異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十三話 岩窟劇場

 取りあえず手分けして情報を集めることになった。

 ゲティさんは氏族の洞窟戦士隊(人間で言えば正規軍である)の知り合いを当たり。

 ラファエルさんは友達の働いてる岩窟劇場へ。俺がお供についていく。

 師匠はオブライアンさんと一緒に何かやってる。

 ガイガーさんはリタとカオルくんを連れて洞窟の中をぶらぶらと。

 アーベルさんはふらっと姿を消した。まああの人なら何か掴んでくるだろ。

 妖精だから俺達よりは親近感持たれそうだし、コミュ力半端無いし。

 なお座長は興行の登録手続き、アルテは座長に捕まって設営作業をやらされている。

 

「不公平よー! ハヤトも手伝ってよ!」

 

 まあ、俺チート持ち主人公なので・・・しょうがないね! チート持ちだから!(強調)

 最近は俺がメインで設営作業してたわけだし、がんばってくれ、ふはははは!

 

「調子に乗ってやがる・・・」

「しょうがないじゃないか。ハヤトはとにかく便利に使い倒せるし、粗末に扱っても死なないけどアルテは違うだろ?」

「それは・・・そうかも」

 

 おいこらそこのクソ座長。

 アルテも頷かないで欲しい!

 

「まあまあ、あれはあれで信頼の証なのですぞ」

 

 笑いながら俺の背を叩くラファエルさん。

 ぶちぶち言いつつ俺は彼とともに岩窟劇場に向かった。

 

 

 

「おー、すげー」

「ここは歌舞音曲や演劇に携わるものにとって、憧れであり誇りでもあるのですぞ」

 

 ふむ、と胸を張るラファエルさん。

 いや確かにこれは大したもんだわ。

 

 ラゼルスの中心部である大洞窟。

 魔法の光に照らし出された岩窟劇場は、美しさと荘厳さを併せ持っていた。

 洞窟の壁面を削り出して作られていて、なんだっけ、ヨルダンの岩窟寺院ペトラ・・・ほれ、あれだよあれ、某ムチを持って大暴れする冒険考古学者のシリーズ三作目で出て来た奴!

 あんな感じの風格を感じさせる。

 

 もちろん洞窟の外の「五王の顔」ほどのスケールとインパクトはないが、思わず背筋を伸ばしてしまうような何かがあった。

 感心しつつ中に入ると、やはり中の装飾も大したもので、そう言うのに余り興味のない俺でさえ思わず見とれてしまうレベルである。

 

「こっちですぞ・・・ああ、すいません。カブライがこちらで働いておると聞きましたのですがですぞ」

「カブライなら奥の楽屋かな・・・あれ、ひょっとしてあんたマガモット・スタロ? いやー、懐かしいなあ! 昔あんたの舞台見て、大笑いさせて貰ったよ!」

「おお、それはありがたいのですぞ」

 

 笑顔で頭を下げるラファエルさん。こっちでも結構名は売れてたんだ。

 

「またこの劇場で?」

「今は別の、人間の一座で修行中ですぞ。申請が通れば『天井無し』広場でやる予定ですぞ」

「そうかそうか、それじゃそのうちここに戻ってくるのは確定だな!

 いなくなる直前はなんかスランプだったみたいだけど・・・楽しみにしてるぜ!」

 

 笑顔でラファエルさんの肩を叩く劇場の人。

 そのままラファエルさんと握手して俺達は彼と別れた。

 

「スランプ?」

「まあちょっとありましてな。ラゼルスを出たのもそれが原因なのですぞ」

 

 なーるほどー。求道の人だなあ。

 

「む・・・マガモット・スタロか?」

「これはお久しぶりですぞ、ウルヴァどの」

 

 今度会ったのはダンディで精悍な感じのドワーフだった。

 そこそこお年を召してそうだが、シュッとしててかっこいい。

 この劇場の責任者で、昔は歌劇のスターとして鳴らしたそうな。

 閑話休題(それはさておき)

 

「戻ってきたと言う事は・・・自分の道は見つかったのか?」

 

 ラファエルさんが首を振る。

 

「残念ですがですぞ。闇酒騒ぎで弟が死にまして戻ってきたのですぞ」

「そうだったか・・・お悔やみ申し上げる」

「ありがとうございますですぞ」

 

 慇懃に頭を下げるラファエルさん。

 

「わざわざお前を呼び出したと言う事はゲティ殿が?」

「首謀者を捕まえるつもりですぞ」

「劇場でも闇酒に手を出していたものはいた。私は・・・この劇場を守りたい。働く人々を守りたい。お前がゲティ殿の手伝いをするなら、期待させてくれ」

「お任せ下さいですぞ」

 

 互いに礼を交わして、ウルヴァさんは歩み去っていった。

 

「カブライ! 久しぶりですぞ!」

「うわあ、スタロ!? 久しぶりだなあ! 随分恰幅が良くなったじゃないか!」

「カブライこそ随分とスマートになりましたですぞ!」

「いやあ、恋の悩みってやつでねえ!」

 

 カブライさんにはあっさり楽屋で会えた。

 笑い合い、拳で胸を突き合う二人。ドワーフの挨拶らしい。

 しかしスマート・・・恰幅がいい? 俺の目にはどっちも似たような体型に見えるんだが、まあドワーフにしかわからんあれこれもあるんだろう。

 

「そう言えば弟さんお亡くなりになったんだったね。お母さんには言ったけど、お悔やみ申し上げるよ」

「ありがとうなのですぞ。今日来たのはそれもあってのことなのですぞ」

「え?」

 

 カブライさんがきょとんとした顔になった。

 

 

 

「つまり今はお母さんの手伝いをして、闇酒関連のことを調べてる、と」

「ですぞですぞ」

 

 場所を酒場に移してカブライさんから話を聞く。

 喫茶店? ドワーフの集落にそんなもんはねえよ! いやマジで。

 需要がなさすぎて商売が成立しないんだろうなですぞ、とはラファエルさんの言。

 

「うーん、悪いけど役には立てないかなあ。

 評議会からの命令もあるんだろうけど、ウルヴァさんが闇酒に厳しくてさあ。

 飲んでた人が何人もクビになってからはみんな手を出してないし、飲んでいるにしてもバレないように注意深くやってるだろうからなあ」

 

 俺から見ても嘘ついてるようには思えない。

 表裏のない素直な人に見えるのだが・・・

 ちらっと視線をやると、ラファエルさんも頷いた。

 

「それなのですが、カブライ」

「なに?」

「最近裏通りによく行っているそうですが・・・何事ですかですぞ?」

「!?」

 

 面白いくらい表情が一変した。

 ひげ面とかそう言うの関係なく、俺にさえわかる挙動不審。

 ・・・これ、傍から見たら普段の俺もこんな感じなんだろうか。

 

「なななななな何を根拠に」

「相変わらずわかりやすい奴ですぞ。ハヤトもびっくりですぞ」

 

 うるせえよ!

 

「あ、ほんとだ。僕にもわかる」

 

 あんたもな!

 

「で、カブライは何故その様なところに出入りしているのですぞ」

「ぼぼぼぼぼ僕はそんなところには」

 

 隠せてませんよカブライさん。

 

「おっと、逃げようとは思わぬ事ですぞ」

「!」

 

 腰を浮かせたカブライさんの腕を、ラファエルさんが素早く掴む。

 カブライさんがふりほどこうとするが、全く動かない。

 顔には滅多に見れない邪悪な笑み。

 

「これだから少しは鍛えておけと言ったはずですぞ。

 それにこのハヤトも緑等級・・・平たく言えば、吾輩より強いのですぞ」

「!?」

 

 驚愕と絶望の表情。

 ラファエルさんに合わせて、俺もせいぜい悪い顔をしてみる。

 まあ嘘はついてないし。

 イレマーレのダンジョンで鍛えたから《加護》無しでもそれなりには強いし。

 ラファエルさんに勝てるかどうかはともかくだが、今なら勝負にはなりそう。

 お母さんほどではないにしても、十分鍛えた万力のような拳に、少しずつ力が込められていく。

 

「痛い痛い、痛いよスタロ!」

「痛くしておりますからな。

 手首が握りつぶされないうちに吐くといいのですぞ。

 なに、万が一潰れても大丈夫ですぞ。

 ペトロワ師は心臓が潰れたところで治してしまう、練達の術師なのですぞ」

 

 ラファエルさんの満面の笑顔と過激な言葉に固まるカブライさん。

 彼が観念して吐いたのはそれから一分ほど後だった。




>ペトラ
インディー・ジョーンズ最後の聖戦の終盤で出て来た岩窟寺院。
世界遺産です。
Civでもたまに顔を出してたり。
最近発掘された杯が、映画に出て来た聖杯そっくりのデザインで吹いたw
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