてみたらどうだい?」

 

 ちょ、抱きつくな! 柔らかい! まさぐるな! あっ、駄目っ、いやん!

 

「シルヴィア!」

「何やってんですか!」

「ちょっと、シルヴィア!」

 

 結局いつものとおりになり、俺達は仲良く師匠の杖を喰らった。

 

 

 

「痛い・・・」

「痛いじゃないか!」

 

 何で俺まで殴られてるんですかねえ・・・!

 座長たちが殴られるのは当然として!

 

「小僧が一番悪いからに決まっておろうが」

 

 だからなんでだよ!

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「どうぞ。人間の方のお口に合うかどうかわかりませんが」

「ありがたく頂くよ」

 

 家の中に案内された後、ザナさんは洞窟のコケを乾燥させてすり潰したお茶を出してくれた。

 なんだろう、抹茶みたいな感じだな? 日本人の口には合うかも。

 お茶の入った器も取っ手のない広めの磁器で、茶色や濃緑色が混じり合った地味な色合いもあって何か茶道っぽい。ワビサビ!

 

「それで、だ」

 

 座長が茶器をおいて真剣な顔になる。

 

「どこから攻めるつもりだい、ゲティ」

 

 ゲティさんも茶器をおいて頷いた。

 

「まずは氏族の戦士達に働きかけて、情報を集めるつもりです。

 士官クラスにも私の教え子は多いので、それなりのコネにはなるでしょう。

 スタロもこれで顔が広いので、昔馴染みに当たって貰うつもりです。

 いけるかい、スタロ」

「無論ですぞ」

 

 ラファエルさんも頷く。

 座長がちょっと困った顔になった。

 

「それで・・・一応聞いておくけど、アンタの息子さん、結構なお偉いさんなんだろ?

 事が事なんだし協力して貰うわけにはいかないのかい?」

 

 困った顔になりつつ、ゲティさんがはっきりと首を横に振る。

 

「無理でしょうね。母親として情けない限りですが・・・」

「それについては、悪いのは吾輩なのですぞ。

 兄上が家を出て行ったのは、吾輩が洞を出ると決めたからなのですぞ・・・」

「そんな・・・」

 

 ラファエルさんの言葉に、ゲティさんが俯いてしまう。

 ザナさんも反論したいけど、言葉が続かない。

 

「やれやれ・・・」

 

 座長がぱんぱん、と手を打った。

 

「はいはい、ふっといて何だけど、暗い話はそこまで!

 初対面の連中の愁嘆場見せられても、白けるだけだからね!

 掛け合いさせるならまずキャラを立たせてから、ってのはアンタのセリフだろう、ラファエル?」

 

 うんまあその通りだが、目の前で言うかなあ?

 とは言えこれにはラファエルさんも他の二人も苦笑するしかない。

 

「まあそれはその通りですぞ。

 ここは協力して捜査を進めつつ信頼を深めてそれぞれのキャラを立て、最後に大団円になだれ込むのが良い脚本というものですぞ」

 

 うーんメタ発言。まあ戯作者らしいとは言えるが。

 

「脚本と言えばスタロ、あなたのお笑いのネタを考えてくれてた人いるでしょう」

「カブライですかですぞ? ザナ、奴が何か?」

「今は岩窟劇場で雑用やってるそうなんだけど、最近、治安の悪い辺りで何回か姿を見たって人がいて・・・見間違いかもとは思うんだけど・・・」

「うーむですぞ」

 

 素行の悪い人だったんです?

 

「アタシの知る限りじゃ、普通の家の普通にいい子なんですけどねえ・・・

 まあ頭が良かったから親御さんがいい学校に入れようとしたのを振り切って、芸人一座に入ってしまったと言う意味ではちょっと岩頭(ロック)な子ではありますが」

 

 お母さんは泣いているぞ! まあ泣いてるかどうかは知らんが。

 まあ某漫画の神様もいい家の跡継ぎ息子で医大出たのにポンチ絵描き(古い)になって多分親御さん泣かせてるから、良くある話ではあるんだろう、うん。

 

「まあともかく、吾輩の最初の聞き込み先は決まったのですぞ」

「そうだね。あたし達もそれぞれに動くよ。ラファエルの故郷が浮くか沈むかの瀬戸際だ。気合い入れな」

 

 了解です!

 意気込んで立ち上がった瞬間、脳天にガツンと来た。

 

「ああ・・・ここはちょっと人間の方には狭いですから・・・」

「お兄ちゃん、大丈夫!?」

「馬鹿だねえ・・・」

 

 周囲の苦笑、心配、呆れ声を聞きつつ、俺は岩天井に強打した頭を抱えてうめき声を上げていた。

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