異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十九話 介入行動を開始する

 取りあえずガイさんとマデリンさんを中に入れた後、座長と手すきの団員で話を聞く。

 茶を出すときに気付いたのだが、彼の体には新しい生傷がいくつもあった。

 

「俺の・・・元女房のカザリーンがドミ劇場の第一歌手になったのは聞いたか?」

「ああ」

 

 座長が頷く。歌の町チェルブルクでも一、二を争う大劇場。そこの第一歌手となれば文句なしの大スターで、そのへんのことは先日俺達も聞いていた。

 

「最近カザリーンに嫌がらせが続いているらしいんだ。上演中に下品なヤジを飛ばしたり、帰る時乗ってる馬車に別の馬車がぶつかってきたり、買い物をしようとすると変なのに絡まれたり。

 悪い噂も流れていて、夫以外の男と浮気しているだの、娘が不義の子だの・・・確かにそりゃイェニファはロラントの種じゃないが、あいつがそんなことをするわけがないだろう!」

 

 テーブルに拳を叩き付けるガイさん。

 安物のカップが揺れて、僅かに茶がこぼれた。

 

「そりゃまたひどいね・・・けど、一体全体どういうことなんだい?」

「あたしも色々聞き回ってきたんだけど、カザリーンの旦那さんのロラントさん。彼が今度ギルド連絡会議の議員になるらしいんですよ」

 

 ガイさんに代わって答えたのはマデリンさん。

 ギルド連絡会議って言うのは同業組合である各種ギルド同士の文字通り話し合いの場。

 つまり各業種のトップが利害関係を調整したり全体としての方針を決めるところで、領主にも強い影響力を持つらしい。商工会議所とか経団連みたいなものか。

 ロラントさんは元々やり手だったが、カザリーンさんと結婚して以来さらに商売が好調で、今ではチェルブルクでも十本の指に入るくらいの大商人らしい。

 

「つまりそのロラントに議員になって欲しくない連中がいて、それを邪魔するために奥さんを攻撃してるってわけかい」

「じゃあないかと思うんですけど・・・証拠もない話で」

「ふぅん・・・それで? ガイさんはあたしたちに何をやって欲しいんだい?」

 

 その質問にマデリンさんは目を伏せ、ガイさんは少しの間唇を噛んでから答えた。

 

「そいつらを止めて、できれば黒幕を突き止めて欲しいんだ。

 俺は何しろこの足だし、下手に動いたらそれこそイェニファが不義の子だってお墨付きを相手に与えることになる。金は持ってきた! これで足りないなら借金して払う!」

 

 テーブルに置いたのは結構重そうな袋。種類はわからないけど、コインが100枚以上は・・・。

 

「金貨と銀貨が大体半分ずつ、あわせて160枚くらいってとこか?」

 

 わかんのかよアーベルさんパねえ。ガイさんとマデリンさんが目を丸くしてるところを見るとほぼ正解だろうし。

 ただ、それでも座長は眉を寄せて首を振った。

 

「そりゃまあ手助けはしてやりたいけどねえ・・・正直お門違いだよ。あたしらは芸人だ。こりゃ冒険者に頼むべき案件じゃないかい?」

 

 頷く周囲のみんな。

 俺がオリジナル冒険者族なんて言われてるように、この世界にも冒険者という職業はある。

 酒場でパーティを組んで、色々な依頼を請け負ったりモンスター退治をしたりして、というお決まりのあれだ。

 というかそもそも冒険者という職業を作ったのがオリジナル冒険者族らしい。

 閑話休題(それはさておき)

 

「ダメなんだよ。冒険者の酒場に依頼を出そうとしても断られるし、個人的に雇おうとしても嫌がらせをされたとかで依頼を降りてしまうんだ」

「・・・」

 

 頭を下げるガイさんを複雑な表情で見つめるマデリンさん。

 多分あのお金は彼のご両親が残したものだ。俺の乏しい知識でも、この世界の庶民からすればかなりの額だと言うことはわかる。

 マデリンさんは止めたいけれども、彼の気持ちもわかるから止められないのだろう。

 

「・・・」

 

 シルヴィアさんは少し無言だったが、それでもやはり首を横に振った。

 

「悪いけどあたしらは何でも屋の冒険者じゃない。人を楽しませてナンボの芸人一座だ。護衛だの調べ物だのは・・・」

「おう、邪魔するぜ」

「!?」

 

 テントの中に入ってきたのは「いかにも」という感じのガラの悪いおっさんだった。

 目つきが悪く、大柄で、体には古傷。

 そんな感じのが後ろにもゾロゾロいる。

 

「おまえら・・・!」

 

 振り向いたガイさんが険しい顔になる。

 こいつらがカザリーンさんを・・・?

 

「熱心なファンだかなんだか知らないが、余計な事に首突っ込むなって言ったろうが?」

「そうそう、よそ様に迷惑がかかるぜ。こんな風にな」

 

 兄貴分らしい男の言葉に便乗して、弟分っぽいチンピラがナイフを抜いて、テントの中の飾り布をすっぱりと切り裂いた。

 

「あ~~~~~っ!?」

 

 この世の終わりのような悲鳴を上げて立ち上がったのはアルテ。

 俺も知っている。ハスキー一座の名前と、デフォルメされたメンバーの姿が刺繍されたそれは、アルテの力作なのだ。

 燕尾服姿の俺も隅っこの方にいる。

 公演や移動の合間にチクチクと針仕事をして追加してくれたそれを、チンピラのナイフは無惨にバラバラにしてしまっていた。

 ぶちり、と頭の片隅で何かが切れる。

 

「・・・!」

 

 炎。

 爆発。

 何かが勢いよくテントの中を通り過ぎ、悲鳴を上げる暇もなくチンピラとおっさんの姿が吹っ飛んで消える。

 

 ()()()()()()()

 半月ほど前に山賊二人を吹っ飛ばしたそれを、俺は無意識のうちに発動していた。

 やべっ、と思った瞬間シルヴィアさんが喜々として吼える。

 

「良くやったハヤトぉ! お前達、やっちまいな!」

「おおっ!」

 

 その場にいた、リタと俺を除く全員が即座に立ち上がる。

 アーベルさんが身を低くして駆け抜け、ヤクザ者どものすねを切り裂く。

 ガイガーさんが鞘に収めた剣で、目にも止まらぬ速さでヤクザ者を気絶させていく。

 アルテやシルヴィアさんもだが、意外にもラファエルさんが強かった。熟練の空手家みたいな動きで相手のボディに拳をめり込ませたり、足を蹴って立ち上がれなくしたりしてる。あ、股間に拳がクリティカルヒットした。泡吹いて悶絶してる・・・見なかったことにしておこう。

 ペトロワさんが呪文を唱えると何人かがばたばたと倒れ、オブライアンさんも水を勢いよく撃ち出して相手を牽制している。

 火ぶたを切った俺が呆然としている間に、20人からいたヤクザ者達は全滅していた。

 

 

 

「うう・・・」

「いてぇ・・・いてぇよぉ・・・」

 

 意識のあるヤクザ者がうめき声を上げている。

 なおもう半分は声も上げられない状態である。

 唖然とするガイさんとマデリンさんを座長が振り返った。

 

「ガイ。あんたの依頼受けてやるよ。売られたからにはこりゃあたし達の喧嘩さね」

「!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 頭を下げるガイさんに頷いて、テーブルの上の金袋をアーベルさんに放り投げる。

 

「おっと」

「アーベル、あんたはしばらく演目から外すから、町で件の連中を探ってきな。ハヤトはトリに回すから、それまでの間はオブライアンともども助手としてこき使っていい。

 ばあさん、こいつらから引き出せるだけでいいから情報を引き出しておくれ。

 ガイガー、悪いけど出番以外は用心棒の仕事頼むよ」

「おう」

「いいじゃろ」

「わ、わかりました」

「・・・」

 

 口々に返事する俺達。ガイガーさんが無言で頷いた。

 

 

 

「ところで座長」

「なんだいハヤト」

 

 新しく開けた瓶をグビグビやる座長。

 みんなが出ていった後、俺は一人テントに残っていた。

 

「ひょっとして、あいつらが飾り布を切ったとき『しめた』って思いませんでした?」

「思うわけないだろ。ほんとならこんな事関わりたくもないんだ」

 

 口調だけなら吐き捨てるようなシルヴィアさんの顔には、しかし満面の笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 追伸・アルテの力作はペトロワ師匠が十秒で修復してくれました。魔法パねぇ。

 

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