異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
――「マジンガーZ」兜十蔵――
第弐話 見知らぬ、天幕
「知らない天井だ・・・」
やあ (´・ω・`)。
ようこそ、バーボンハウスへ。
この天井ネタはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。
うん「また」同じネタなんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でもこのネタを見たとき(ry
そろそろ怒られそうなので本筋に戻すと、今俺は横になって上を見上げていた。
いくつもの木箱の間に寝かされていて、ガタゴト揺れる木の床と布の天井から、どうも幌馬車の中らしい。外からは話し声。隙間から抜ける風が気持ちいい。
ばさりと布がめくられて、6才くらいの女の子が顔を出した。
その足元をちょろちょろと走ってくる数匹のカラフルな小型動物。ハムスターとリスを掛け合わせたような小動物だ。後で知ったが、ハムリスというまんまな名前が付いてるらしい。
「あ、目を覚ましたよお父さん!」
「・・・」
のそり、と今度は無愛想なひげもじゃのおじさんが顔を出す。
「・・・」
俺の顔を一瞥するとそのまま何を言うでもなく、おじさんは顔を引っ込めてしまった。
「んしょ、んしょ・・・」
積み上げた箱を登り降りして、女の子が俺の横にちょこんと座る。
「大丈夫? お水飲む?」
「・・・お願いします」
桶からブリキのカップで水をくみ、渡してくれる女の子。
それをむさぼるように飲んで、ようやく自分が喉が渇いていたことに気付いた。
「もう一杯いる?」
「大丈夫だよ、ありがとう。ええと」
「マルガリータ。みんなはリタって呼ぶよ! あっちはお父さんのガイガー!」
「ハヤトだ。俺は・・・」
記憶が甦ってきた。
修道院の残骸で目覚めてしばらく思考停止していた俺だったが。
「笹食ってる場合じゃねえ!」
どう考えても国王殺害犯として疑われる!
そう気付いた俺は卵形の赤い小型飛行機――デモゴディΣの頭部に合体するコクピットユニット、パイルビードに変身してその場から飛び去ったのだ。
無我夢中だったがあれは生死の狭間で覚醒したってやつだったのだろうか。でも何か今やってもできない気がするから火事場のクソ力という奴かもしれない。
何せ俺正義超人じゃないから友情パワー使えないし。そもそもこっちの世界に友達いないし。
「ハヤトおにーちゃんはね、川を流れてきたんだよ。
アルテちゃんが助けてくれたの」
「途中で力尽きて川に落ちたのかな・・・その子にも・・・お礼言っとかない、と・・・」
「アルテちゃんなら他の馬車に乗ってるから、夕方に・・・ありゃ」
すーすー寝息を立てる俺。
疲労が溜まっていたのか、俺はあっさりと意識を手放していた。
「おやすみなさい、おにーちゃん」
リタがくすりと笑って、俺のおでこを撫でてくれた。
俺が次に目を覚ましたのは夕方だった。
というかリタが起こしてくれた。
「お兄ちゃん、起きられる?」
「ああ、なんとか・・・」
と、上半身起き上がったところで腹が鳴った。
だっていい匂いしてきたんだもの、しょうがないじゃん!
笑うリタに手を引かれ、馬車の外に降りる。
道ばたの空き地に三台の馬車が並び、傍らに焚き火。
「おーう、少年! 元気になったか!」
焚き火の前に座って手を振るのは、眼帯に赤髪、男物の服をだらしなく着こなしたグラマーなお姉さん。
酒瓶とコップを手にしており、髪に負けないくらい顔が赤い。
「座長のシルヴィアさんだよ。まあ・・・見ての通りのお酒好き」
「座長?」
「うん。私たち旅芸人なの。歌にお芝居、踊りに曲芸、何でもござれのハスキー一座にようこそ!」
両手を広げてクルリ、とリタが一回転した。
「じゃあみんなを紹介するね。座長のシルヴィアさんに、占い師のペトロワおばーちゃん、ようじんぼー?のガイガーお父さんに軽業師のアーベルさん」
手を上げたり会釈したりして挨拶してくれるのはグラマーお姉さんに魔女みたいな黒ローブのおばあちゃんに、無愛想な髭のおじさんに、リタよりちょっと上くらいの子供・・・ん? 子供?
「なんだお前さん、ひょっとして
「!??!」
思わず一歩後ずさってしまった。
子供にしか見えない外見から繰り出されたのは、ちょいワルイケメンが出すような低くて甘い成人男性の声。よく見たら顔立ちはラテン系の伊達男って感じで結構男臭い。こいつ絶対女たらしだ!
あはは、とシルヴィアさんが笑う。
「まあ知らないとびっくりするよね、この外見でこの声だもの。でもアーベルでびっくりしてたらこの先身が保たないよぉ?」
戸惑う俺。
周囲の人達もくすくすと、あるいはけらけらと笑う。ガイガーさんだけはむっつりしたままだが。
そんな中、いきなり野営地に響き渡るバイオリンの音。
「!?」
「ほら、来た」
くすくすと笑うシルヴィア。
馬車の一つから現れたのは、身長120センチほど、がっしりした体格にアーベルさんより長い黒髭、肩に乗せているのはバイオリンに似ているけどちょっと違う楽器・・・
「ドワーフ!?」
再び鳴り響くバイオリンの音。今度は軽妙な感じ。
「ほほう、
軽妙なメロディを奏でつつ、器用に一礼するラファエルさん。
すげえ、何かこの人滅茶苦茶イケメンだ。眼がキラキラしてる。ヒゲだけど。ヒゲだけど!
「あ、はい、こちらこそよろしく・・・ええっ!?」
そのタイミングでラファエルさんの後ろにいた人影が焚き火の光の中に入ってきて、俺は今度こそ腰を抜かすかと思った。
「は、半魚人だー!?」
「ほらやっぱり!」
響き渡る一座の笑い声。
青いすべすべした肌、手足の水かきとヒレ、首元にエラ、ぎょろりと光る大きな目。ひょろりとした体格に長い手足。
顔立ちはまだ人間っぽいけど魚っぽくもあるし、全体的にはやっぱり半魚人にしか見えない。
「あ-。ええ、はい。
頭をかきながら、妖精と言うよりは気弱な学生のような感じで半魚人のオブライアンさんはぺこりと頭を下げた。
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
こちらもぺこりと頭を下げてから気付く。
「あれ、これで全部? 俺を助けてくれた人は?」
「もうすぐ来ると思うよ・・・あ、来た来た。アルテちゃーん、こっち!」
「はーい、ちょっと待ってね。今運んじゃうから」
「!?」
目を疑った。
リタならすっぽり隠れそうな大きな鍋と、その上に重なった山盛りの料理がこっちに歩いてくる。
鍋の中身が八分目くらいにしても、あれ何十キロあるんだ・・・?
「え、あれ手伝わなくていいの?」
一座の皆さんの方を向いた俺に、また笑い声。
リタがどん、とかわいらしく胸を叩く。
「だいじょーぶ、アルテちゃん力持ちだから!」
「そう言うこと。ほれ、どいたどいた。火に掛けられないでしょ」
「うーっす」
「わかりましたでございますぞ」
アーベルさんとラファエルさんが(ラファエルさんはバイオリンを鳴らしながら)場所を空けると、鍋がゆっくりと高度を下げて火の上にかけられる。
その動きはごく自然で、震えたり揺れたりもしない。
ガラスのコップをテーブルに置くような何気ない動作で、中身込み数十キロはあるだろう鉄鍋が静かに火にかかる。
「ほい、落とさないでね」
「はいさー」
それに加えてゆで卵やベーコン、ナッツやドライフルーツらしき物を盛った大皿をひょいひょいとみんなに渡していく。
あれだけの物をまとめて持つって、筋力もそうだけどバランス感覚も半端ないんじゃ・・・と思っていたらその子がこっちを向いた。
「なに、元気そうじゃない。良かった良かった!」
栗色の髪を包んだ三角巾を外し、にっこりと微笑む。
体格はしっかりしてるけど、どこにでもいそうな家庭的な幼馴染みの女の子。いや初対面で幼馴染みって言うのもなんだけどそんな感じ。
――不覚にもかわいいと思ってしまった。
「あ、あの、助けてくれたみたいでありがとう。俺はハヤト。ダン・ハヤト。ダンが名字でハヤトが名前」
「あたしはアルテ・アティラ。アルテでいいよ、よろしく!」
再びの笑顔と共に右手を差し出してくる。
握ったその手は、意外なほどに柔らかかった。